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転換期迎える農産物流通 物流2024年問題迫る 輸送力不足の対策が急務に

転換期迎える農産物流通 物流2024年問題迫る 輸送力不足の対策が急務に
農産物流通に危機が迫っている。物流の多くを担っているトラックにおいて、近年人口減少等に伴う労働力不足に加え、長時間労働などが重なり、担い手が減少。労働条件改善のため、時間外労働の上限規制などが2024年4月からスタートするが、それにより更に輸送能力の低下が懸念される。
 全日本トラック協会の調査によると、近年トラックドライバー不足を感じている企業は増加傾向にある一方、労働時間は全産業平均より約2割長い状況となっている。
 農産物・食品流通は、トラックによる輸送が97%を占めており、トラックドライバーの減少とともに、今後更に厳しさが増すことが想定される。特に、生鮮食品については、①手積み、手降ろし等の手荷役作業が多い②出荷量が直前まで決まらないため、市場や物流センターでの荷降ろし時間が集中することで待ち時間が長い③品質管理が厳しく、ロットが直前まで決まらないため、運行管理が難しい④産地が消費地から遠く、長距離輸送が多い――といった課題が表出している。このため、輸送費の引上げだけでなく、取扱いを敬遠される事例も出てきている状況だ。
 加えて、大きな課題となっているのが、「物流の2024年問題」だ。前述の通り、長時間労働が大きな課題となっている物流業界において、トラックドライバーの長時間労働是正のため、厚生労働省において、2024年度からトラックドライバーに時間外労働の上限規制(年960時間)が適用されることが決まった。このほかにも厚労省の定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準)」では、年間拘束時間3300時間、1カ月の拘束時間284時間、1日の拘束時間13時間、休息時間継続11時間を基本とし9時間下限、といった労働時間の上限(拘束時間)がある。
 労働時間の上限を遵守しない場合、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金に科せられる可能性がある。また、当然のことながら、職場の労働環境を良くするうえでもこうした規制の遵守は必要だ。この結果、輸送能力不足に更に拍車がかかると見込まれる。民間調査会社のNX総合研究所の調査によると、2019年比で最大14・2%(4億t)の輸送能力不足が起こると試算されている。なお、発荷主別では農産・水産品出荷団体は32・5%不足すると試算されている。
 非常に厳しい状況に置かれている農産物輸送だが、こうした状況においては、農産物も鮮度を維持しながら、より効率的な輸送に取り組んでいくことが求められる。
 農水省では、青果物流通の標準化に向け荷主団体、卸売団体、物流事業者等から構成される「青果物流通標準化検討会」を設置、今年3月には「青果物流通標準化ガイドライン」を策定した。ガイドラインでは、パレット循環体制、外装サイズ、などについて、取りまとめを行っている。ガイドラインではパレットについて原則1・1m×1・1m(11型)のプラスチック製を推奨。外装としてはパレットからはみ出さないように積み付け、湿気による品質劣化を防止するよう、簡素なラッピングを行う、などとされている。
 加えて、期待されるのが、「モーダルシフト」だ。モーダルシフトとは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換すること(国交省資料)。北海道や佐賀、愛媛で実輸送実験などが進められている。
 また、すでにスタートした取組みとして、挙げられるのが、JR貨物が、JA全農と全農物流と共同でスタートさせた米専用貨物列車「全農号」だ。
 全農号は、先月5日発の運行に続き、同26日発、12月10日発を運行、今年度は月に最大2回ペースで運行し、来年度は調整中であるものの、最大月4回の運行を目指す考えだ。全農号は、八戸貨物駅から青森、秋田、新潟などを経由し、大阪市の百済貨物ターミナル駅を結んでいる。現状、全国の貨物列車の平均積載率は7割程度であり、まだ輸送量が増えても対応できるという。2022年度は野菜、米、果物などの農産品を約151万t運んだが、これは、単純計算すると1日当たり413台分のトラックに匹敵する。
 JR貨物の営業部河野副部長によると、「トラックドライバーは若手のなり手が少なく、今後さらに高齢化の進展が想定されることからも、貨物列車を選択肢の一つとして考えていただき、人手不足による輸送力低下の対策にお役に立ちたい。特に、2024問題で課題となる500㎞程度の中距離帯でもお役に立ちたい。現在、医薬品の輸送も開始しており、温度管理輸送の分野にも注力していく。また、構想段階ではあるが、パレット単位の小口混載輸送も検討しており、ニーズに応じて臨機応変な対応を行っていきたいので、ご希望の輸送方法について相談して欲しい」と話した。
     ◇
 現在、パレット輸送を始めとした効率的な輸送に力を発揮する製品・技術、そしてより長期間の輸送でも鮮度を維持できる製品・技術の普及が着実に進んでいる。もちろんこれらの製品・技術のみで物流の課題解決につながるわけではないが、大きな助けとなるのは間違いない。日本全体で物流危機を乗り切るための取組みが求められる。

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