農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 高性能林業機械導入を促進 スギ人工林2割減 花粉症対策伐採面積は年7万haへ

高性能林業機械導入を促進 スギ人工林2割減 花粉症対策伐採面積は年7万haへ

政府は11日、花粉症に関する関係閣僚会議を開催、「花粉症対策初期集中対応パッケージ」をまとめた。発生源対策として、今年度中に重点的にスギの伐採・植替え等を実施する区域を設定。伐採面積を現行の年間約5万‌haから10年後までに約7万‌haまで増加。スギ人工林2割削減を目指す。そのため、労働力の減少が見込まれるなか、高性能林業機械の導入を促進するとともに、農業等他産業との連携を進めることで過去10年と同程度の生産性の向上、現在と同程度の労働力確保を図る。

 政府では、今年5月、今後10年を視野にいれた施策も含めた花粉症解決のための道筋を示す「花粉症対策の全体像」を取りまとめている。
 今回とりまとめられた「花粉症対策初期集中対応パッケージ」は、それに加え、来年の花粉の飛散時期が近づくなか、「花粉症対策の全体像」に基づき、発生源対策、飛散対策及び発症・曝露対策について、「全体像」の想定する期間の初期の段階から集中的に実施すべき対応を取りまとめたもの。
 発生源対策としては、スギの人工林面積を10年後の令和15年度(2033年度)に約2割削減することを目指してスギ人工林の伐採・植替え等の加速化などの対策を集中的に実施する。
 具体的にはスギ人工林の伐採・植替え等の加速化では、今年度中に重点的に伐採・植替え等を実施する区域を設定し、伐採面積を現行の年間約5万haから10年後には約7万haにまで増加させるとともに、花粉の少ない苗木・他樹種への植替えを進めることでスギ人工林の減少スピード約2倍を目指す。加えて、伐採・植替えの一貫作業の推進や、路網整備の推進、森林集約化なども進める。
 スギ材需要の拡大については、今年中を目処とした国産材を活用した住宅に係る表示制度の構築や住宅生産者の国産材使用状況等の公表、建築物での木材利用をしやすくする改正建築基準法の円滑な施行(令和6年4月施行予定)、大規模・高効率の集成材工場、保管施設等の整備支援などを通じ、スギ材製品の需要を現行の1240万㎥から10年後に1710万㎥に拡大することを目指す。
 花粉の少ない苗木の生産拡大については、森林研究・整備機構における原種増産施設や都道府県における採種園・採穂園、民間事業者のコンテナ苗増産施設などの整備を支援、花粉の少ないスギ苗木の生産割合を現行の6割から10年後に9割以上に引き上げる。
 林業の生産性向上及び労働力の確保については、意欲ある木材加工業者、木材加工業者と連携した素材生産者・森林組合に対し高性能林業機械の導入を支援するとともに、農業・建設業等の他産業、施業適期の異なる他地域や地域おこし協力隊との連携の推進などにより、10年後も過去10年と同程度の生産性の向上及び現在と同程度の労働力確保を図る。
 会議に出席した岸田首相は「来年の花粉の飛散時期が近づく中、国民の安全・安心の確保につなげるべく、本日取りまとめたパッケージを経済対策に盛り込み、必要な予算を確保して、着実に実行に移す」よう指示した。なお、経済対策については、今月末までに取りまとめる予定だ。

関連記事

目指すは林業のプロ 京都森林組合の鶴野雄太さん 目指せ林業プロ 我が社のホープ

目指すは林業のプロ 京都森林組合の鶴野雄太さん 目指せ林業プロ 我が社のホープ

主伐面積は1万835‌ha 機械器具取扱高11億円 4年度森林 組合一斉調査

主伐面積は1万835‌ha 機械器具取扱高11億円 4年度森林 組合一斉調査

持続可能な森林管理へ 農林中金が7案件の助成決める 

持続可能な森林管理へ 農林中金が7案件の助成決める 

福井で林業機械展 10月20・21日、勝山市で

福井で林業機械展 10月20・21日、勝山市で