農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

スガノ農機＝渡邊信夫社長、茨城県稲敷郡美浦村間野天神台３００＝は７月９～11日、北海道上富良野町の土の館で「スガノフェア２０２２in上富良野」を開催した。北海道土を考える会（田村裕良会長）夏期研修会と合同開催で行われた同イベント。スガノ最新製品の実演や、記録的な肥料高の中で専門家による土作りに有益な情報提供などが行われた。

　全国の土を考える会会員から〝会員同士で交流できる場が欲しい〟と要望を受けて初開催した同フェア。全国から延べ１９４名が参加する中、次のプログラムが行われた。
　▽９日：①スガノ製品実演会②北海道土を考える会総会③農家の要望をカタチにした特注製品の解説④専門家２名による情報提供▽10日：①スガノ製品実演会②専門家３名による情報提供③パネルディスカッション▽11日：勝部農場への視察。
　会場には勝部農場22インチ×５連、武智農場22インチ×４連、天心農場15インチ×８連の特注丘曵きリバーシブルプラウを展示したほか、ポーランド・アグロマス社製のドリルシーダー（2.5ｍと３ｍ）、バーチカルハローの参考出品、農研機構農業環境研究部門との共同研究で採取した「土壌モノリス」も展示。夕方には希望者による情報交換会が行われ、バーベキューを楽しみながら意見を交わしていた。
　スガノ製品実演会は９日と10日の午前中に実施。昨年発売して好評の①折りたたみスタブルカルチ②浅耕リバーシブルプラウ③リボーンローラーの順に行い、開発の背景や営農上の利点などを説明。リボーンローラーでは切れ味を増すために刃先の角度や形状を改良した点も説明した。続いてハウスでも活用できるアルペゴ社の2.0ｍ新型バーチカルハローをはじめ、カットロータリ―、ミックスロータリーが砕土性の違いを披露した後、モンテフィオーリ社製大型運土レベラーも実演した。更に今回は畦整形機、深層施肥機、新型直装レベラー、ロードメーカーと、開発中の試作機の実演も行った。
　情報提供は計５回。９日は農研機構農業環境研究部門農業環境情報グループ上級研究員の石塚直樹氏が「ドローンで土を見る」の演題で、「ドローンでの画像データと実際の土壌調査を付け合わせることで、効率的に処方すべきことが分かる」と問題提起。続いて同研究部門の土壌資源・管理グループ長である前島勇治氏が「北海道達人の土を見る」と題して、更別町の吉田農場と芽室町の吉本農場で30年前に採取した場所と同じ場所で昨年採取した土壌モノリスを用いて、土地の条件を把握して土作りを続けることで理想的な土中環境が形成できることを述べた。
　10日は農業コンサルタントの関祐二氏が肥料や農薬が高騰する中でそれを補う方法として「食物残渣肥料の有効性」について述べ、スガノ創新の小澤良夫氏がほ場に負担が少なく低コストなほ場整備手法である「反転均平工法」のメリットや施工法を説明。最後に帯広畜産大学グローバルアグロメディシン研究センター教授の谷昌幸氏が「農業分野における土作りについて」の演題で、肥料高騰の中だからこそ土壌診断を正しく読み取ることが低コストに土壌改善を行う秘訣であることなど、ユーモアを交えて論じた。
　10日には乾田直播に関するパネルディスカッション「真夏の雪国サミット」を開催。冒頭で昨年10ａあたり１ｔという前人未到の収量を達成した美唄市の加藤禎行氏の表彰式を行った後、スガノ農機技術顧問の齊藤義崇氏を司会に研究者６名のパネラーを交えて乾田直播への理解を深めた。
　参加者は「仲間と会え、営農に役立つ情報が多かった」と話す人が多く、山口県からの参加者は「反転均平工法の情報提供は参考になり、来た甲斐があった」と感想を述べた。北海道土を考える会の田村裕良会長は、「スガノ農機さんの好意で45回目の夏期研修会を開催することができた。この会の良さは経営的な数字を正直に提示して本音で言い合えること。肥料高、燃料高の今こそ直接顔を合わせて話せる場ができたことは良かった」と話した。
　スガノ農機の渡邊社長は「土を考える会会員の皆様からのご意見が製品開発の根底にある。着任して５年目になるが、土を考える会の皆様との関係回復を最優先課題として取り組んできた。来年も是非この企画を継続していきたい」と述べた。