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みどり戦略 技術で後押し 概算要求で80億円 子実コーンの生産性向上等

みどり戦略 技術で後押し 概算要求で80億円 子実コーンの生産性向上等
農水省は、令和5年度から新たに子実用とうもろこしの生産性・収益性向上に向けた研究をスタートさせる。先ごろ明らかになった令和5年度予算概算要求で、「みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業(要求額対前年比130%増の80億2900万円)」における研究課題の一つとして挙げられた。同事業ではこのほか、園芸作物における有機栽培に対応した病害虫対策技術の構築や持続的な鳥獣被害のための効率的・効果的防除技術の開発などに取り組むこととしている。

 農水省の令和5年度予算のうち、「みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業」は食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立の実現に向け、スマート農業における優れた技術の横展開のための導入実証を推進するとともに、品種開発の加速化、環境負荷の低減など、みどり戦略の実現に資する研究開発など国主導で実施すべき重要な分野の研究開発等を推進するもの。合計で80億2900万円要求しており、うちスマート農業の総合推進対策が39億4200万円、農林水産研究の推進に40億8700万円を充てている。後者は研究開発と環境整備の2つに分けられており、研究開発は更に5つに細分化されている。具体的には、①みどりの品種開発研究②現場ニーズ対応型研究③革新的環境研究④アグリバイオ研究⑤目標達成先導研究―の5つ。このうち、令和5年度から研究をスタートさせるものとして、②の現場ニーズ対応型研究では「子実用とうもろこしを導入した高収益・低投入型大規模ブロックローテーション体系の構築プロジェクト」「園芸作物における有機栽培に対応した病害虫対策技術の構築」「持続的な鳥獣被害低減のための効率的・効果的防除技術の開発」「大径材の活用による国産材製品の安定供給システムの開発」―などに取り組むこととしている。詳細をみてみたい。
【子実用とうもろこしを導入した高収益・低投入型大規模ブロックローテーション体系の構築プロジェクト】水稲・大豆の輪作体系では輪作年数の経過とともに収量や地力の低化が生じており、有機物資材の投入等による土作りが課題となっている。こうしたなか、子実用とうもろこしについては、水田での輪作のなかでも労働生産性が高く、堆肥の投入量も多く、茎葉等の残さも有機物として活用可能であるため、農家の収益性向上や地力維持の観点から重要。しかし、新しい作目であり、輪作での作物の組合せによる最適な有機質資材、化学肥料の施用量・技術の開発が必要となっている。加えて地域全体で取り組む大規模ブロックローテーションで、機械利用の効率性等を目指した最適な作目・技術を体系化する必要があるといった課題があった。
 こうした現状と課題を受け、今回の予算では、主に次の4点の研究を進めることとしている。①堆肥等により土壌の有機物を補給し、可変施肥技術等により化学肥料投入量を削減し、また養分の過剰蓄積を防ぎつつ最大限肥料代替する高収量生産技術の開発②作期競合や地力維持、次期作への影響等を考慮した大規模ブロックローテーション体系の構築③営農計画策定(最適な品種・作業組合せ等)やスマート技術(可変施肥等)の活用を支援するシステムの開発④対象地域のニーズに応じて小麦や地域作物などを組み込み経営単位全体の収益性を向上させる体系の構築――。これらの開発により2025年までにブロックローテーションによる安定生産を実現し収益5%増を目指すとともに、化学肥料の使用量30%低減を目指す。
 研究期間は令和5年度から7年度で概算要求額は2億円。
【園芸作物における有機栽培に対応した病害虫対策技術の構築】露地野菜(特にカンショを含む根菜類、タマネギ)や果樹等の園芸作物を対象として、「土壌診断・有機質資材の活用による土づくり等効果的に病害を抑制する圃場管理技術の検証」「安価な国産天敵製剤の開発」「病原に対し拮抗作用を示す微生物の探索やバイオスティミュラント資材、植物ウイルスワクチンの開発」などに取り組み有機栽培の拡大を図る。

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