農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

北興化学工業＝佐野健一社長、東京都中央区日本橋＝は、７月５日、同社、創業の地である北海道の農薬工場（現在は滝川市北滝の川１４７０）に報道関係者を集め、昨年11月に竣工した除草粒剤の新プラントを披露した。新プラントは「高効率化・省力化・環境対策」をコンセプトとした最新鋭の技術を装備。同社の企業価値向上に大きく貢献するものと期待される。


　新プラント玄関で。小坂工場長（左）と広報の古藤マネージャー　

小坂彰人工場長は新プラント披露の冒頭の挨拶で「新プラントは、高効率化・省力化・環境対策の３つをコンセプトに設計された工場で、原料の搬送・計量、製品の包装から最終段ボールに梱包しパレットに積み付けするまでの自動化設備と、能力を強化した脱臭設備を備えた工場となっている。また、当プラントで高拡散性粒剤『楽粒』など付加価値の高い新製剤を生産し市場に提供することで、当社の目指す〝農家様のトータル生産コスト低減〟をサポートしていきたいと考えている」と述べた。
　続いて、北田国樹・生産チームリーダーがプラントの概要等を説明した。
【北海道工場・新プラント】生産体制は24時間３班３交代制。建築面積は２９６５㎡、延床面積は５１６４㎡。鉄骨地上４階建て。１階南側は包装設備、２～４階は造粒設備（メイン設備は集中管理できるよう３階に配置）、１階北側は製品倉庫。生産品目は①除草粒剤（カイリキＺ１キロ粒剤、カソロン粒剤2.5など）②ジャンボ剤（カイリキＺジャンボ、メテオジャンボなど）③高拡散性粒剤（サキガケ楽粒、ワザアリ楽粒、ノックアウト楽粒など）。
《新プラントの３つのコンセプト》①高効率化＝▽原料自動計量化（省人化）▽切換洗浄性：製造ラインを縦積みに連続化（高さを利用した配置）したことによる機器の水洗洗浄性をアップ▽製品タンク分割：変動する生産スケジュールに柔軟に対応するため製品タンクを分割化②省力化＝▽立体自動倉庫：原材料自動搬送システム導入による資材運搬作業の省力化▽主要設備集中管理化③環境対策＝▽臭気対策：スクラバー脱臭装置に活性炭脱臭装置を追加▽騒音対策：騒音振動の発生源になり易い機器の囲い工事、天井・壁吸音対策▽省エネ：ＬＥＤ照明。
《設備フロー》自動ラック倉庫から各階に原材料を搬出入するシステムとなっており、４階に原料を投入→３階で計量→２階で混合→４階で液体原料と混合→３階で混練・造粒→２階で乾燥→３階で篩分けし製品が完成→１階で充填→個装重量チェック→梱包→製品重量チェック→パレット積み→ラック倉庫という流れになる。これらは製造管理室で集中管理される。
　　　　◇
　その後、１階の倉庫と計量・包装工程（当日はジャンボ剤）を見学。清潔で臭気など全くない、そして静かな工場で見事に自動化された効率的な生産ラインを体感した。

　　　　　　　自動化の進んだ包装工程

【北興化学工業について】１９５０年創業。農薬とファインケミカル製品の製造販売が主な事業内容。社名の由来は北の国・北海道で会社を興したことによる。農薬事業では〝種子から収穫まで護るホクコー農薬〟をモットーに農薬を生産販売し、農産物の安定供給をサポート。ファインケミカル事業では、グリニャール反応をキーテクノロジーとして、高品質のファインケミカル製品を開発し、幅広く国内外の産業活動を支えている。従業員数は６４７名。農薬部門の国内拠点は北海道～福岡まで３工場６支店、３試験農場。系統メーカーとして全国展開。
《北海道工場以外の製造工場・開発研究所》▽新潟＝新潟県新発田市、敷地面積12・８万㎡、製造品目は粒剤・乳液剤・ゾル剤▽岡山＝岡山県玉野市、18・4万㎡、製造品目は箱粒剤。そのほかファインケミカル事業▽開発研究所（神奈川県・厚木試験農場）▽北海道試験農場（北海道夕張郡）▽静岡試験農場（静岡県牧之原市）。
《北海道工場》１９７０年留辺蘂工場から米作地帯の滝川市に移設、操業した。敷地面積5.3万㎡。従業員数60名。粉剤・粒剤・水和剤・顆粒水和剤の工場で粉砕・混合・造粒設備を持つ。ＩＳＯ９００１、ＩＳＯ１４００１、ＩＳＯ４５００１取得。