誠和の最新省エネ暖房システム「スマート加温システム(仮称)」— 施設園芸向けの革新的技術
左から杵渕部長、中村課長
誠和=大出浩睦社長、栃木県下野市柴262―10=は、1月23日、同社「アグリステーション誠和」(下野市小金井1963)で、施設園芸向け省エネ暖房システム「スマート加温システム(仮称)」を発表、報道陣に向けてお披露目した。同製品は、ノーリツと共同開発し、NEDOの助成事業の成果を活用している。4月から販売を開始する予定。
これまで、1haを超える大規模ハウスでは大型のボイラーによる加温が効率的とされてきたが、専用建屋の設置や建築基準法に基づく手続き、そして高額なコストが課題となっていた。
今回発表された「スマート加温システム(仮称)」は、これらの課題を解決する新たな仕組みを提供する。
ノーリツとの共同開発によるマルチ給湯器を使用した本システムは、屋外壁際に設置可能で、専用建屋が不要なため導入コストを大幅に削減している。さらに、建築確認申請が不要な設計なので、栽培面積の確保にも寄与する。
商品開発部の中村祐貴課長は、「このシステムは、ハウス内の熱量を効率的に調整できる点が大きな特徴。小型の給湯器のマルチ設計により、必要な台数で適切に加温が行え、過剰な熱量を発生させることなくエネルギー消費を抑えることが可能」と説明する。
具体的には、ハウス内の水温をリアルタイムで監視し、必要な熱量に応じて給湯器の稼働台数や水量を調整。熱効率は9割を超える設計となっており、省エネ性能を大きく向上させた。
試験導入されているハウスを見てみると、暖房専用給湯器20台とCO2発生併用給湯器10台の合計30台が稼働中。このシステムはハウス規模に応じて1台単位で設置数を調整できる点が大きなメリットだ。ランニングコストは実証試験で15%削減を確認した。
商品開発部の杵渕覚部長は「佐賀県での先行稼働が7月から始まる予定だ。全国販売は4月を予定している」と語り、全国展開への意欲を示した。
さらに、「スマート加温システム(仮称)」について同社は1月29日、NEDOにて実証されていた事業の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」事業において、同社が主体となり進めていた実証開発テーマである「農業界の脱炭素と生産性向上を両立させる高効率温湯暖房とCO2供給システムの開発」が「NEDO省エネルギー技術開発賞」の「優良事業者賞」を受賞した。
専用建屋が要らず屋外壁際に設置可能