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豆類共励会受賞者の横顔 安田大樹氏(大豆家族経営の部農林水産大臣賞)

様々な技術で省力的栽培を実現

防除はドローンで 施肥・播種・排水対策は同時に

 豆類においては、実需に見合った生産加工による高付加価値化、栽培技術の向上、土地利用の高度化、輪作体系の定着化―など様々な課題がある。そうしたなか、全国でこれらの課題を解決し、優れた経営を実現している事例も増えている。こうした状況を受け、JA全中はJA新聞連との共催で全国豆類経営改善共励会を開催している。先ごろ令和4年度(第51回)の表彰式が開かれ、120点の応募の中から各賞が表彰された。本紙では回を分け受賞者の取組みを紹介する。

【安田大樹氏(大豆家族経営の部農林水産大臣賞)】

安田氏は、作付面積8haでナカセンナリを作付け、10aあたり収量は340㎏、上位等級比率は91・1%と収量・品質とも優れた成績を収めている。
 安田氏は、栽培技術の向上により、単収で大麦500㎏、大豆300㎏を確保できるようになり水稲よりも麦大豆の二毛作の方が所得が多く得られるようになったことで面積を拡大。更に社会情勢で米価下落が予測できたため、米は契約栽培に絞り、残りを麦大豆に転換した。麦大豆は連作障害があることから、長期的に高品質の大豆を多く収穫するため、2年3作の輪作を実施しているが、大豆の出来高を見て水稲期間を長く設け、限られた農地で最大限の所得が得られるよう工夫している。
 また、排水が悪いほ場では畝立て同時播種技術を取り入れ発芽率を向上させている。前作を大麦にすることで、早期播種が可能となっており、大豆の生育期間を長くとることができている。加えて、開花期前までに全てのほ場で摘心を行い着莢数の増大と倒伏防止に努めている。子実肥大期には可能な限り潅水を行い大豆の肥大化を図っている。なお、マルバルコウ等の難防除雑草は全て手で取り除いている。
 省力化に向けてはドローンを導入し防除作業を実施。作業時間が大幅に軽減した。加えてニプロの畝立板と高速耕うんが可能なサーフロータリをシーダーに組み合わせ、施肥、播種、排水対策を高速度で同時に行っている。このほかにも堆肥入り炭苦土等の新資材の試験も行い、地力の維持と作業効率の向上を目指している。
 近年ではナカセンナリ以外にも実需者からの要望で黒大豆を作付けていたが、コロナ禍で取引が停止。ニーズに対応した品種の検討は必要だが、JA取引は軸に置く必要があると考えている。
 今後については、SDGsやみどりの食料システム戦略が大きく注目されるなか、無農薬栽培の検討が必要と考えているという。現在、大豆は晩播平蒔き狭畦栽培がメインで除草剤散布が不可欠。機械除草の導入を視野に入れ情報収集を行いながら播種方法も検討していくとしている。
 また、農薬の使用量を減らすと品質の低下が予想されることから、最終的な品質調整のための色彩選別機導入も視野に入れる。
 加えて、面積拡大に伴い生産量が増える中で、高品質維持のためには大豆の一時保管施設等の貯蔵施設も必要になると思われることから、長期的視点に立って施設への設備投資も行っていく予定だとしている。