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生産拡大へ転じる一年に 

生産拡大へ転じる一年に 
食料安全保障への懸念がクローズアップされるなか、加速度的に進む担い手の減少、生産資材価格の上昇、その一方で進まない農産物への価格転嫁など、課題は山積みだ。坂本農相が年頭の訓示で述べていた「食料安全保障強化元年」である今年は、こうした課題を解決し生産拡大へと転じる1年としたい。
 農業生産の維持・拡大において、なにより重要なのが(すでに本欄で繰り返し述べていることではあるが)、国民の食料安全保障への理解だ。先ごろ開催された日本農業機械工業会の新年賀詞交歓会において、献杯の挨拶で齋藤徹副会長がスイスの例をあげ「日本と同様に平地が少なく地形的には厳しい状況にあるにもかかわらず自給率は50%。国民の農業問題に関する関心も非常に高いと聞いている」などとしていた。こうした話は、エガリム法のあるフランスなど、いくつか例示されている。そうした理解が広がることが、再生産可能な、適正な農産物価格の形成につながる。わが国でもそうした循環が当たり前となるように農業関係者が一体となって取り組んでいく重要性を改めて強調したい。
 加えて重要となるのが、厳しい農業経営を支えるための支援策だ。
 先ごろ公表された令和4年農業総産出額及び生産農業所得(全国)によると、生産農業所得は近年概ね3・3兆円と横ばいで推移していたものが、3・1兆円に減少する結果となった。直近では令和2年(0・7%増)、3年(0・1%増)と2年続けて前年を上回る結果だったものの4年は一転して7・3%の減少となっている。農水省では、この要因を肥料、飼料、光熱動力などの農業生産資材価格が上昇したことなどが影響したとしている。実際、令和2年を100とした時、光熱動力費は約1・2倍に、肥料費が1・3倍、飼料費は1・4倍弱と大幅に上昇している。こうした生産資材の高騰は農家経営を非常に厳しくさせている。
 こうした状況を受け、政府としても、例えば、海外からの輸入に頼らざるを得ない肥料原料の場合、民間における備蓄を推進するほか、下水汚泥を始めとした国内資源の有効活用の推進に注力するなど、対策を講じることとしている。
 これら支援策の裏付けとなるのが昨年閣議決定された令和5年度補正予算、そして1月26日からの通常国会で審議される令和6年度予算だ。概算決定段階では、前年から減らされることも多かった他省庁と比べ農業予算は増額(林業、水産業は微減)されており、それだけ重要視されている証左だ。
 今後、国会で有意義な議論を行い、より有効に活用できる予算として磨くとともに、農水省にも、各事業がより使いやすく、効果のある実施要領、交付要綱の作成を期待したい。

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