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井関農機の新社長・小田切元氏に聞く Zを達成するのは人 現場力を会社の競争力へ

井関農機の新社長・小田切元氏に聞く Zを達成するのは人 現場力を会社の競争力へ

 今年3月27日、井関農機の代表取締役社長執行役員に就任した小田切元氏に、就任の抱負と、今後の井関農機の舵取りについて聞いた。
 ――ご就任の抱負を。
 「歴史ある井関農機の舵取りを任されることになり、その重責に身が引き締まる思いです。私が井関農機に入社したのは、創業者・井関邦三郎氏の『農家を過酷な労働から解放したい』との思いに共感したこと、そして"ものづくり"と"食べること"が好きだったためです。当社が事業の軸としている、食を支える農業や人々の暮らしを支える景観整備事業は今、社会になくてはならないエッセンシャルビジネスとして、その重要性が改めて認識されています。好きなことに関わって社会貢献できることを感謝し誇りに思っています。当社は"お客様に寄り添い、他に先駆けて新しいものを作ってきた"という自負があります。そのフロンティアスピリッツを呼び覚まし、一人ひとりが、誇りを持って働ける会社を、皆とともにつくり上げていきたいと考えています。私の役割は、現場のリアリティと経営の俯瞰的な視点を行き来しながら、現場力を全社の競争力へ繋げていくことだと考えています。当社が培ってきた強みや果たすべき使命を共有し、環境変化に柔軟に対応しながら、挑戦する風土を育て、成果を次に繋いでいきたいと思います」
 ――プロジェクトZ (以下、Z)の進捗と手 応え。
 「Zは2030年のビジョン「食と農と大地のソリューションカンパニー」の実現に向け「抜本的構造改革」と「成長戦略」を同時並行で進めています。2025年までは抜本的構造改革の基盤整備を進めてきました。抜本的構造改革の3本柱については、①生産最適化では、25年熊本でのコンバイン生産を終了し、松山へ集約する計画を概ね計画通り実行しています。今後、田植機も移管し、松山で主要製品の組み立てを行っていきます。②開発最適化では、施策の進捗に一部遅延が生じているものの、改善効果は25年から発現し始めています。③国内営業深化では、ISEKIJapanを発足、営業体制を再構築しました。2026年・27年で成果を本格化、27年営業利益率5パーセント以上。2030年に向けて、成長戦略を加速化させます」
 ――Zの目標達成に大 切なことは何だと考え ますか?
 「Zを達成するのは"人の力"です。それぞれの力を高めたとき目標は達成できます。その環境を整えるのが、私の仕事だと思っています。まずは、社員一人ひとりがZを理解できるまで双方向のコミュニケーションを徹底します。次に、大切なのは挑戦できる環境を作ることです。「挑戦と成果を評価する」新しい人事制度に改定しました。挑戦した結果の成果だけでなく「挑戦そのもの」を評価する制度に変えようとしています」
 ――国内市場の展望。
 「持続可能な農業に向けて製品だけに止まらず、ソリューションの提供も重要です。ZのもとでISEKIJapanを核に、現場により近い体制づくりを進め、多様化する二―ズに合わせた提案ができる体制へ転換を図っていきます。現場の変化と農業の将来像を見据えながら国内市場での成長機会を着実に捉えていきます。国内の成長戦略として注力する分野は「大型・先端・畑作・環境」です。現場の声に真正面から応えられるような商品とソリューションを提供することが重要です。また、景観整備事業、Non―Agri分野も新たな成長領域と捉え本格的に取組んでいきます(2030年に24年の2.5倍にあたる草刈関連国内売上高100億円を目標)」
 ――海外市場の展望。
 「弊社は、海外事業を、持続的な成長と中長期的な企業価値を牽引する成長戦略の中核として位置づけています。中でも欧州(景観整備事業)は60年近い歴史があり、井関ブランドが最も定着している地域です。足元でも成長と収益性の両面で堅調に推移。ISEKIフランス社、ISEKIドイツ社に加え、新規連結化したISEKI UK社の欧州3社体制のもと調達や在庫の一元管理などでシナジー効果が出始めています。これまで十分に展開出来ていなかった地域の拡大や商品の拡充を進めていきます。北米市場はAGCO社との協業を通じたOEM供給を軸に展開。地域特性に応じた製品対応が重要で、商品ラインナップ拡充を図っています。北米では、ここ数年の軟調も底打ちの兆しが見え、期待しています。韓国など東アジアは日本同様に大型化が進んでおり、プロユーザー層に焦点を絞り商品展開を進めています。アセアンはタイ・インドネシアを核に周辺国への展開を広げていきます。耐久性と価格競争力が求められるため、インドのTAFE社との提携を活用し、部品供給やOEM製品を含めたラインナップ拡充を図っていきます。地域ごとの市場特性を踏まえながら、成長性と収益性の両立を重視し、海外事業を次のステージへ引き上げていきたいと考えています」
 ――ウェルビーイング について。
 「人材こそが、企業価値を創出する基盤。弊社では、従業員一人ひとりが心身ともに安定した状態で働き続けられることを重視し、ウェルビーイングの向上に取組んでいます。役員・幹部向け研修の実施やウェルビーイング宣言の発出を通じて、ウェルビーイングに対する理解の醸成や、推進メンバーによる部門横断の改善施策の検討を実施。また、エンゲージメントサーベイやパルスサーベイを活用し、従業員の状態を継続的に把握しながら、働きやすい環境づくりを進めています」。
     ◇
 最後に、プライベートについて少し話を伺ってみた。「好きな言葉は『日々感動、日々感謝』です。学生時代に打ち込んだラグビーを通して、感動は真剣に取り組まなければ生まれないものだと学びました。だからこそ、"感動する心"を失わないよう、毎日一つでも感動できることを見つけるようにしていますし、周囲の人にも感動を届けられる存在でありたいと思っています」。その言葉からは、実直で誠実なお人柄が改めて伝わってきた。一方で、「ストレス解消法は、みんなでワイワイ楽しむお酒ですね。最近は料理にもハマっています。料理も、ある意味では開発や挑戦に通じる部分があって面白いんです」と、柔らかな笑顔を見せる場面も。
 仕事について語る姿には強い気迫が感じられたが、ひとたび日常の話題になると、フランクで親しみやすく、周囲をほんわかと包み込むような温かさと楽しさを持った方だった。

 【小田切元(おだぎり・はじめ)氏の略歴】1963年1月6日生れ。63歳。福岡県出身。
 ▽1987年3月長崎大学工学部卒業▽同年4月井関農機入社▽2008年11月同社野菜技術部長▽10年12月同社アグリインプル事業部長▽14年6月井関農機(常州)有限公司総経理▽16年1月井関農機執行役員営業本部副本部長▽16年3月ヰセキ北海道代表取締役社長▽18年7月東風井関農業機械有限公司董事、総経理▽19年1月井関農機常務執行役員▽20年1月同社開発製造本部長▽同年3月同社取締役常務執行役員▽22年3月同社代表取締役専務執行役員▽23年11月同社「プロジェクトZ」リーダー・現任▽26年3月同社代表取締役社長執行役員・現任。

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