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目指せ林業プロ 我が社のホープ 皆から頼られる存在に 佐久森林組合の森泉卓也さん

目指せ林業プロ 我が社のホープ 皆から頼られる存在に 佐久森林組合の森泉卓也さん

いかにもガッチリした体型の森泉(もりずみ)卓也さん(27歳)。聞くと高校時代にレスリングで国体やインターハイに出場したとのこと。そんな経歴の持ち主の彼が苦手にするのが寒さ。ここ長野県佐久地域は冬場にはしばしばマイナス10℃以下まで気温が下がって鼻が痛くなり、呼吸するとむせる世界に。「重ね着して耐えるしかないです」と笑った。
 地元の北佐久農業高校を卒業後に、佐久森林組合=山岸喜昭代表理事、長野県小諸市大字平原字四ツ谷原967―1=に入組して林業歴9年が経過した。この世界に入るきっかけを聞くと、「高校の実習でチェンソーを使う実習があり、木を切るのが面白かったので」。今は油圧ショベルを使って作業道作りなどを行っている。伐った材を敷いて斜面側の土を削り固めて均していき、作りやすい現場なら1日100m以上進められるようになったというが、条件が悪ければ地面から顔を出す石と格闘し、最悪ルート変更しなければならない忍耐が要求される仕事だ。それでも「作業道は皆が使うので、頑丈で安全な道が作れれば嬉しい」と言い、最近ではコツを掴みはじめて納得いく道作りができるようになってきたそうだ。
 傾斜地が多いため、伐採はチェンソーを使い、グラップルで寄せた後にプロセッサで造材という流れ。さまざまな機械を扱う楽しみを林業の世界に入って覚えた。「だから現場作業は楽しいですね。同じことがなく飽きないので」。木を一本切るにしても条件が違うのでどのようにアプローチするか、現場を見てどのように道をつけようかなど、想像力を掻き立てられる点が魅力だと語る。
 森泉さんを含めた組合の作業員は17名。そのうち素材生産を担当する林産班の7名が2班に分かれて作業を行っている。生産量は毎年1万~1万2000㎥で推移し、樹種は約8割がカラマツだという。所属する佐久森林組合のある佐久地域はカラマツの一大産地として有名で、現場まで案内いただいた小島和夫代表理事専務によると、他の産地に比べて気候が適していることから材質が良く、特に強度があると評価を得ているという。変わった利用法としては隅田川に繋留している屋形船の杭はほとんどこの地域のカラマツだとか。
 「硬い分、伐る速度が遅いと割けてしまったりするので、チェンソーの刃は常に目立てをし、切れ味の良い状態を維持しています」と森泉さん。林業機械もキレイに使うことを心掛けているといい、作業効率や安全に直結する道具の手入れには気を配っているそうだ。
 作業員の年齢層も近いので意見交換がしやすい、と働きやすい環境だと話す。今では副班長として後身を指導していく立場となり、大きな期待が向けられている。それを意識してか、当面の目標を尋ねると「全工程を完璧にでき、周りから〝凄い〟と言われる林業マンになること」と返ってきた。今後も組合内の〝よき兄貴分〟として引っ張っていきそうだ。
     ◇
 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

 「同じことがないので飽きない」と林業の魅力を述べた

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