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農機の電動化加速へ 研究開発棟を整備 農業機械研究部門の鴻巣附属農場に

 農水省はみどりの食料システム戦略において、農林業機械の電化に関して、2040年の技術確立をロードマップに掲げて取組を推進している。そうしたなか、農業機械の電化について、農研機構農業機械研究部門(安原学所長)の附属農場内に研究開発を行う施設を整備することがわかった。先ごろ公表された農水省の令和6年度予算概算要求に盛り込まれている。整備に対しては、農研機構施設整備費補助金として概算要求額は1億4600万円を計上している。

目次

農業機械における化石燃料使用量削減

  農水省はみどりの食料システム戦略において、2050年までにCO2ゼロエミッション化を目標として掲げており、具体的なKPIとして、農業機械における化石燃料使用量削減に向け、既に実用化されている技術の導入促進と電化・水素化等の技術開発に取り組んでいる。
 前者については、自動操舵システムや電動草刈機について、2030年までに担い手への普及率50%を目指している。なお、2021年の実績として、自動操舵システムは4・7%、電動草刈機は16・1%(いずれも農産局技術普及課調べ)となっている。一方、農機等の電化・水素化については、2040年までの技術確立を目指すことを目標として掲げている。
 これらの実現に向けては、農山漁村での再生エネルギー導入を視野に、電動農機の種類や対応作業のラインナップ拡充等の技術開発を進めることが求められている。

新整備される「電動農業機械技術研究開発棟」

 農水省は、令和6年度予算概算要求では、農産局技術普及課管轄の予算のうち、「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構施設整備費補助金」として、「電動農業機械技術研究開発棟整備その他工事」に1億4600万円を計上した。これらの新たな研究ニーズに対応するため、農研機構農機研の附属農場に農業機械の電化技術等の研究開発環境を整備する。新たに整備されるのは「電動農業機械技術研究開発棟(仮称)」。整備場所は埼玉県鴻巣市にある農機研附属農場の敷地内を予定しており、令和6年度内の着工を目指す。
 整備される施設・附属設備等の具体的な内容としては、①農機の電動化に向けた機器改造に必要な設備②再生エネルギーを利用した農機を開発するために必要な蓄電・給電設備③電動農機を制御する電子基板等の開発に必要な基盤制作設備④電動農機が取得したデータをスパコンに転送・解析するために必要な設備⑤電動農機を遠隔監視・操作するシステムの開発に必要な設備⑥小型電動農機の基礎的走行性能試験用全天候型試験路⑦農業用ドローンの開発に必要な離着陸ポート――を想定。このため、開発棟内には、走行制御試験室、遠隔制御監視室、電動化技術実装室、再生エネルギー制御開発室のほか、バッテリ交換ステーション、ソーラーパネルなどを整備する予定だ。
 附属農場の試験ほ場では、電動草刈機や追従ロボット、除草ロボット等の性能試験を実施。電動農機技術研究開発棟にある遠隔制御監視室から遠隔操作・遠隔監視を行い得られた作業記録や画像情報については、農研機構の有するAI研究用スパコン「紫峰」を用いて解析を行う。また、遠隔監視はさいたま市の農機研でも行うこととしている。

 

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