農薬工業会が名称変更「クロップライフジャパン」へ 日本と世界の食と農へ 新ビジョン公表

新しいロゴマーク
ロップライフジャパン(旧JCPA農薬工業会)は15日、東京都中央区の鉄鋼会館で通常総会を開催した。総会後の記者会見で、小澤会長が2023年度事業報告と新ビジョンの説明、2024年度の事業計画について説明した。新たなビジョンでは、日本と世界の食料安全保障、環境に優しいイノベーションの推進、安心な食生活を楽しめる社会の実現を掲げた。
23年度の事業報告では①作物保護の視点を取り入れ、外部環境変化も考慮したビジョンのリニューアルの検討と業界イメージ向上への取組みを推進②農薬取締法等農薬規制に関する諸課題への的確な対応③安全・広報活動の戦略的推進と科学・情報リテラシーの向上を目指した積極的な情報発信④スチュワードシップ活動の推進及びコンプライアンスの確保⑤農薬業界のグローバル化に呼応した活動推進について報告した。
続いて新ビジョンについて説明した小澤会長は「国内では食料・農業・農村基本法改正案が国会で審議され、食料安全保障の強化、持続可能な農業への変革が求められている。グローバルには、ロシアのウクライナ侵攻等を発端とした食料安定供給リスクの顕在化、カーボンニュートラルの取組みが進んでいる。こうした食料・農業を巡る情勢の変化や会員の事業活動の拡大を踏まえ、2022年から若手メンバーの意見も聞きながら新たなビジョン策定した。全会員がベクトルを合わせて日本と世界の食と農業に貢献していく」と決意を述べた。
ビジョンは将来の在りたい姿として①日本と世界の食料安全保障、持続可能な農業に貢献②環境にやさしいイノベーションを推進③安全の先にある安心な食生活を楽しめる社会を目指す―としている。
新たなビジョンに沿って同会の事業目的を変更し「農薬をはじめとする作物保護関連事業の円滑かつ健全な発展を図るとともに、透明性と公正性に基づいた事業活動を展開し、日本と世界の食と農業に貢献することを目的とする」とした。
新ビジョンに沿った2024年度の重点事業計画では①「日本の農業生産性向上と農産物の輸出拡大、世界の農産物需要に対応した作物保護技術を提供する」について、農薬を含めた作物保護の視点から安全で有効なソリューション技術の提供に努めるほか、スマート農業、総合防除の推進のため、関係機関や団体と連携し技術情報の共有化を進めるとしている。また諸外国の制度や農業環境等の最新情報の調査と会員内の情報共有を進めるとしている。
②の「環境を守るための技術革新とカーボンニュートラルに取り組む」では、研究開発から製造、輸送、販売、使用、廃棄に至る全ての段階で環境・安全、健康面の改善に必要な活動を実施する、などとしている。
③「社会の信頼性を確保するため、適正な農薬使用の推進と科学的な情報発信を行う」では、作物保護に関する科学的な情報について幅広く情報発信を行うとともに、人材の育成や資質向上に努めるとしている。その他、イノベーションを創出する人材育成に努めるため、アカデミアとの幅広い交流、勉強会、諸外国の関係団体との交流を進める、としている。
【2024年度クロップライフジャパン役員体制】
▽会長=小澤敏(三井化学クロップ&ライフソリューション特別顧問)▽副会長=的場稔(シンジェンタジャパン代表取締役会長)▽同=藤本博明(住友化学常務執行役員)▽同=岩田浩幸(日本農薬代表取締役社長)▽常勤理事=松浦克浩(クロップライフジャパン専務理事)。敬称略。