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中山間地の防除効率化探る 日植防シンポ

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スマート農機実演 9年ぶり長野で現地開催

 (一社)日本植物防疫協会(早川泰弘理事長)は9月27、28日、長野市内で「中山間地域における病害虫防除の課題」をテーマにシンポジウムを開催。9年ぶりの現地開催とあって260名が参加した。シンポジウムでは、長野県の信州伊那谷におけるスマート農業技術の導入実証などが紹介されたほか、傾斜地カンキツ栽培におけるドローン用の濃厚少量散布について新たな知見も発表された。2日目は、ロボット田植機やドローン、ラジコン草刈機などの実演が行われ関心を集めた。

 
                IHIアグリテックのリモコン式草刈機。法面45度に対応

              クボタアグリロボ田植機「NW8SA」。ほ場マップで条間を自動調整

             丸山製作所のハイクリブーム「BSA―2000C」は散布幅21.9m 

             XAGの無人車R150。2本のスプレーヤーで上下左右に散布

長野県信州伊那谷の農事組合法人田原、スマート農業実証

 中山間地域は、全国の耕地面積、総農家数、農業算出額のそれぞれにおいて約4割を占め、日本農業において重要な役割を担っている。また、洪水や土砂崩壊などを防ぐという多面的機能も持っている。一方で小区画のほ場が多数あり、大型機械による作業の効率化は困難だ。そのなか、離農による規模拡大が進み、防除を含むきめ細かな管理が難しくなっており、スマート農業技術の活用が期待されている。
 長野県は農地の8割が標高500m以上、水田傾斜の割合も全国平均に比べて多い。 長野県信州伊那谷の農事組合法人田原は、水稲でスマート農業の実証に取組んだ。自動運転トラクタでは、無人機+有人機の2台協調作業で、1人で複数圃場を同時に作業し、有人機に比べ作業時間が55%削減した。また直進アシスト田植機(8条植)では、正確に条間合わせができることから使用苗箱数が23・5箱から11・9箱に削減。疲労軽減にも役立った。
 自動給水栓では、降雨による増水はあったもののおおむね設定どおりに稼働し、水管理にかかる時間が83%削減した。
 畦畔草刈機の実証では、リモコン式水田草刈機の場合、作業時間が自走式斜面草刈機とリモコン式水田草刈機いずれも約70%以上削減した。 
 ドローンでは作業時間が約40%短縮された。薬剤は少量拡散剤(豆つぶ剤)を使用し、ドリフトもなく確かな防除効果も確認された。実用上支障がなく、地上散布から全面切り替えを行う方針となった。なお散布装置の粉詰まりやバッテリー持続時間、搭載可能量の改善が要望されている。
 また生育モニタリングで葉色値が低い圃場に追肥することで7.4%収量が増加。また食味収量コンバインと乾燥システムにより、倒伏が軽減し11%増収、タンパク質含有率は6.6%以下の「プレミア米」に近づいた。鈴木氏は、「水稲の省力化をすすめることで野菜や果樹の栽培に労力を振り替えられることが大きなメリットにつながった」と述べた。

傾斜地カンキツ栽培における無人航空機を利用した病害虫防除静岡県経済産業部産業革新局の増井伸一氏が講演

続いて、傾斜地カンキツ栽培における無人航空機を利用した病害虫防除について、静岡県経済産業部産業革新局の増井伸一氏が講演。以下その内容。
 カンキツ産地では、労働力不足と供給量不足の課題を抱えている(国は令和2年に、需給調整から生産強化へ政策を切り替えた)。
 ドローンの活用が望まれる傾斜地のカンキツ園は、立体的であるため、ドローンでの散布水量が多い。静岡県では、少量濃厚散布農薬の登録促進に向けた取組みが行われている。ドローンなどのUAV用農薬を選抜する試験のなかで、被覆率が低くても効果が期待される薬剤が存在しており、今後、農薬の開発段階で濃厚少量散布に適した化学物質を選抜できる可能性を指摘した。またダウンウォッシュを活用して飛行経路での付着性を検討した結果、急傾斜地では斜面上下方向の飛行を推奨しているとした。増井氏は「散布者暴露も考えると農薬散布の無人化が一つの流れになっている。濃厚少量散布技術の進展が望まれる」と述べた。
 2日目の実演会では、関東甲信クボタがアグリロボ田植機、丸山製作所が畑作大型ほ場向けのハイクリブーム、DJIJAPANが、T10、T30、XAGJAPANは、P40、V40、無人車のR150、有光工業は施設防除の常温煙霧機、IHIアグリテックがリモコン草刈機を紹介した(詳細次号以降)。

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