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熟練の技を果敢に吸収 甲斐林業の鬼束昌憲さん ー目指せ林業プロ 我が社のホープー

林業の仕事に就いている知人からの話を機に林業に興味を抱き、この道に入った鬼束昌憲さん(38歳)。宮崎県中部に位置する国富町を拠点に素材生産事業を行っている甲斐林業=宮崎県東諸県郡国富町大字三名2753―28=に入社して5年目ながら若手を引っ張る立場として期待されている。「いろいろな重機も操作できる林業は機械好きなら絶対楽しいと思います。こうした林業の世界をもっと多くの人に知ってもらいたい」。
 以前は建設会社に勤めていた鬼束さん。「インターネットの動画サイトなどで重機を使って伐採するシーンなどを見れば見る程〝自分もやってみたい〟と心惹かれてしまいました」と話す。
 高校時代にボクシングをやっていただけにガッチリした体型で、今も仕事を終えた後に地元の焼酎を飲みながらYouTubeなどで映像をみるほどの格闘技好き。体力には自信を持ってこの世界に入ったというが、「入社当初は昼過ぎにはバテて寝ころんでいました。夏場なんてチェンソーなどの機材を背負って上がるだけで一仕事。今でも本当にキツいです」とこぼす。また、伐採時に響きわたる音は今も鮮明に残っているといい、「木が倒れる音や、ドーンと倒れた時の体に伝わる振動を初めて体感した時は本当にビックリしました」と、当初は驚きの連続だったと振り返る。今では体も慣れ、他の仕事にはない林業ならではのハプニングが、ますます仕事にのめり込むきっかけになっているようだった。
 現在は重機を使った業務が増え、路網作設の仕方を覚えている最中だという。「路網作りで難しいと感じること?地質を読むことですね。地盤が硬かったり柔らかかったり地質に応じて掘り方を変えないといけない。爪の入り具合などを確認しながらどういう風に掘っていくかを考えるのが面白いところ」と熱く語る。そうした作業を覚えていく上で、〝神様のよう〟と崇めているのが林業歴60年以上の大ベテラン松井進さん(80歳)だ。
 甲斐林業は2代目の甲斐健一社長(52歳)を含めて7名。素材生産を中心に年間1万㎥を生産している。「最も若い社員が27歳で、比較的若いコが多いので活気がある」と甲斐社長。ただ、伐倒のやり方や伐採樹木の見極め、機械の使い方など、危険と隣り合わせの現場だけに、甲斐社長共々後進の指導にあたっている松井さんのアドバイスを貴重な財産として活かしている。鬼束さんも、「経験が長い分、自分と違う視点で見ていることが多いと感じます。全体が見えているから先の先まで考えて進めていて、〝あそこは水脈や岩が出てくる〟とか、〝あの辺りは地盤が硬い〟などと言うとその通りになるからビックリします」と尊敬の念を込めて話す。今はそうした技を自分の身につけるべく、疑問に思うことは意識的に聞くよう心がけている。その成果を尋ねると「まだまだです」と照れくさそうに答えながら「自分も経験を重ねて全体を見ながらまわりを動かせる存在になりたいです」と話す姿が印象的だった。
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 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

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