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畝立て同時乾田直播機 23年農業技術10大ニュース 

畝立て同時乾田直播機 23年農業技術10大ニュース 

 農林水産技術会議は昨年12月25日、「2023年農業技術10大ニュース」の選定結果を明らかにした。10大ニュースは1年間で新聞記事となった研究成果のうち、内容に優れるとともに社会的な関心が高いと考えられるものを農業技術クラブの加盟会員(農業関係専門紙・誌など30社加盟)の投票で選定したもの。技術会議では、「みどり戦略やスマート農業を推進する成果のほか、生産者の作業負担を軽減できる技術が選ばれる傾向にあった」としている。

 今年選定を受けたのは、次の10件。①果樹の開花に必要な低温積算時間をひと目で把握「スマホで果樹の促成栽培管理を支援」②雨が降っても安心!「畝立て同時乾田直播機を開発」③サツマイモ基腐病に強い青果用かんしょ「べにひなた」「南九州における青果用かんしょの安定生産に貢献」④レーザー光による害虫駆除技術を開発「殺虫剤を使わずにレーザー光によって害虫を撃ち落とす新技術」⑤コメを活用した肥料被覆材を開発「プラスチック殻の土壌残存・海洋汚染「ゼロ」を目指します」⑥害虫の発生状況を遠隔からモニタリング「IoTを利用し、害虫の発生調査を自動化する装置を開発」⑦酵素パワーで生分解性プラスチック製品の分解を加速「ごみの削減に役立つとともにマルチフィルム処理労力を低減」⑧灰色かび病菌の感染の仕組み解明「RNA農薬の開発を目指す」⑨ホクホク食感のかんしょ新品種「ひめあずま」「青果用と菓子加工用の両方に適する「ベニアズマ」の後継」⑩茎枯病抵抗性のアスパラガス新品種「あすたまJ」を育成「茎枯病発生ほ場でも高収量が見込める革新的な抵抗性品種」。
 このうち、①の「果樹の開花に必要な低温積算時間をひと目で把握」は、スマートフォン等で果樹の開花に必要な低温積算時間を把握できるシステム。ウェブブラウザの操作で指定した園地の低温積算時間の実況及び予報値を表示できる。適切な時期に加温をすることで、無駄な加温を減らすことが出来、省エネ効果が期待される。また、開花率の向上や開花のそろいが良くなることも期待される。現在お試し版を無料公開中。会員登録で利用可能。
 ②の畝立て同時乾田直播機は、農研機構とI―OTA合同会社による共同開発で、安定的な二毛作に向け、適期直播が可能な多機能・高能率の乾田直播機。直播作業部の改良によって土が付着しにくくなり、降雨後の高水分土壌でも作業が可能となっている。
 水稲の乾田直播栽培は1経営体あたりの規模拡大が進む九州北部地域において作業能率の向上が期待できる有用な技術。しかし、これらの地域で主に行われている二毛作体系で乾田直播を行う場合には、麦類の収穫後、水稲のほ場準備から播種まで約1カ月程度しかなく、麦類の作付を行わない場合に比べて作業可能な期間が短いことに加えて、降雨によって土壌が高水分となると播種作業が困難となるため播種適期を逃しやすいこと、移植栽培では代かきによって問題と成りにくい漏水について防止対策が必須になるといった課題がある。漏水対策については、振動ローラによる鎮圧作業で防水が可能となる九州版乾田直播栽培技術を開発して普及を進めているが、降雨によって播種作業が困難となる問題が残されている。このため開発されたのが今回の乾田直播機だ。
 開発機はトラクタ後方に装着。表面が硬い台形断面状の播種畝を整形すると同時に畝の上面に播種し、ほ場の漏水防止と生育初期の降雨・滞水による湿害回避を図る。

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