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ヰセキ全国ミーティング・全国表彰大会 

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ヰセキ全国ミーティング・全国表彰大会

 井関農機(冨安司郎社長)は1月12日、東京・港区のグランドニッコー東京台場に800名を参集、オンライン含め約5000名が参加し「ヰセキ全国ミーティング2023」及び「2023年ヰセキ全国表彰大会」を開催した。今年のキーワードは「『変革』をさらに邁進する年に」。全国ミーティングでは「井関100周年に向けて」をテーマにパネルディスカッション。表彰式では、熱烈な商戦を逞しく勝ち抜いた強者である受賞者達が自信に満ちた表情で登壇。1年の労を労われた。

収益とガバナンス強化 ベストソリューション提供  冨安社長の挨拶

 お忙しい中、全国からご参集いただきありがとうございます。昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種が進み、社会経済活動は、正常化に向け徐々に回復しつつあります。ただし、コロナ禍に端を発した原材料調達の乱れと価格の高騰、大きく変動する為替、さらにはウクライナ情勢によるそれらの増幅等、事業環境は大きく厳しい方向に変わり、まさに未曽有の一年でした。またサプライチェーンの混乱による生産用部品の入荷遅れに伴い、一部の当社製品の供給遅延も発生し、販売現場の皆様にはご迷惑をおかけしております。
 そのような中でも、各地での熾烈な商戦を逞しく勝ち抜き、輝かしい成績をあげられました優秀特約店の皆様、販売会社のトップセールスマン、サービスマンの皆様、また支えて頂いている職場の皆様やご家族の日頃のご尽力に心から敬意と感謝を表します。
 それでは、年頭にあたり、我々を取り巻く環境と、そうした中での当社の取組みの一端をお話しし、また皆様方へのお願いを申し上げさせて頂きたいと存じます。
【市場環境の方向性】ウクライナ侵攻を機に、食料安全保障という言葉も自然と耳に入ってくるようになりました。国内では食料自給率の課題を抱え、昨年、世界人口が80億人に達し今後も増加することが想定される中、食料の増産ニーズは世界的なテーマとなっています。また、内外を問わずSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みが求められてきています。
 そのような中で、国内市場は大規模化、先端技術活用、畑作・野菜作への作付転換といった大きな変革期にあることに加え、農政が掲げる「みどりの食料システム戦略」が、今後の方向性を明確に示しています。同戦略は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するものです。その実現に向け、スマート農業技術の加速化、カーボンニュートラルの推進、環境に配慮した有機農業の拡大等が進められていきます。農機メーカーである当社の果たす役割は大変大きいと感じており、積極的に取り組んでまいります。
 海外に目を向けますと、特に農業機械の普及が進みつつあるアジアは、水稲が中心で伸び代が大きく、また欧州を中心に環境性能を重視した製品のニーズが益々高まっています。そうした中で、当社の強みを発揮してまいります。
 当社は一昨年、創立100年目を迎える2025年までの中期経営計画を策定しました。中期経営計画の基本戦略は二つです。一つ目は「ベストソリューションの提供」、二つ目に「収益とガバナンス強化による企業価値向上」です。販売会社の皆さまには「収益とガバナンス強化による企業価値向上」について、現在進めて頂いている収支構造改革を一層進めて頂くようお願いし、本日は「ベストソリューションの提供」に絞ってお話しさせて頂きます。
【ベストソリューションの提供】国内においては、農業の構造変化を促す動きが進む中で、大型機械や先端技術を駆使したスマート農業に加え、環境に優しい農業にハードとソフトの両面から対応してまいります。
 具体的には、ハード面では、直進アシスト機能付きの大型コンバイン「HJ」、フロントエンジンに「変革」した10条植え田植機「PJ10」を発売します。トラクタも含め自動操舵シリーズ「All Japan」が揃い踏みです。また、昨年、本日お越しの有機米デザイン社様と当社は資本業務提携を行いました。有機米デザイン社様が開発する「アイガモロボ」は、農薬を使わず雑草の抑制ができる環境に優しい商品です。みどりの食料システム戦略の中核となる本商品を、当社と取引のないお客さまへのドアノックツールとしても活用し、売上・シェア拡大に繋げていきましょう。
 ソフト面では、営農ソリューションポータルサイト「Amoni」の更なる推進により、農業経営者の抱える課題解決や新たな農業へのチャレンジを応援し、製品だけでなくモノからコトへ、 「サービス」の提供にも注力して参ります。
 お客様に安心して当社製品をご利用頂くための技術サポート力の更なるレベルアップと併せ様々なお客様のニーズにお応えし、国内市場で戦うための商材と体制は整ってきたと感じております。皆様には、更なるご奮闘を。一緒に今期商戦を戦っていきましょう。
 海外では、アジアの中でもアセアン市場においては、タイIST社が一層の推進力となります。日本で培った当社の強みを営業力に活かし、次の成長を目指します。また、今後の成長が見込まれるインドにおいては、ビジネスパートナーであるTAFE社と当社は、昨年技術・業務提携を拡大しました。欧州市場では、昨年下期にISEKIドイツ社を子会社化し、また温室効果ガスの排出抑制に資する電動モアの限定販売を、他社に先駆けて開始しました。そして、ライフスタイルの変化に伴い拡大が続いてきた北米市場では、本日お越しいただいているアグコ社様とともにシェア拡大に取り組んでまいります。海外売上は、中期経営計画を上回るスピードで伸びています。各地域でのビジネスパートナーとの更なる連携強化を通じ、市場での存在感アップとブランド・シェア拡大につなげてまいります。
【結びに】現在は歴史的にも大きな変動期の只中にあります。私共もその変化以上の速度と深さで対処していかなければならないと考えております。いよいよ100周年に向けたカウントダウンが本格化する本年、現下の厳しい状況を打破すべく、井関グループは「『変革』にさらに邁進する年に」をキーワードに掲げております。営業第一線の現場力を一層充実させ「変革」に邁進していきましょう。そのためには本日ご参加の特約店の皆様、セールスマン、サービスマンをはじめ販売会社・関連会社の皆様方のより一層のご活躍が原動力となることは申し上げるまでもありません。引き続きのご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げます。。

IXでシェアアップ 小田切専務

 井関農機は2025年創立100周年を迎えます。「農家を過酷な労働から解放したい」という創業者の想い、この創業の理念を連綿と受け継ぎ、社会の環境変化に柔軟に対応しながら、当社の基本理念であります「お客様に喜ばれる製品・サービスの提供」を通じて、豊かな社会の実現に貢献していかなければなりません。
 我々が掲げる長期ビジョンは「食と農と大地のソリューションカンパニー」であり、課題を解決する企業になることです。「人・社会」の生活に不可欠な「食」。「食」の生産を担う「農」。「人・社会」の生活基盤である「大地」。「大地」を守る「農」。「食」と「農」と「大地」は全てが繋がっており、『農』を守る、生活になくてはならない企業として農業機械メーカーISEKIの役割は今後益々重要となってきます。
 2025年までの中期経営計画のスローガン、「ISEKIトランスフォーメーション(IX)2025」、これは現在の環境がすさまじい勢いで変化していく中、我々もそれ以上の速度で変革、進化を遂げて、中期経営計画の達成を図るものです。2023年は、中期経営計画の3年目になります。厳しい環境の中で、激戦が続きますが、戦いを勝ち抜くキーワードは「ISEKIトランスフォーメーション2025」です。優秀特約店の皆さま、トップセールスマン、トップサービスマンの皆さまをはじめ、井関グループ全社員が一丸となって、顧客拡大、シェアアップしてまいりましょう。

井関100周年に向けパネルディスカッション

 「井関100周年に向けて~IX(ISEKIトランスフォーメーション)2025~食と農と大地のソリューションカンパニー~」をテーマに掲げたパネルディスカッションには小田切専務・開発製造本部長はじめ5人のIX推進のリーダーが登壇。聞き手は、IR・広報室の植田麻美氏(関連記事10面)。
【ISEKIトランスフォーメーション(IX)とは?】2025年に100周年を迎える井関農機だが、その環境は新型コロナウイルス感染、気候変動などリスクが多岐にわたる。あらゆる課題解決に向けて変革し、グループの長期ビジョンである『食と農と大地のソリューションカンパニー』を目指し邁進していくことこそがIXだと考える(縄田国内営業本部長、以下、縄田常務)。
【井関創立100周年に向けて井関グループが目指す姿とは?】創業の理念である『農家を過酷な労働から解放したい』をベースに『お客様に喜ばれる製品・サービスの提供を通じ豊かな社会の実現に貢献する』。そしてそれを実現する『食と農と大地のソリューションカンパニー』が井関グループが目指す姿だ。我々の産業はエッセンシャルビジネスだ。誇りを持って臨んでもらいたい。グループとして意識しなくてはならないのは、中期計画の基本戦略①ベストソリューションの提供(モノからコトへ)と②収益とガバナンス強化による企業価値向上だ(深見常務)。
【課題解決に向けた国内営業の取組みは?】個人農家は昨年122万人。2年間で15万人減。持続可能な農業への転換が必要だ。ロボット農機、可変施肥田植機、直進アシスト製品といったスマート農機、有機農業のアイテムとしてのアイガモロボといったハードに加え、ソフトではAmoni、アイマガジン活用、人材育成などを進めていきたい(縄田常務)。
《千葉県・ライスファームもとごや・鈴木正昭氏》コンバインの直進アシスト仕様を導入。トラクタ向けの直進アシストと異なりAB点を設定することなく、直進ラインを作るのがとてもいい。フルに自動化するというより、ちょっと人を手助けしてくれるような感覚の機械なんだと感じた。
《福島県・坂本農園・坂本和徳氏》発売とほぼ同時に可変施肥田植機を導入した。肥料の使用量が2~3割削減できた。これは肥料高の今、大きい。倒伏も減った。
《秋田県・㈱権右衛門・須田貴志氏》昨年農業をやめるという農家20名の水田10‌haを新たに引受け、現在、水稲は40‌ha。水稲は20年前から除草剤を使わない無農薬栽培。3年前からアイガモロボを実証試験しているが、雑草抑草効果はかなり高い。また、アイガモロボが稼働中は常に酸素を土中に送るため、初期生育がいいと感じている。代かきの段階から早めに稼働させることで、よりふわふわの土壌で田植えを迎えると収量もかなりアップできると期待している。アイガモロボを購入する。
 ここでアイガモロボの有機米デザインの山中代表と中村取締役が登壇。パネルディスカッションに加わった。
《有機米デザイン・山中代表》(2019年に東京農工大と共同研究契約を結び有機米デザインを設立、自動抑草ロボット『アイガモロボ』を開発今年、井関農機から発売する)。
 我々は、山形でハウス50棟で農業をやっている。農業は難しい。日々悪戦苦闘。どうやったら農業が儲かるようになるのか、子供に継がせたいものになるのか日々真剣に考えている。有機農業は農家が所得を向上させる手段、非常に合理的だとの結論にたどり着いた。昨年の週刊ダイヤモンドの儲かる農業特集では第1位となった。
《同・中村取締役》農業を身近に感じてもらいたいという想いもある。
【課題解決に向けた海外営業の取組み】3地域でそれぞれの課題解決を紹介する。1つ目がアジア。人口増が著しい地域では、当社が歴史的に得意とする稲作の農機。2つ目が欧州での景観整備事業。欧州では景観整備はエッセンシャルビジネスと認定されている。ここでは日本で設計・生産した電動乗用モアの出荷を開始した。引き続き業界をリードしていく。最後が北米市場。個人での庭管理や家庭菜園に利用されている50~60馬力以下のコンパクトトラクタの市場にはAGCO社を通じて提供している。今後もAGCO社と連携を密にしながらやっていく。
 海外事業は、過去2年度、中計を達成。本年度は、中計最終年度の2025年の目標を上回る数字を目標にする。本日は、海外事業に加わった心強い仲間を紹介したい。このほど資本関係の強化を行い、井関農機の連結会社となったIMG社だ。(谷取締役・海外事業本部長)。
《IMG社・ジークフリート・ホフマン前社長のビデオレター》井関農機の販売代理店として1968年から事業を行っている。IMGはホフマン家によるファミリー企業で、マーティン・ホフマン社長で創業から3代目。IMGはプロのお客様の高い要望に応え、製品に様々なアタッチメントの取り付けや作業機の開発・製造なども行っている。ライプツィヒ近郊にも支店を持ち、そこでは約30名が働いている。井関ビジネスを開始してから50年以上経つが、井関グループの一員になることができ、誇らしく感じている。
【生産体制の課題解決に向けた取組み】生産については、限りある資源を有効活用し、全体最適を目指している。生産技術と調達部門は本部に集約。設備投資は従業員の安全と品質、効率に関わる。これには積極的に投資していく。人は間違いを起こすものだという観点に立ち、人の手に頼らない生産体制を作る。松山製作所が過負荷になっている中で、グローバル生産拠点での最適化も進めている。松山製作所のモアをPTインドネシアに移した。PTインドネシアは2014年に生産を開始し台数も順調に増加している。新しい建屋を増築、今年3月に完成、6月から生産開始の予定(小田切生産開発本部長、以下、小田切専務)。
《井関松山製造所・堀尾類二社長》昨年は内製のディーゼルエンジンの増産体制を構築。また子会社・井関南吉田製作所を設立しキャビンの増産体制も構築。今後さらなるキャビンの増産要請に応えていく。今後PJW、PJVなど大型の生産ラインの能力アップを図っていく。
 松山製作所では、前例踏襲からの脱却を全従業員に徹底し、総力を挙げて取り組んでいく。
《PTインドネシア・田坂幸夫社長》現場改善を行い、1日当たり80台、年間2万台の能力となった。これは5分に1台でトラクタが完成するイメージ。売上高、生産台数とも、過去最高の1年となった。これをさらに高めていきたい。今年度は新建屋を活用した2万2000台体制に取組む。【井関が考えるDX】有機農業の拡大、脱炭素にニーズがある。これに対して有機米づくりのためのアイガモロボ、スマート農機が、サービスやデジタルモデルの変革につながるのではないかと思っている(神野修一常務)。
【変革のポイントは?】「スマート農業と有機農業。前例踏襲ではない。限られていく大規模農家の大型農機、スマート農機、転作作物、海外においては低価格化、電動化にリソースを投入していきたい。ポイントとなるのはお客様目線。お客様に選ばれるモノづくり」(小田切専務)。
 「力強さを持った組織。レジリエンスを高めて変革を迫る」(谷取締役)。
 「お客様の課題解決をする営農提案、井関だからこそできるIX」(縄田常務)。

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