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農研機構 体系防除で低密度 侵略的外来種でセミナー

農研機構 体系防除で低密度 侵略的外来種でセミナー
農研機構は2月29日に、「侵略的外来種を防除する方法と今後の見通し」をテーマにしたセミナーを開催。農業、環境、建設など様々な分野から参加があった。セミナーでは、侵略的外来種のナガエツルノゲイトウ、アレチウリ、カワヒバリガイの対策が紹介された。以下ではナガエツルノゲイトウの水田での蔓延防止対策について講演した農業環境研究部門農業生態系管理研究領域・芝池博幸氏の要旨を紹介する。
【侵略的外来雑草ナガエツルノゲイトウの農地への蔓延を防ぐ】ナガエツルノゲイトウは、1989年に兵庫県尼崎市で初めて確認され、現在では茨城県を含む西日本の25府県で見られる。この外来植物は、根や茎断片から容易に再生し、乾燥にも強く、農地でもよく繁殖する。そのため、在来の植物と競合し、生態系を損なうほか、治水リスクを高め、農業に被害を与えるおそれがあり、特定外来生物に指定されている。
 水辺の土手に根を張り、水面に茎を伸ばしてマット状の群落を形成。冬季でも茎は緑のまま越冬し、流れた群落は排水機場などに漂着してポンプの故障を引き起こし、毎回除去費が発生する。
 水田への茎断片の流入や排水路を通じた流出も問題となっている。畦畔に茎が埋まり、水稲と競合。台風や豪雨で水稲が倒伏してもナガエツルノゲイトウは再び茎が伸びる。また水稲に覆いかぶさり、収穫を妨げることもある。河川などの水利ネットワークを介して広がり、水田内の管理が難しくなる。
 ナガエツルノゲイトウの低密度管理に向けて、水田内での除草剤の体系処理が推奨されている。実証の結果、初期剤と中後期剤の体系(ピラクロン1キロ粒剤とウィードコア1キロ粒剤)と、初中期一発剤と後期剤(バッチリLX1キロ粒剤とロイヤント乳剤)の体系処理を推奨。これを2年間続けることで、3年目に慣行処理に移行しても残草量は抑制される。また労働時間や労働費、除草経費は慣行と同等か、それ以下に抑えられる。また、収穫後に非選択性除草剤と秋耕することで、低密度管理ができる。
 なお、畦畔の刈り払いは、茎断片を拡散させるので推奨しない。
 他にも、ボランティアによる駆除のほか機械や作業船での除去作業が行われているが、茎断片の再発生があり、定期的な見回りが必要だ。また、ジェット水流や遮光シートを使用した除去方法も行われている。
 持続的な低密度管理には組織的な管理が重要だが、異なる立場の関係者間の調整が難しく、横の連携が求められる。千葉県や茨城県では問題解決に向け組織化されている。

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