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キャニコム 「これは完成形に近い」 りんごブラッサムまさお

キャニコム 「これは完成形に近い」 りんごブラッサムまさお

 枝下をくぐり幹周辺の草を刈り取る

昨年に引き続き、今年の夏も過酷だ。農業にとっては尚更で、豪雨や少雨、高温障害、昨年の酷暑の影響も未だに残る。温暖化の影響は人類に等しくあるが、自然を相手にする農業が受ける経済的損失は大きく、温暖化の矢面に立っている。加えて、生産コストの増加もあり、農業持続の道はより険しいものへ。そんな状況の中だが、食の生産を止めることはできない。そこで力になるのは課題を解決する機械。懸命に農業を続ける生産者を訪ね、キャニコムの草刈機について聞いた。

  山形県天童市は東に奥羽山脈があり、そこから広がる扇状地は水はけが良く、また奥羽山脈から吹き下ろす東風、地中深く流れる伏流水が豊かな恵みをもたらす。その地でサクランボ、桃、ラフランス、リンゴを手がけているのが武田果樹園の武田仁さん。「この辺りは果物の栽培に適した場所で、美味しい果物が育ちます」と、天与の恵みに感謝しつつ農業を営む。
 しかし温暖化の進行は作物に深刻な影響を与えている。山形はサクランボの生産が盛んだが、今年は6月の高温や昨年の酷暑で双子果が多く発生したこともあって、収穫量は5割減ともされ、同農園でも大きな影響を受けている。また夏の暑さは他の作物にも影響し、今後の生育には大きな不安がともなっている。先人達から受け継いできた場所で如何に農業を続けていくのか。最適解を探す模索が続く。
 その中で、効率化や省力化を進めているが、果樹園の下草刈りのために導入したのがキャニコムの四季折々草刈機「りんごブラッサムまさお」。
 一年間ほど使用してきた感想は「乗用草刈機の完成形に近いのでは」と評価は高い。
 取材時は川中島白桃の収穫準備に入る頃で、果実の色づきを促進させるシルバーシートを敷くため、果樹園の下草を刈る作業が行われていた。「操作性が良くて、頑丈で、楽に作業ができ、歌を歌いながら仕事しています」。夏の盛り、暑い時期の作業だが、そのスペックは精神的な余裕に繋がっているようだ。

 同機の大きな特長は車高の低さ。収穫時に枝下を通り抜けやすいよう、全高が85㎝に設計されている。「実がなると下まで枝が垂れてしまいますが、収量を考えると枝は切れません。下で収穫する方が楽ですしね。この機械はそれに対応することができます」。生産現場では枝にぶつかって怪我をする事例もあり、「危険回避に役立ちます」。生産者の身を守る安全設計であり、作業の適用範囲を広げる。
 また機動性が高く、最小回転半径は1.9m、走行部は無段変速で、登坂能力は15度。「小回りが利き、幹の近くまで草を刈ることができます」。機体にはサイドガードが装備され、幹への擦り傷を軽減する。
 支柱を入れると通路の幅が変化するが、それに対しては、2種類の刈刃と刈刃カバーの固定位置を変更することで対応できる。それにより刈幅が915㎜と975㎜になり、作物の成長に合わせて、四季折々の作業が進められる。
 加えてフットペダルで作業できる範囲が広い。「慣れるまでに少し時間が掛かりますが、一度慣れると、こちらの方が咄嗟の時も反応できて安全だと思いますね」。
 他にもフレームや刈刃カバーが堅牢で、石飛をしても安心であることや、刈り跡の美しさなどを評価。同機は刈った草を後ろに散らしてだまをできにくくし、綺麗な刈り跡を作る。シート下には刈刃ステーを確認できる窓があり、積み込み時のひっかかりを防止したり、刈刃交換がしやすくなっている。また、エンジンベースなどが開いてメンテナンスがしやすいことも指摘した。
 「お客さんの声をしっかり聞いて、それがフィードバックされている機械だと思いました」。武田さんは左利きだがそれにも対応する予定となっている。
 「楽しく草刈りをしています」と武田さん。その余裕は、厳しい生産環境の中、農業を続ける力になると感じた。

 

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