コベルコ教習所の林業への取り組み 林業事故ゼロ実現へ サービスマンへ林業機械教育
林業現場では年間約30名の尊い命が失われており、業界全体が「機械化による安全」へと舵を切る中、建機メーカーが果たすべき役割が問い直されている。高性能林業機械を展開するコベルコ建機グループではサービス体制の強化と安全文化の醸成を目指し、コベルコ建機日本のサービスマンに必要な林業機械の資格取得を行うため「林業機械特別教育」を各地のコベルコ教習所で開始。2月に千葉県の市川教習センターで行った講習には、関東支社、協力会社を含む約18名が参加した。
取材したのは前日の学科講習を終えた2日目の実技講習。関東支社から集まったサービスマンが高性能林業機械を操作していた。講習は安全衛生特別教育規程に基づいたカリキュラムで行われ、伐木等機械の教育ではコベルコ建機製の林業専用ベースマシンに松本システムエンジニアリング社製のフェラーバンチャザウルスロボ(フォーク収納型グラップルバケット)を装着し、走行、伐木、造材及び原木の集積等の操作実習を行った。
参加したサービスマンは「修理現場で油漏れなどを直す機会は多いが、実際に山の中を想定して木材を掴むと、その挙動の特殊さに驚く。特に林業機はキャブ内に後付けされたコントローラや電気信号による複雑な制御系が命。そうした油圧回路と電気信号がどう融合して動くかを実感できた」と感想を述べた。また、別の参加者からは、「実際に機体を動かしてみると、ガード類によって制限される死角の多さや、アタッチメントの重さが機体姿勢に与える影響を体感することができた」という声もあがり、標準機をメインに扱うプロの技術者たちへ、林業専用機の特殊性を突き付けていた。
「一見すると通常の油圧ショベルと似ているが、林業専用機には過酷な現場に耐えうる決定的な違いがある。具体的には『装甲』『足回りの強靭さ』『高度な油圧制御』の3点において、林業に特化した進化を遂げている」と語る千葉県市川教習センターの長濵晋センター長。急傾斜地でのブーム操作による転倒・滑落リスクや、死角による巻き込み事故、野生動物に関する点など、作業環境に潜むリスクに関する知識も講習内容に含まれるため、サービスマンがこうした知識を持ち帰ることで、支社に戻った際に営業担当と情報共有を行い、最終的に現場で働く顧客へ伝われば、と期待する。
こうしたグループ内の林業教育は北海道、市川(千葉県)、新潟、岐阜、尼崎・明石(兵庫県)、熊本などで実施。地域ごとに異なる樹種や地形という課題に対し、2カ月に1回程度の頻度で教育を提供し続けている。さらに2026年5月以降は開催回数の増加を予定し、同年7月頃には新たに「走行集材機械(車両系木材伐出機械)」の開講も見据えている。長濵センター長は「私たちが教えるのはあくまでも"初歩の初歩"。不測の事態が生じることが珍しくないだけに、法令を守り、正しい知識を持ち帰って頂くことで林業の安全の土台を支えていきたい」と強調する。
林業における労働災害の現状は、他産業と比較しても極めて深刻な水準にある。コベルコ建機グループは、この教育活動を自社のみならず協力会社、そして全国の拠点へと広げることで、メーカーの立場から林業業界全体の安全な発展に寄与していく方針だ。
前日は学科教習を実施





