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井関農機・冨安社長がソウミラに出演 夢ある農業の実現へ ハード・ソフトで全力投球

井関農機・冨安社長がソウミラに出演 夢ある農業の実現へ ハード・ソフトで全力投球
井関農機の冨安司郎社長は、ラジオ日経の『ソウミラ~相対的未来情報発信番組』で3月2日放送された『スマート農業最前線!』に出演した。『ソウミラ』とは、相対的未来の略称で、既存ビジネス、新規ビジネスに必要なものは何か?など企業の経営者などからビジネスについて話を聞きながら深掘りしていく実践的ビジネス情報番組。ユーチューブでも配信。

 当日の番組は冒頭でメインパーソナリティーの大野泰敬氏がトレンドとして『水素菌』を取り上げ解説、続いてデータアナリストの菊池健司氏が、2月28日発表された人口動態統計を取り上げ、日本の出生数が80万人を切ったこと、今後の予測等を解説した。
 続く未来への羅針盤を手にすべく魅力あるゲストを招いて最先端情報を聞くという趣旨の『未来コンパス』などのコーナーに冨安社長がゲスト出演。大野氏、菊池氏及び榎戸教子キャスターの質問に答える形で進行した。
 ――農業生産者には生産資材高騰や後継者問題など多くの課題があるが、井関農機では生産者にどういった取組み・サポートを?
「農作業には、熟練のノウハウ・技術が重要だ。一方で農業は儲からないイメージが強い。これらが農業者のハードルとなっている。弊社では〝夢ある農業〟即ち〝儲かる農業〟の実現に向けて、省力・低コストの農業をハードとソフトの両面で提案・サポートさせて頂いている。ハード面では、『直進アシスト機能』を搭載した製品が典型で、2017年に田植機を商品化した。田植えが一番難しい。ベテランの方でもまっすぐ植えていくには神経を要する。この直進アシストでは、不慣れな方でもベテランの作業ができ、ベテランの方にとっても疲労低減につながる。トラクタにも小型・中型クラスに搭載しており、昨年12月には、コンバインにも搭載した。新規就農の方、ベテラン農家の皆さん、いずれにも力になる機械を展開して参りたい。一方でソフトの面では、茨城県のつくばみらい市に夢ある農業総合研究所(以下、夢総研)を設けているが、ここでは先端営農技術などの研究・実証を行っている。この夢総研を起点に全国に展開している販売子会社等を通じ、スマート農機等を活用し、各地域にあった営農技術、ノウハウを提案させて頂いている。我々は農業機械総合専業メーカーとして培ってきた知識経験を活かしたサポート・提案によって生産者の皆様にお役に立っていきたいと考えている」
 ――肥料価格の高騰に対しては?
「私共は可変施肥田植機というのを出している。田植えをしながら、リアルタイムでセンシングをして、田んぼの肥沃度と作土深に合わせて施肥するという機能を持った田植機だ。全面均一散布に比べ最大3割の肥料を節約できる。これは経済的にプラスなだけでなく環境にも優しい。加えて、過度に生育すると、稲穂が実った時に倒伏を生み稲刈り時の効率を悪化、或いは台風の時に稲穂が水に浸かり品質劣化するが、そうしたことも防ぎうる機械だ」
 ――こうしたことが儲かる農業にも繋がっていくのですね。ところで、人手不足、省人化への対応は?
「先ほどご紹介した直進アシスト機能搭載の機械の更に1歩先を行くのがロボット農機でこういったものが徐々に拡大している。弊社の場合は有人監視型のロボットトラクタ、ロボット田植機を既に発売している。ロボットトラクタを使えば、一人のオペレータが2台同時に作業を行い、それにより効率化、省人化を図れる。また苗の運搬を減らせる疎植栽培という技術もある。このようにハードとソフトの両面から対応している」
 ――他企業との連携。
「オープンイノベーションには力を入れている。最近では、アイガモロボを開発した有機米デザインと有機農業の取組みを一緒にやらせてもらっている。有機農業は一昨年から、農水省もみどりの食料システム戦略で旗を振り始めている。環境を考えた時に有機農業は大きなテーマだ」
 ――アイガモロボとは。
「GPS機能を有して太陽光発電をしながら自律航行する。田植後3~4週間、田んぼで稼働させることで、土を濁らせて雑草の光合成を遮断し生長を抑制するスグレモノで非常に便利な機械だ」
     ◇
 その後、ソウミラスタートークのコーナーではスマート農業、今後の井関農機について語った。
 ――スマート農業の普及があまり進んでいないのはなぜか?
「徐々に進んでいる。ここ50年くらいで、米を作る時間が7分の1くらいに削減された。スマート農業でさらにこれを進めていくということが大切だと思っている」
 岡田氏は「スマート農業というと、最先端テクノロジーをITベンチャー企業が作って…のイメージがあったが、一見普通の田植機に最先端技術が詰まっている、そしてすでに出回っている、そういうことなんですね」と感想を述べた。
 ――100周年を目前にする井関農機が目指す未来は?
「日本は農業人口も減っているが、お米を食べる層も減っている。大型の先端機械を進めていくというのが大きな方向性だ。一方、中山間地の方々にどう機械を提供していくかも大切だ。また食料自給率を考えると米だけに頼ってはいられない。野菜、豆、麦、コーン、こういったものにも注力していく必要がある。欧米ではアグリと別な部門で機械を提供をしているが、今後の世界人口増・食料事情を考えた時、まず我々が得意な稲作分野の機械をアジアでどう役立てて頂くかだ。国連が昨年11月世界の人口が80億を超えたと発表した。一方で、8億強の飢餓人口がある。72億人の食料しか供給できていないが、世界人口は2050年までには100億前後にまで拡大すると言われている。1.5倍の食料を2050年に向けて生産していかなければならない。しかし耕地面積は増えない。ここに我々農業機械メーカーの課題・責任があり、農業の生産性向上に貢献していきたいと考えている」
 ――カーボンニュートラルの取組みは?
「工場においては燃料の重油からの転換を、生産する機械では電動化を進めている。電動の草刈機は欧州で限定販売を始めた。水素についても期待しており、これを取り入れた開発も睨んでいる」
 最後に、大野氏が「ウクライナ問題に端を発する食料安全保障等の問題もあり、井関農機さんへの期待値はどんどん高まっていくと思います。これからも、新しいものを作りながら、世の中をより良くしていって頂きたいと思います」と述べた。

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