井関農機の2024年上期新商品 国内向けBIG–T 海外向けモーアとコン パクトトラ

目次
トラクタBIGーT
【ヰセキトラクタBIG―T5S、6S、7S、8Sシリーズ】
▽T5Sシリーズ(105~145PS):T5S105(105PS)/同115(115PS)/同135(135PS)/同145(145PS)。
▽T6Sシリーズ(135~165PS):T6S135(135PS)/同145(145PS)/同165(165PS)。
▽T7Sシリーズ(155~210PS):T7S155(155PS)/同180(180PS)/同210(210PS)。
▽T8Sシリーズ(225~305PS):T8S225(225PS)/同265(265PS)/同305(305PS)。
《商品化のねらい》BIG―Tシリーズは、6気筒エンジン及び4気筒エンジンを搭載した大型トラクタで、北海道を中心に畑作、畜産市場で重作業・複合作業で高い能力を発揮し、好評を得ている。今回、T8Sシリーズにはヰセキトラクタとして最も出力の大きい305馬力のクラスをラインナップ。新エンジン、新キャビン等々、更なる設計変更と進化を繰り返し、より力強い作業と快適な作業空間を実現した商品となっている。T7S、T6S、T5Sにおいても欧州の排出ガス規制であるステージⅤに適合したエンジンを搭載し、更なる操作性向上を織り込みモデルチェンジ。
《NEWエンジン》①高出力、高馬力エンジン搭載=T8Sは7.4ℓ、T7Sは6.6ℓの6気筒大排気量エンジンを搭載(T6S:4.9ℓ、T5S:4.4ℓの4気筒エンジンを搭載)。低回転域での最大出力を実現しているので、粘り強い作業と燃費向上、低騒音、低振動を実現②排出ガス規制欧州ステージⅤ対応エンジン搭載=後処理装置として「DOC(酸化触媒)」と「SCRシステム」に加え「DPF」を追加することで最新のエンジン排出ガス規制に対応し、クリーンな排気を実現している。
《NEWキャビン(T8Sシリーズ》①4柱フレームキャビン=4柱フレームのキャビンを採用し、快適性、断熱性、冷却効率を向上させている。キャビン容量は約3.4㎥。ガラス面積は6.6㎡と広い空間を確保しており、高い快適性と視認性を確保している②新エアコン=14カ所の吹出し口を配置し、回転ノズルを採用している。オペレーターの周辺にリフレッシュな空気の流れを導く③新メーターパネル=メーターパネルはキャビン右前方のピラーに配置し、前方の視認性向上を図っている。また、縦型の高解像度な大きなカラー液晶パネルを採用しており、重要な情報も素早く認識できる。表示の切替えは回転ノブダイヤルにより直感的に操作でき、トラクタの情報が見やすくなっている。
《充実装備》①NEWマルチパッドレバー(X、F型)=1本のレバーで多彩な機能をコントロール可能。使いやすく、快適かつ効率的な操作が行える。また、マイクロジョイスティックで外部油圧2系統が操作可能になった②NEWデータトロニック5(X型)=9インチタッチスクリーンを採用し、大型で見やすくジョグダイヤルとタッチパネルの両方で操作が可能。外部油圧において、各操作スイッチの割りあてを自由に設定できるのでオペレーターのお好みでより使いやすく設定できる③ISO―BUS対応=トラクタと作業機を共通の規格(ISO)で通信する。これによりコントローラの省略やトラクタの車速情報などを作業機へ送信することで効率的な作業をサポート。X型は標準装備、またはP0(データトロニック5)のオプションとセットで装備④保温冷庫(T8S)=インストラクターシートの下部には、エアコンの空調を使用したクーラーボックスが設けてあり、オペレーターは適切な水分補給ができる。
発売は2023年10月。
価格はオープン価格。
海外向け乗用モーア
【ヰセキ欧州・オセアニア向け乗用モーア/SXG324・327及びモーアデッキ】
SXG324(20馬力)/同327(22馬力)/刈放し専用型式の設定(K型式)。
《開発のねらい》公園や住宅地など緑地での草刈りを中心とした欧州景観整備市場において、SXG3シリーズは性能面やほ場への適用性の高さから、プロユーザーを中心に好評を得ている。今回、従来機の基本性能を踏襲しながら、デザイン変更、更なる操作性の向上、エンジン馬力アップを加えた。
《デザイン》上位クラスの欧州向けフロントモーアと同じファミリーイメージのデザインに統一。
《操作性・利便性の向上》①ジョイスティックレバーの採用と右側集中レバーレイアウト=従来機では左側に配置していたモーアデッキ、コレクタリフトおよびダンプを操作するための独立した3本のレバーを、ジョイスティックレバー(コレクタリフト・ダンプの操作)とモーアデッキ操作レバーの2本とし、右側での集中作業レバー化により、作業性を向上した②チルトステアリングの採用=チルト機構の採用により、オペレーターの好みのハンドル位置に設定することができる③モーア駆動のスイッチ化=モーア(草刈り装置)駆動がスイッチでON/OFFできるようになり、使い勝手が良くなった④USBソケット、カップホルダーの標準装備=スマートフォンの充電に便利なUSBソケットとカップホルダーを装備した⑤オートクルーズの標準装備=作業中の速度を一定に保つことができ、長時間作業も快適に行える。
《高い作業性能》①エンジン馬力=好評の高トルクは継承しつつ、馬力をアップ(19→20馬力、21→22馬力)することで、さらに余裕のある作業を実現②最高速度アップ=従来機より最高速度を2㎞/h以上アップ。これにより、作業時間短縮にもつながる。(従来機)SXG323:14・4㎞/h→(今回)SXG324:16・6㎞(+2.2㎞/h)、(従来機)SXG326:16・3㎞/h→(今回)SXG327:19・0㎞(+2.7㎞/h)③コレクタ容量アップ=ハイダンプコレクタでは600ℓから650ℓに、ローダンプコレクタでは550ℓか590ℓに容量をアップさせ、集草に余裕を持たせた④コレクタのリフト速度の向上=コンテナリフトに要する時間を33%短縮することによって、作業効率が向上した⑤コレクタダンプ高さアップ(SBC650のみ)=従来の1940㎜から2000㎜にコレクタのダンプ高さがアップし、トラックなどへの草排出がし易くなった⑥ロプス折りたたみ時の高さの見直し=従来機よりロプスの折れ点を150㎜低くすることにより、入口が低い倉庫への進入や、バンへの搭載が行い易くなった。
《HVO燃料に対応した高い環境性能》欧州では、軽油と混合されたバイオディーゼルから、より環境負荷低減効果の高いHVO燃料(Hydrotreated Vegetable Oil:水素化植物油)への転換が進みつつある。SXG324、327では、HVO燃料に対応したエンジンと燃料ホースを搭載することにより、CO2排出量削減など環境にも配慮している。
《刈放し専用型式の設定(K型式)》刈放し専用型式(K型式)および48・54インチのリアディスチャジーモーアを設定した。集草をしない刈放し作業にも対応する。
発売時期は2023年6月。
海外向けトラクタ
【ヰセキ欧州・オセアニア向けトラクタ/TM4230・4270/および乗り越え対応モーアデッキ】
トラクタ:TM4230(21馬力)/同4270(25馬力)。(トランスミッション:HST仕様、メカ仕様)。乗り越え対応モーアデッキ:SSM54/SMM54/SRM54/SSM60。
《開発のねらい》欧州・オセアニア向け商品のボリュームゾーンであるTMシリーズは、景観整備プロユーザーからホビーファーマー・プライベートユーザーまで幅広く使われている。今回のフルモデルチェンジにより、仕様装備や基本性能を大幅に見直し、純正キャビンや乗り越え対応モーアデッキの設定等、市場要望の織込みを図った。
《デザイン》斬新さと高級感を持たせたデザインに一新した。また、エンジンフードを従来の分割式から1ピースフルオープンにし、エンジン回りの点検が必要な箇所にアクセスしやすくなり、日々のメンテナンスを簡単に行うことができる。
《基本性能の向上》①油圧揚力の向上(TM4230オプション、TM4270標準)=油圧揚力を従来機から150%アップし、装着できる作業機の種類が多くなった②純正キャビン(HST仕様のみ)=新設定した純正キャビン仕様は、市街地の歩道や公園の遊歩道・入口ゲートなど狭いスペースでの作業を考慮し、高さと幅を抑えたコンパクトなサイズで、エアコン、LEDワークランプ、フロントワイパー間欠機能、リヤガラス熱線等を装備した充実の仕様③最高速の向上(HST仕様のみ)=最高速25㎞/hを実現。公道走行や作業場所への素早い移動が可能④エコノミーPTO(HST仕様のみ)=エンジン回転数を抑えた作業ができるエコノミーPTOを装備により、住宅地などで求められる騒音低減や、さらに低燃費作業も可能になった。
《使い勝手の良さ》①チルトステアリングの採用=チルト機構の採用により、オペレーターの好みのハンドル位置に設定することができる②オートPTO・外部PTOスイッチ(HST仕様のみ)=前進時に自動的にPTOがONになるオートPTOにより、冬季での路上融雪剤散布の際にオペレーターはPTOスイッチを操作することなく作業が可能。また、トラクタ停止時にもPTOをONさせる定置PTO作業に対応すべく、着座しなくても操作ができる外部PTOスイッチを装備した③ジョイスティック付型式の設定=フロント作業機を操作できるジョイスティック式外部油圧取出し付型式を設定した④USBソケット、12Vソケットの標準装備=スマートフォンの充電に便利なUSBソケットと電源取り出し用の12Vソケットを装備。
《HVO燃料に対応した高い環境性能》欧州では、軽油と混合されたバイオディーゼルから、より環境負荷低減効果の高いHVO燃料(Hydrotreated Vegetable Oil:水素化植物油)への転換が進みつつある。HVO燃料に対応したエンジンと燃料ホースを搭載することにより、CO2排出量削減など環境にも配慮している。
《乗り越え対応モーアデッキ型式の設定》従来機では、モーアデッキを着脱するにはトラクタ横から押し込む作業が必要だったが、新型ではモーアデッキをトラクタ前輪で乗り越えることで、モーアデッキの着脱が容易になり、点検や整備もし易くなった。また、コラム下に草刈高さ調節ダイヤルを配置し、オペレーターは着座したまま草刈高さを調節できる。
発売は2024年3月。
トピックス可変施肥マップ連動施肥機
【《参考出品》タイショーマップ連動施肥対応ソワーGRANDY GRT―AGIシリーズ:GRT―300―AGI―S/GRT―300―AGI―L】
「GRANDY GRT―AGIシリーズ」:GRT―300―AGI―S/同―300―AGI―L。
《開発のねらい》2023年6月に、トラクタBF(Z型式のみ)と専用作業機を使用して、ザルビオフィールドマネージャー等に連携し、マップ連動可変施肥作業を行えることを発表していた。同様の機能は、海外製の大型ブロードキャスター等ではあったが、45~60馬力クラスのトラクタが制御する機能としては、BFトラクタが業界で初めてであり、都府県の規模が小さなほ場でもセンシングマップデータを活用した可変施肥作業を実現し、今後より多くの農家の資材コスト低減への貢献が期待されるソワー(グランディーシリーズ)を発売する。
《BFトラクタと連動した精密散布の実現》BFトラクタにザルビオフィールドマネージャー等のセンシングマップデータを取り込み、施肥マップを作成し、それに基づきほ場内の地力等に応じて可変施肥作業を実現する。また、可変施肥作業と同時に車速連動での施肥作業も実現。
《作業の効率化》散布幅は最大5.1m、ホッパー容量は300ℓの大容量ホッパーを兼ね備えており、作業の効率化を図る。ホッパーについては、高い耐久性のステンレスホッパーを採用し、異物除去や肥料載せ台として使用できるコシ網を装備している。
《便利な機能》①残量センサー=ホッパー内の肥料残量が少なくなるとアラームが鳴り、知らせしてくれる②オートヒッチ対応=オートヒッチ対応のため、ワンタッチで作業機の取り付け、取り外しが可能③スイッチBOX(作業機コントローラー)=散布・停止・量調節・ホッパーごとの播き分けも運転席で簡単に行える。
発売は2024年1月。
価格は▽GRT―300―AGI―S=159万5000円▽GRT―300―AGI―L=159万5000円。