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価格形成 法制化視野に 「合理的な費用」考慮 コスト調査し指標作成も

価格形成 法制化視野に 「合理的な費用」考慮 コスト調査し指標作成も

 農水省は、農産物の適正な価格形成について昨年8月に協議会を立ち上げ議論をスタート。これまで協議会3回、2つのワーキンググループでそれぞれ3回議論を実施。そのうえで先ごろ開催された第4回の協議会で、課題や論点などが整理された。「『合理的な費用』が『考慮』される仕組みについて、構成員間で認識は共有できた」(新事業・食品産業部)としており、今後、仕組みづくりに向けてコストデータの収集及びコスト指標の作成について、検討等を本格化させる。

  今回示された課題、論点等はこれまで3回の同協議会、更に同協議会のもとに設置された飲用牛乳、豆腐・納豆の2つのワーキンググループでの議論をもとに農水省としてまとめたもの。
 課題としては、①価格形成でコストが考慮されていない②コストが上昇しても価格交渉を機動的に行うことができない。合意に至るまでの間にタイムラグが生じる③取引において生じるリスク等を売り手側が負担している――の3点を挙げた。
 これに対し、今後の検討方向として、「需給事情と品質評価によることを基本としつつ、食料の持続的な供給に要する『合理的な費用』が『考慮』される仕組みについて、法制化も視野に検討する」との方向性を示した。
 コストデータの収集については、品目ごとに各段階の取引価格やコスト構造等について実態調査を実施、企業情報の取扱いを含め、各段階におけるデータ収集の課題等を検証する。
 コスト指標については、指標を活用して価格交渉等を行う具体的方法として①自動改定方式(コスト指標の一定の変動が生じたタイミングにあわせて(以下同)、コスト指標に連動する形で価格を改定)②参考改定方式(同、コスト指標を参考として価格を改定)③再交渉方式(同、価格改定について再交渉)を念頭に、作成主体等も含めて具体的に検討を進めていく。
 更に消費者の理解醸成については、前述のコストデータやコスト指標をもとに費用を明確化、理解を求める方向で検討を進める。
 コストデータについては、すでに「適正な価格形成に向けたコスト等調査」として令和5年度補正予算において計上されており、今後調査が進められる。対象品目はまだ確定していないが、米・大豆・小麦、野菜(ピーマン、大玉トマト、キャベツ等)、果実(みかん、りんご等)、茶、飲用牛乳・鶏卵・食肉、加工食品(豆腐・納豆、こんにゃく等)などを予定している。
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 また、農水省では前述の合理的な費用が考慮される仕組みができあがるまで、現状でできることとして、「卸売市場の仲卸業者等と小売業者との間における生鮮食料品等の取引の適正化に向けたガイドライン」を作成、4月以降、説明会等を実施し周知徹底を図ることとしている。
 今回示されたガイドラインは、食品等流通調査の結果に基づき不当な返品など独占禁止法等の観点から問題となり得る事例が明らかになったことから、食品等流通法に基づく措置として策定されたもの。
 ガイドラインでは、不当な返品や納品価格の不当な引き下げ、取引価格の一方的な決定、説明のない協賛金の負担要請などといった、具体的な事例を「問題となりうる事例」「関連法規の留意点」「望ましい取引実例」に分けて紹介している(具体例については左上図参照)。

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