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環境保全型スマート農業 井関とにかほ市 TDK、権右衛門、有機米デザイン


井関農機(冨安司郎社長)と権右衛門(須田貴志社長、秋田県にかほ市)、TDK(齋藤昇社長、東京都中央区)、有機米デザイン(山中大介社長、同小金井市)、にかほ市(市川雄次市長)の5者は5月17日、自動抑草ロボット等を用いた「環境保全型スマート農業」の構築と推進に向け必要な検証を行うことで、にかほ市における持続可能な農業のモデル化とその普及拡大、ひいては地域社会の発展に資することを目的とした『環境保全型スマート農業』の推進に関する連携協定を締結した。


 今後5者は協定をもとに、にかほ市において環境保全型スマート農業技術を活用した栽培の省力化と生産性の向上を実践し、環境負荷の低い稲作工程のモデルを確立する。各社の役割とプロフィール、コメントは次の通り。
 権右衛門の役割はほ場における抑草ロボット(アイガモロボ)及び環境保全型スマート農業機器の検証と実ほ場の展開。
 同社は、にかほ市で400年以上農業を続けている個人経営を2021年1月に法人化。「鳥海山から滋養豊富な水を始めたくさんの恵みを頂いている。生産の場でこの水を汚すことなく、海に返したい。そして空も土も損なうことなく生き物たちと共存できる自然を残したい」と、20年以上環境保全に取組んでいる。
 須田貴志社長は「若者に新しい農業の魅力を伝え、農業人口を増やし、ベテラン農家と一緒になって、にかほ市の農業を盛り上げたい」と述べた。
 TDKの役割は、環境保全型スマート農業技術を活用した環境負荷の低い稲作工程の確立。同社は、電子材料の「フェライト」を事業化する目的で1935年に設立。独自の磁性素材技術がそのDNA。主力製品は積層セラミック・アルミ電解・フィルムなどのコンデンサ、高周波部品、ピエゾ及び保護部品等の各種受動部品を始め温度、圧力、磁気、MEMSなどのセンサ等、また磁気ヘッドや電源、二次電池など。2022年3月期の売上高は約1兆9000億円、従業員数は全世界で約11万7000人。
 石黒成直会長は「日本の様々な地域が抱える課題解決には地域特有の資源を生かした実効性ある具体的な施策と持続可能な地域づくりが求められている。それは当地出身のTDK創業者である齋藤憲三が掲げた〝農工一体〟の熱い思いを具現化することでもある。皆様と共に環境保全型スマート農業の在り方を模索し、TDKが保有する技術、ソリューションの提供を通じ地域社会の持続的な成長実現に貢献してまいりたい」と述べた。
 井関農機の役割は環境保全型スマート農業機器及び関連技術の提案。
 冨安司郎社長は「地域社会で環境保全型スマート農業の技術を活用した栽培の省力化及び生産性の向上を実践し、環境負荷の低い稲作工程のモデル確立には、各社との連携・協力が必要だ。当社のスマート農業機械・スマート農業技術を用い、にかほ市における持続可能な農業の普及拡大とその実現を目指していきたい」と述べた。
 有機米デザインの役割は、抑草ロボットの開発及び提供。同社は街づくり会社のヤマガタデザインの出資により2019年11月に設立。有機米の栽培の課題を解決し、農業者の所得向上と有機米マーケットの拡大に取組むことを目的に、有機米栽培の課題・除草作業を省力化する自動抑草ロボットの開発や有機米栽培のノウハウの確立に向けた研究開発に取り組む。
 山中大介社長は「日本農業は、農業そのものが魅力的な産業となることが必要不可欠。その答えの1つが有機農業(環境共生型農業)だ。当社のアイガモロボを通じ、にかほ市から若者が希望が持てる農業環境の実現に貢献していく」と述べた。
 にかほ市の役割は同市での環境保全型スマート農業の推進。同市は平成17年10月、仁賀保町、金浦町、象潟町が合併し誕生。人口は約2万3000人。秋田県南西部にあって南に鳥海山、西に日本海を望む風光明媚な街。
 市川市長は「この連携協定を大きなチャンスと捉えている」と語った。
 協定締結後は近隣ほ場でアイガモロボの進水式と、井関農機の有人監視型ロボット田植機、有機米デザインのアイガモロボの実演。
 鳥海山の麓に、ロボット田植機が省人的に田植え、手前の水田ではアイガモロボが自動航行し、田面を濁らせて抑草、畦際では、リモート水位センサと自動水門が無人で深水管理を行うという正に「環境保全型スマート農業」の絵が広がった。
 TDKが昨年、同社のほ場で行った実証では、アイガモロボと水位センサ+自動水門で後期の稗まで抑えられたという。今後5者連携により検証を継続していく。

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