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販売・修理・請負防除 多様化するニーズに対応 地域農業支える東広島・迫農機商会

販売・修理・請負防除 多様化するニーズに対応 地域農業支える東広島・迫農機商会
広島県東広島市豊栄町。町の大部分を山林や田畑が占める中山間地域だ。清流には国の特別天然記念物・オオサンショウウオも生息し、豊かな自然が残る。地域では稲作を中心に、転作ネギやキャベツの栽培も盛んで、農業が住民の暮らしと地域経済を支えている。
 そうした地域農業を支えているのが、ヤンマーの有力農機販売店である㈲迫農機商会(迫真治社長=広島県農機商組理事長)だ。農業機械の販売や修理だけでなく、無人ヘリ請負防除、農作業受託、スマート農業機器の導入支援、補助金活用の相談まで幅広く手掛けている。地域の農家戸数が減少する一方で、同社にはさまざまな相談が寄せられており、農機店の役割は年々大きくなっている。
 同社は1986年創業。「地域社会に貢献するために存在する」を理念に掲げ、多様化する農家のニーズを満たすことのできるサービスを提供し、信頼を積み重ねてきた。現在は500軒以上の顧客と取引し、既存客から新規客への紹介もある。営業エリアは東広島市内だけでなく三次市、世羅町、三原市、呉市、広島市などへ広がっている。
 近隣の農機店や整備拠点が減った影響で、修理依頼は増加し多岐にわたっている。ホームセンターやインターネットで購入された草刈機など小型機械の持ち込みも少なくない。
 「一台修理するだけで1時間から2時間かかることもある」と迫社長。限られた人員で本来の顧客対応や大型機械の整備も抱える中、小型修理は大きな負担にもなっている。それでも「持って来られたものを『うちで買っていないからできません』とも言いにくい」と話し、地域の販売店としてできる限り対応している。
 防除事業でも同様の悩みを抱える。同社は長年にわたり無人ヘリ防除を受託し、現在も地域農業を支えているが、新規受託の拡大には慎重だ。
 「防除は責任が大きい。人が増えればやりたいが、今は無理に広げられない」。散布時には圃場ごとの地図を独自に作成し、栽培品目や散布履歴、注意事項を細かく管理。住宅地や園芸作物への配慮も徹底している。もし苦情があった際にはまず謝罪し、地域との共存を最優先にしているという。
 近年はキャッシュレス決済にも力を入れている。農機業界ではまだ少ないQRコード決済やクレジットカード決済を導入し、農家の利便性向上を図る。
 「こうしたことは、自動車や家電業界では当たり前。農機業界だけ遅れてはいけない」と迫社長。決済手数料の負担はあるものの、若い世代などの利用を考えると必要な投資だと語る。
 スマート農業分野では、ドローンや自動操舵システムの導入支援も進める。東広島市では農業関連補助金が充実しており、機械導入に関する相談も増加。同社は補助金申請に向けた事業計画づくりの助言も行っている。
 また、高齢農家からの依頼を受けて農作業の担い手を紹介する「農作業マッチング」にも取り組む。耕起や田植え、収穫、防除などを地域の担い手農家や法人へつなぎ、作業受委託の調整役を担っている。
 「農機を売るだけではなく、地域の困りごとを解決するのが仕事」。そう語る迫社長だが、従業員確保は依然として大きな課題だ。現在のスタッフは家族を含め9人。求人活動を続けているものの応募は多くない。
 質の高いサービスを提供するため、従業員全員が農機整備技能士2級以上を取得している。整備技能士の資格取得や認定工場制度については、「もっと社会的評価につながる仕組みを作っていくことが必要だ」と指摘する。整備技術者の地位向上や業界全体のブランド力向上が、人材確保には欠かせないとみている。
 農家の減少、高齢化、人手不足が進む中で、農機店には従来以上の役割が求められている。迫農機商会は、修理や販売にとどまらず、地域農業を支える総合サービス拠点として存在感を高めている。

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