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堺市にグローバル技術研究所 略称『KGIT』 キーワードは〝クロス〟

堺市にグローバル技術研究所 略称『KGIT』 キーワードは〝クロス〟
クボタ(北尾裕一社長)は、大阪府堺市堺区匠町1―11に約840億円を投じて予てより建築中だった研究開発の新拠点「グローバル技術研究所」(Kubota Global Institute of Technology、以下、KGIT)を開設。10月26日には開所記念式典と施設の披露を行った(本紙10月25日号・11月1日号合併号一部既報)。

 当日は素晴らしい秋晴れ。クボタのグローバル技術研究所「KGIT」の開所式は、弦楽四重奏と、今話題の華道家・大谷美香氏(2018年の
日テレドラマ「高嶺の花」の生け花も担当)の華道パフォーマンスで華やかに幕を開けた。クボタの車体色のオレンジを柿で表し、それを真(しん)に大王松、梅もどき、グロリオサ、金に染めた枝垂れ柳などお目出度い花を次々と全身で活けこみ最後に黒で染めた花材で足元を締めクボタのトラクタと実りの秋を表現、KGITの弥栄を祈った。
 続いて北尾社長が登壇。
華やかな華道作品をバックに開式の挨拶を行った。
 「当社は1890年に大阪で創業した。創業者の久保田権四郎は、伝染病から人々を救いたいという使命感、そして〝やればできる、失敗は恐れるな〟の信念のもと、日本で初めて水道鋳鉄管の量産化を実現。その後、1922年に農工用エンジン、1947年には戦後の食料難に資する農業機械化の先駆けとなる耕うん機を開発した。高度成長期の公害問題に向けては水処理事業などの環境事業に取組み、今日に至るまで人々の暮らしと社会課題の解決に貢献する様々な製品を世に送り出してきた。このKGITを創業の地、大阪、当社とゆかりの深い堺の地に構えることができたことを大変良しく思っている。創業当時からのスピリッツを継承しながら、2020年にGMB(グローバルメジャーブランド)を目指す長期ビジョン、GMB2030を策定、当社のあるべき姿として『豊かな社会と自然の循環にコミットし、命を支えるプラットフォーマー』を掲げた。さらにその先の2050年に向け、環境負荷ゼロに挑戦しながら、食料・水・環境の分野において、カーボンニュートラル社会の実現にも貢献していきたい」
 「一方、当社では、グローバルな研究開発体制の構築を進め、各地域のニーズに適合した製品開発や技術力の強化を図り、2016年にタイ、2021年フランス、今年の4月にはアメリカにそれぞれ研究開発拠点を設立した。そして、本日、日本でKGITがスタートし、世界4国のグローバル研究開発体制の基盤が整った。日本国内の拠点に留まらず世界の研究開発拠点を双方向に繋ぎ、情報が行き交うグローバルの名称に恥じない研究拠点にしていきたい」と述べた。
 続いて来賓を代表し、堺市の永藤英機市長と、建設を担当した大林組の
蓮輪賢治社長が祝辞を寄せた。
 次にKGIT所長の木村浩人・取締役常務執行役員が多くの関係者に謝意を表した後、KGIT設立の背景等を説明した。
【KGIT設立の背景】食料・水・環境という人類の生存に不可欠なものに対する社会課題を解決することを生業とするクボタにとって、果たすべき役割、即ち対象となる事業領域は無限にある。その無限の事業領域に適する新製品、新技術の開発を市場が期待する以上のスピードで進めるため開発体制も常に充実化を図らねばならない。近年では、2016年には堺製造所内に研究開発棟を建設、2022年には尼崎にある阪神事務所内に先端バイオ研究の専用実験室を新設するなど、開発拠点ごとの整備・拡充を行っている。しかし、個々の流通部や試作・調達部門の分散、設計室とテストフィールドの分散などによる開発効率向上の限界、並びに充実を図ってきている海外研究拠点との繋がりが個々の流通部間に限定されるなどの課題が依然として残されている。そこで、更なる製品開発力強化や新技術領域の研究力強化、これらを具現化する研究開発人員の強化を図るため、会社の多くの技術者が集結できる設計・研究棟、台上棟とテストコースを併設した一大拠点をここ境市匠町に設立した。
【KGITのキーワード】KGITのキーワードは『クロス』。人と人、知と技、内と外がクロスすることによって、新たなイノベーションが生まれるという意味だ。クロスを具現化するために、KGITでは製品技術が異なる各技術部間はもちろんのこと、間接部門も含めた研究開発に携わる全部門間の横のつながり、クボタグループの各研究開発拠点間の繋がりが深まることを期待している。そして、さらには社外の皆様方との繋がりも深化させて頂ければ幸いだ。
【KGITで今後クボタが取り組んでいく研究開発の方向性】研究開発の方向性は、クボタグループが2030年に向けて目指す姿である〝豊かな社会と自然の循環にコミットする、命を支える、プラットフォーマー〟を具現化するための技術開発だ。具体的には食料・水・環境、これらの事業分野の新製品開発、また、それぞれの技術が互いに絡み合う新たな領域を生み出すことも目指す。加えてこれらを支える油圧技術、伝送機器などの機械ユニット、制御、AI、解析、材料といった基盤技術、さらにIoT、ICT、通信、光画像処理といったデータ処理や通信技術、センシング技術などの基礎技術にも注力する。更に昨今の社会における最重要課題とも言えるカーボンニュートラル社会、自然循環社会の実現に向けた取組みも、社会課題の解決を社業とするクボタにとって、最重要課題の1つと認識している。温室効果ガスの排出を減らす技術、循環によるニュートラル化技術、吸収を増やし総量を減らすネガティブ技術などにもアグレッシブに取り組んでいく。
 また、また自然循環の観点では、クボタの持つ様々な技術を進化させることで、食・水・環に関わる自然循環を実現できる新たな技術開発にも取組み、100年後も世界の人類が美しい地球とともに共存できる社会を目指す。
【クボタのグローバル技術研究開発体制について】グローバル化が進み、現地ならではニーズに応えるためには、現地の食料、水、環境の状況を最もよく知るローカル人材を活かした研究開発が必要不可欠だ。そのためには日本KGIT、北米KRDNA、欧州KRDE、タイKRDAの4極に加えて中国、インドも加えた6極でのグローバル開発力強化を図る必要がある。そのためKGITの最も重要な役割は、単にこれら6極における研究開発を評価、統合、水平展開する単なるコントロールユニットではなく、真のグローバル研究開発、即ち6極の拠点それぞれがKGITを通じてだけではなく互いに繋がり、それぞれの強みを常に発揮しながら、研究開発を推進できるよう接着剤や潤滑剤のような機能を果たすことだと考えている。6極全ての現地製品開発力強化、そして各地域で生まれる各地域にとって必要な基礎・基盤技術の強化も推進し、日本の基幹技術と海外拠点の市場適合技術を最大限に生かした新製品の創出と開発期間の短縮を目指す。
【施設の特徴】総敷地面積は34万6000㎡、延床面積13万8000㎡。設計・研究棟のオフィスは働きやすさにこだわった。コミュニケーションの場を増やせるよう設計、研究、企画、管理など様々な部門を約1万8000㎡の広大な1フロアに集め、その一方で周囲を気にせず、自身の業務に集中できるよう個別小規模ワークスペースをフロア各所に設け、多様な働き方に対応できる設計とした。また、休憩スペースとしてカフェテリアを設置、個人個人が自分自身の状況に応じてオン/オフを切り替えられるレイアウトとした。従業員が働きやすい環境でアイデアの具現化が活発になり、その結果として開発効率向上に繋げたい。設計・研究棟には各企業、学術機関の皆様と一緒になって研究開発活動を行うことができる共同研究現場を設置した。3階にはクロスラボフィールド。語源は〝クロス〟。社外の皆様と研究開発の苦楽を共にすることで、製品、部品、技術共により良いものを生み出すことにつながるWINWINの関係を構築していきたい。
【台上設備の概要】クボタでは、さらなる製品開発の効率化のために開発プロセスの大幅短縮に取り組んでいるが、その中でも、重要な設備の1つに台上試験装置が挙げられる。4棟の台上棟を設け2万8000㎡の中に、合計約200の台上施設を備えている。この台上棟に堺製造所から移設する157設備に加え、新規に約160設備を導入している。ここは単に24時間連続耐久試験が可能となるテストコースということだけではなく、今までに実際に走行作業をさせることによってしか確認できなかった様々な項目を室内で実現できる。実機の数式化・モデル化を進めて、設計段階での精度向上をさせること、また、期間短縮させることを担っている。今後のカーボンニュートラル実現に向けて必要不可欠な電動化・水素利用では、バッテリーや水素の貯蔵方法、試験室の防爆性等々をクリアできる施設としたことで農建機のEV化も加速できるものと思う。
 最後にテストコース。
大型農機の走行も可能なテストコースが1周1.5㎞。500mの直線を有し、時速60㎞での作業の連続走行なども可能だ。また、各種インプルメントや移植機、収穫機などの基本性能を確認するためのテストほ場、耐久試験ほ場を充実させた。
 その後、書道家の真澪氏が書道パフォーマンス。両脇の屏風に炭の色も鮮やかに『革新』と記した。見事な生け花と書をバックにテープカットが行われ、式典は閉会。続いて施設内が披露された。

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