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農機整備特集

農機整備特集

トラブル防ぐ整備

 いよいよ今年の春作業の時期を迎える。近年、一人あたりの面積が拡大する一方、担い手は減少傾向を続けており、機械は農繁期にはフル稼働を続けている状態だ。そうした状況だからこそ機械のトラブルは致命的。修理には時間がかかるうえ、すぐに代替機が用意できるとも限らない。このため重要となるのが、トラブルが起きないよう機械のコンディションを保つこと。そのためにも日常点検に加え、農繁期前後にはプロによるしっかりした点検・整備を受けておくことでそうしたトラブルを防ぐことが出来る。

 以前にも増して日ごろから機械の状態をベストに保つことが重要になっている。生産者一人が担う面積は否応なく増えている一方、気候変動などの影響もあり、本来の作業適期に作業できない場面が増えている。そうしたなかで、万が一機械が止まってしまったら…。
 そうした「万が一」を限りなく減らすためには、常日頃から機械の状況を知る日常点検と定期的なプロの手による点検が欠かせない。日頃の点検では、オイルやバッテリー、タイヤなど様々な部分をチェックし、必要に応じて交換する必要がある。加えて〝機械の血液〟とも言えるオイルは定期的に交換し、きれいな状態で保つことが手を止めない作業に不可欠だ。
 日常点検については、様々なメーカーで「日常点検のポイント」のような資料も作成されているが、日本農業機械化協会でも上表のような日常保守点検表をまとめている。今回紹介しているものは乗用型トラクタのみだが、このほかにも田植機、コンバインも用意されており、協会のホームページ(https://nitinoki.or.jp/bloc3/tenken/index.html)から入手することができる。
 こうした日常点検に加え、プロの目でしっかり不具合の有無を確認してもらい、トラブルを未然に防ぐことも重要なポイントだ。こうした日常点検に役立つ商品やプロによる点検の際に力を発揮する様々な資機材については別掲で紹介しているので、ぜひ活用してほしい。
     ◇
 農機整備の状況がどうなっているのか。少し古いデータとなるが、日本農業機械化協会では、平成30年からの3カ年、農水省の農作業安全総合対策事業として、「高齢者所有の農業機械の総点検」を実施、その結果を報告書として取りまとめている。
 点検は高齢者が所有している農機を農業機械士及びJA担当者が出向いて点検を実施、問題点があれば指摘する形で行われ、3年間で約2000台が点検されている。
 調査のなかからオイル・冷却水に関してみてみると、乗用トラクタは問題なしが575台と8割超が問題なかったものの108台(全体の16%)で要改善とされた。このうち、オイルは56台、冷却水が37台(これら以外はどちらが要改善か不詳)。オイル・冷却水とも不足が典型となっていたが、オイルには汚れや漏れの状態も見られた。
 耕うん機については、約2割(問題なし104台、問題あり24台。いずれも令和元年及び2年のみのデータ)で問題ありとされた。報告書では、耕うん機にはほとんど水冷のものはないことからオイルだけで見るとトラクタよりも問題は多い、としている。具体的には劣化(要交換)と量不足が見られた。
 このほか、乗用トラクタのうち、ベルト張り・摩耗は問題なしが557台、要改善が125台と2割近くで改善項目が確認された。問題箇所はファンベルトの張り不足及び摩耗が多いと見られる。
 また点検者等の所見では、「比較的新しいトラクタのため、大きな故障はないが、いつも屋外に止めてあるため、サビなどで動きが悪くなることが予想される。そのため、定期的な給油が必要とされる。オイルの点検、LLCなどの点検は日常的に行ったほうが良い」などがあった。

 

注目集める資機材

 農業機械において、バッテリーやオイルなどの存在は、農機をベストな状態で保つためには欠かすことができないものだ。近年は様々なメーカーからそれぞれ特色あふれる製品がラインナップされており、選ぶのも楽しい。また、オイル交換などの整備を行う上では、工具も重要なアイテムだ。自らの手にあった、良いものを選びたい。今回、本紙の整備関連特集では、農機整備に活躍が期待される様々な資機材について、ほんの一部ではあるが、紹介したい(社名による五十音順)。

 

【エナジーウィズ】

 農業機械用バッテリーとして、振動、ホコリ、農閑期に配慮したバッテリー「Tuflong AG豊作くん」を、ユーザー向けに普及を進めている。「豊作くん」は、袋型PEセパレートとガラスマットを併用することで、活物質の脱落と下部短絡を防止し、バッテリーの耐振動性を一段と向上させた。電極版には自己放電の少ない耐食性カルシウム合金を採用しており、農閑期などエンジンの始動を長期間行わない農業機械の使用環境に配慮。また、カルシウム合金を採用しており、使用中の減液も抑制する。さらに、バッテリー液を補水する際に、乗用車用では液口がフラットになっており、軽トラやトラクタなどで使用すると泥やホコリが入り込む恐れがあるため、突出型液口栓を採用することで、これらの問題を防ぎ、排気孔も目詰まりしにくい構造になっている。
 バッテリーの点検方法は、長期間使わないときはバッテリーのターミナル(端子)をはずしておく。始動前には、ホームセンターなどで販売されている電圧計などを使い、電圧を図り、12・5Vあればそのまま使える。これを下回った場合は電圧が12・5Vになるように充電。いつまでも到達しなければ交換時期だ。
 また、バッテリーの液は使うと徐々に減るので、バッテリー側面にあるLOWゲージを下回った場合には液を補充する。補充液は、ホームセンターで売られている精製水を使う。


【空研】

 

 インパクトレンチで市場評価の高い同社が整備現場の大きな力として提案しているのが充電式インパクトレンチKW―E190pro。ハイパワーで低振動・低騒音を実現し、長時間の分解組立作業でも充分な能力があり、作業者の疲れを軽減する。その鍵となるのがEproクラッチ機構(特許取得済)の採用。モーターパワーを効率よくインパクト打撃に変換し、電池の持ちが格段にアップしている。
 最大締付けトルクは580N・mと大きなパワーを持ちながら質量は2.6㎏の軽量型で使いやすい。また電池は容量5.0Ahのリチウムイオン電池(18V)でスタミナがあり、乗用車ホイールナット緩めなら約1000本(同社テスト)が可能。出張時も不安が無い。野外作業での雨にも強く、耐環境性能IP56試験に合格し高い防塵防水性能を有している。さらに残量表示付きで電池切れ防止をサポートする。
 ブラシレスモーター採用で耐久性が高い。充電時間はフル充電で60分、打撃数は2400回/分、3軸合成値は14・9m/S2。
【パーマンコーポレーション】〝働く車をサポートする〟のが同社の仕事。その中で農用トラクタのバッテリー上がりを解消する〝パワー・ステーション〟を展開している。いざという時の備えがプロの仕事を応援する。
 HAWK12/HW12SC/H1224S/1224HWは信頼性の高いHAWKERの鉛バッテリーを搭載。ピーク電流は1800Aになり、通常バッテリーの2〜3倍の力強さがある。DC24Vタイプは海外製の大型トラクタでも始動できる。整備業やレッカー業でも使用されているバッテリーチャージャーでプロの選択が信頼性を担保する。
 ラインナップとしてはインバーター搭載で非常用電源として使えるP12SFAやリチウムイオン電池使用の軽量エンジンスターターPA2700、非常時に活躍するポータブル電源(1000W)も用意している。同社はカタログ通販、WEB通販にて展開中。
【富士興産】全農機商連指定油「豊作オイルシリーズ」の普及を進め、農家の期待を集めている。
 「豊作オイルシリーズ」は、1967年に販売を開始した「農家の定番」となっているオイル。ハイクオリティなラインアップが揃っている。
 それぞれのオイルの特長に触れると、「豊作エンジンSL/CF」は、オールシーズンタイプのエンジンオイルで、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンのどちらにも使える。安定した粘度特性を保持し、過酷な運転でもエンジンの性能をフルに発揮できる。
 「豊作ギヤーオイル」はミッションの潤滑に最適。過酷な作業条件下でも高い極圧性を発揮、焼き付きや摩耗を防ぐ。酸化安定性に優れている。
 「豊作トラクターオイルユニバーサル」は、万能型オールシーズンタイプのオイルで、優れた清浄性により、エンジン内部をクリーンに保ち、強い潤滑性を保持する。優れた摩擦特性により、湿式ブレーキの作動を円滑にし、不快なブレーキ鳴き耐性に優れている。
 「豊作トラクターオイルプロ」は、優れた低温流動性を有し、冬季や寒冷地での操作性が高い。

農機整備に活躍期待 安全作業にも貢献 リフトやベルト、タイヤ等

【ブリヂストン】日本国内では農家の減少や農地の集約などを背景として、より効率的に農業を行うために大型の農業機械の導入が進んでいる。そのため同社は、大型農業トラクター用ラジアルタイヤ「VT―TRACTOR(ブイティートラクター)」(タイヤサイズは2サイズ)の販売に力を入れている。「VT―TRACTOR」は、高耐荷重に対応したVFタイヤ準拠品だ。そのため、同じ荷重条件下であれば通常の空気圧より下げて使用できる。より低い空気圧で使用可能となり、タイヤが柔軟にたわむことで、地面と接する面積が増加し、けん引力の向上や乗り心地の改善、更には大切な田畑の土壌の踏み固め抑制に貢献する。
《VT―TRACTORの特長》①地面と接するラグ形状を最適化したパタンデザインを採用することでけん引力と乗り心地の向上を追求②標準幅のリムが使用可能。
【丸紅】イスラエルで独自構造のエアレスタイヤ開発を行うGalileo Wheel Ltd.(Galileo)が開発した「CupWheel」は、エアレス性能を有していることに加え、通常のタイヤと比べ接地面が拡大したことで、トラクションが増加し、生産性の向上を実現している。さらにコンパクションを低減し、土壌へのダメージを緩和する。そのため、快適な乗り心地を実現しつつ、踏圧を下げ、牽引力を引き上げる。
《CupWheelの特長》①踏圧の減少=作物とほ場を守り、土壌を長期的に保全②タイヤ側面の耐久性向上=凹んだ形状が、タイヤ側面の耐久性向上に繋がる③牽引力の向上=タイヤの牽引力が向上し、作業の効率性を引き上げる④ランフラット/エアレス性能=タイヤの空気圧がゼロになっても、安心して走行可能⑤快適な乗り心地=タイヤが地面からの衝撃を吸収し、快適な乗り心地を実感できる⑥優れた安定性=急な旋回でも快適な安定性を感じることができ、小回りの利くタイヤ。
【三ツ星ベルト】天候不順が頻発する中、農機のダウンタイムの極小化が生産現場の大きな課題になっている。その中、品質と信頼性で選ばれているのが同社の農業機械用ベルト。コンバインや田植機などの安定稼働に貢献する。
 補修市場向けには、①「三ツ星ニューオレンジVベルト」と②「スーパーAG―X」をラインナップ。①は、一般工業用ベルトに比べ、大きな衝撃、プーリ径が小さく逆方向の曲げ、高温下での使用など過酷な使用条件に耐える設計で薄形。また、耐熱性、耐屈曲性、耐亀裂性にも優れている。
 ②は、ゴムカバー布に曲げやひずみに強い特殊織布を使用し、耐摩耗性に優れている。従来のオレンジ仕様をさらに上まわる耐衝撃性、耐亀裂性があり、過酷な条件下でも耐久性に優れる。
 機械の大型化に合わせ、ベルトに求められる性能が高まっているがそれらのニーズに応える。
【ヤマト自動車】同社の農機整備用リフトが作業環境の改善、作業者の軽労化に貢献するとして、実績を積み重ねている。能力5tの「ふみよくんYM―500(コンバイン2〜4条に対応)」と能力7tの「アグリサポート567YM―700(同3〜7条、汎用に対応)」があり、小型〜大型までの整備に対応する。
 簡単操作で農機をリフトし、テーブル中央の整備空間を利用して、立ったままの負担の少ない姿勢で安全に作業ができる。
 またセンター油圧ジャッキ(持ち上げ能力10t)を備え、クローラの交換などが容易。安全装置もしっかり備え、リフト上昇時は安全ラックにロック爪が掛かった状態で押し上げられ、作業中はロック状態。センター油圧ジャッキ使用時にコンバインを安定させるために使用するベルト荷締め機を引っかけるフック掛け穴を用意。リフトの上昇、下降はリモコン操作。補助シリンダーがあり、リフトの持ち上げもスムーズ。トラクタや田植機でも使用されている。
【和光ケミカル】農業機械向け商品として「農機用チェーンオイル」の普及拡大に注力しており、注目を集めている。朝露や小雨の中でも作業が可能なほどの優れた耐水性を持っており、油膜で錆からしっかり保護する。
 また、高負荷がかかるチェーンの異音を抑え、摩耗から守る浸透潤滑性能のおかげで、ワイヤー・ピン・プレートの隙間までオイルが浸透し、効果を存分に発揮する。更に、適切な吐出量のおかげで、油膜がベトベトせず液が垂れにくいことで、必要最低限の量でほこりや泥を付きにくくする。
 これまではオイルが下にかなり落ちてしまうので、チェーンが吸収しづらいという声があったが、同社のチェーンオイルは液もあまり落ちないので、無駄にしないのが特長だ。
 泡が付いているので一目で塗った場所が分かるように工夫しており、もし液が垂れてきたらかけすぎのサインという。
 同社は、「これまで蓄積してきたワコーズ製品のノウハウを農業でも生かし、農家の皆様により良いコンディションで農機を動かしてもらいたいとの思いがあり参入した。当社は現場の生の声を聞いて、何度も試作を作って納得したクオリティのものしか出していないので、是非性能を体感して欲しい」と話した。

JA全農 農機整備の必需品「オイル」

 JA全農では、安心・安全で地球環境に配慮した「JA―OIL」の拡販を図っている。農業機械は、使用条件が過酷で機械に大きな負荷が長時間かかる。また、使用中に水や砂・ゴミが入る可能性があり、オイルが劣化しやすくなっている。機械を1年でも長く使用できるように、定期的な点検とオイル交換の指導・実施に努めている。農機用では、図のようにトラクターや田植機、耕うん機・ティラー、コンバインといった機種別で用途に合ったオイルを提案している。

 

 主要農機であるトラクター、田植機、コンバインで使用できるJA―OILの一例を紹介する。
【トラクター】▽トラクターギアスーパーマルチGL―4 75W―80=全ての農業機械(トラクター、コンバイン等)のミッション、油圧系統、湿式ブレーキ、PTOクラッチに使用できる多用途オイル。優れた低温始動性でアイドリングタイムを短縮。油圧応答性に優れ、作業効率を向上させる。潤滑性能が高く、金属各部の摩耗を抑えて機械寿命を延ばす▽ディーゼルDH―2/CF―410W―30=JASOのDH―2規格を取得し、最新の排ガス規制対応車両に適合したディーゼルエンジンオイル。大型ディーゼル車両・排ガス処理装置付ディーゼルエンジンを搭載した農機にも使用可能▽ギヤ90GL―5、ギヤマルチGL―580W―90=チェーンケース、ギヤケース。
【耕うん機・ティラー】▽ギヤ90GL―5=荷重性・耐摩耗性・酸化防止性・コストパフォーマンスに優れた自動車および産業用車両のデファレンシャルギヤ用オイル(LSD仕様車除く)。
【田植機】▽トラクターギヤ80GL―3=ギヤ性能のみならず油圧特性やブレーキノイズ対策を施し、共通潤滑機構を持つトラクター、コンバイン等に対応できる経済的オイル。
【コンバイン】▽エココンバイン油=植物性オイルを採用し、土壌汚染の心配の無いコンバインカッター用オイル。土壌にこぼしても自然に分解される生分解性を有しているため環境に優しい▽トラクターギヤスーパーマルチGL―4 75W―80=湿式ブレーキギヤケース、油圧装置、ミッション。
 この他様々な用途のオイルを販売している。
 ▽エコチェンソー油=植物性オイルを採用し、土壌汚染の心配の無いチェンソー用オイル。土壌にこぼしても自然に分解される生分解性を有しているため環境に優しい▽2サイクルスーパーマルチ(FC)=JASOのFC規格を取得し、潤滑性や洗浄性に優れた2サイクルエンジンオイル。草刈機等の農業機械の仕様に合わせ、25倍・50倍のどちらの希釈倍率でも使用可能。

春先に多い農機の盗難 農地に放置しないなど対策を

  春先に特に注意が必要なのが農業機械の盗難だ。農機だけに限った数値ではないが、2022年の特殊自動車(その他)の盗難認知件数は142件と決して少なくない状況だ。発生要因として、被害者の約3割は機械を農地に放置。また、同じく約3割で鍵がついた状態で放置されていたという(過去3年間の統計を警察庁の協力を得て農水省が分析)。
 また、発生時期は3~5月が増加傾向にあるため、春先が特に注意すべきとなっている。
 こうしたことから農水省では昨年、一昨年とポスター(写真は昨年のもの)を作成、注意を促している。
 今すぐできる盗難防止対策として、ポスターでは①農地に置いて帰らない②エンジンキーを必ず抜く③鍵のかかる場所に保管――の3点を挙げている。このほかにも、ハンドルロックやチェーン・南京錠などでタイヤをロックするといったものもプラスアルファの対策として挙げており、できるだけ多くの対策を講じることが有効だとしている。

 

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