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品種の海外流出防止 育成権者権管理機関設置へ 

品種の海外流出防止 育成権者権管理機関設置へ 
海外への品種の流出はわが国農業に大きな影響を与えている。農水省の試算では、現在韓国や中国で許可なく栽培されているシャインマスカットについては年間約100億円の損害だとしている。こうしたなか令和2年12月に種苗法が改正され、今年4月からは全面施行となった。しかし、公的機関等では、登録品種の適切な管理や海外流失防止対策の徹底が困難などの課題があることから農水省では検討会を設置、課題解決に向けた検討を行い、このほど中間論点整理を公表した。
 改正種苗法が施行され、育成者権者が登録品種の海外持出制限や自家増殖の許諾制を活用し、育成者権の保護・活用に取り組みやすくなった。
 一方、優良な品種の開発者である公的機関等では、登録品種の適切な管理や海外流出防止対策の徹底が難しい状況にある。また、すでに多くの優良な品種が海外に流出し、その生産が無秩序に拡大していくことで国内生産者に不利益を生じさせている。
 そこで、農水省では「海外流出防止に向けた農産物の知的財産管理に関する検討会」を設置、今年5月以降4回の議論を経てこのほど中間論点整理をまとめた。
 中間論点整理では、現状と課題を説明したうえで、対応の方向を示している。具体的には育成者権の管理に向けて、育成者権者の意向を踏まえ、育成者権の信託や利用権の設定等を受け、専任的に知的財産権の管理、国内外での侵害の監視・対応、海外ライセンスを行うことができる「育成者権管理機関」を設置すべきとした。また、育成者権の管理については、一定のコストがかかるため、育成者権管理機関において育成者権者の意向を踏まえ、「国内で囲い込み重点的に守る」「海外ライセンスを適切に行い活用する」「広く共有する」など品種に応じた保護・活用を図ることとされた。このほか、海外ライセンス等から得られた許諾料は育成者権者に還元し、品種開発への投資を促す。また、公的機関が開発したものの利用されていない品種から海外生産に適した品種を再評価することや事前に適応性試験も行うこともできるようにすべきとしている。
育成者権管理機関の運営については民間が主体となることが適切だが、国の適切な関与も必要だとしている。
 なお、更に検討が必要な課題として、育成者権管理期間が対象とする品目や国、商標権の活用など具体的な業務のあり方を挙げている。更に、フランスのSICASOVやAIBなど海外の育成者権管理機関の事業内容、侵害の監視・対応の方法、ライセンスの管理方法等についても調査する必要があるとしている。
 今後、今回の中間論点整理をもとに検討を更にすすめ、年内を目途に育成者権管理機関のあり方について最終取りまとめを行う。そのうえで、令和5年度中の機関立ち上げを目指すこととしている。

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