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札幌で雪国直播サミット開催 拡大する〝乾直人〟 乾田直播実践者が情報共有

札幌で雪国直播サミット開催  拡大する〝乾直人〟 乾田直播実践者が情報共有

(写真説明) 道外からも参加し、その輪が確実に広がっている

 

北海道乾田直播技術向上委員会主催による「第14回雪国直播サミット」が2月3日、北海道札幌市内のホテルポールスター札幌で開催された。寒冷地での水稲乾田直播の普及と実践される生産者の情報共有を目的に年一回開催しており、今回は既に実践している〝乾直人〟と予備軍など約200名が参加。これから始める人には基礎ポイント講座あり、技術向上を図りたい人にはエキスパートによる作業上のコツの指南ありと、終了後の懇親会まで熱い議論が交わされた。

 降雪地での乾田直播に対する技術向上を主旨に始め、全国から数多くの実践者や研究者も参加している雪国直播サミット。1年ぶりに顔を合わせて去年の作柄について報告し合う姿があちこちで見られ、改めて生産者の、生産者による、生産者のための催しであることを実感した。

 


 実行委員長の新田慎一郎氏は「今年のテーマは『〝アレ〟に憧れるのはやめましょう』。私の乾直にとってアレとは天候。今回協力いただいたスガノ農機さんには、〝農は人為1割、自然9割〟との言葉がある通り、農業は天候に非常に左右される仕事。人ができることは1割程度しかないが、その中で土づくりをしっかり行い基本技術を励行することで実り多い秋を迎えられると考えている。サミットは今後も継続していく考え。取り上げて欲しい要望やアイデアがあれば出していただきたい」と挨拶した。スガノ農機の渡邊信夫社長も「楽しく農業を行うために必要な技術は何かを考え、3年前から乾田直播を企業として前面に打ち出した。今後も皆様と知恵を出し合いながら新しいことにチャレンジし、皆様のお手伝いをしていく」などと述べた。

                                                               新田委員長

 


           
                                                          スガノ農機の渡邊社長

 

 

 

 午前の部では『乾直作業体系の予習と復習』と題して乾田直播の基礎講座と作業機のポイントを講義形式で実施。基礎講座ではスガノ農機北海道支店の佐藤準士支店長が登壇し、はじめに北海道内で乾田直播の面積が右肩上がりで伸び、空知、上川、石狩振興局管内で急増している現在の状況を説明。その要因について①農家戸数の減少で1戸あたりの農地面積が拡大②ほ場が乾きやすく田畑の輪換が可能③労働軽減により高齢者や女性に喜ばれる④基盤整備により大区画が進んだこと⑤乾田直播実践者の増加、をあげた。技術面では、溝掘り・心土破砕・反転耕起・均平・播種前耕起播種・鎮圧など同社製品が関わる作業体系を中心に目的やポイントなどを説明。「溝堀りは排水口に向けて溝を繋げることが重要」、「心土破砕はほ場が乾いている時にプラソイラ・サブソイラ・ハーフソイラの中から用途に合わせて使用を」など〝ためになる〟方法を説明。反転耕起では〝良い仕事をする〟と好評の浅耕リバーシブルプラウについて動画で紹介した。


 続いて、同社開発本部の波多野篤部長が最も問い合わせの多いプラウの一般的な使い方を伝授。 〝口あけ〟や四角の処理をプラウ一つで行う方法を動画やパワーポイントなどで丁寧に説明。リップサービスとして現在開発中の製品についても紹介した。


 午後の部では『2023年の反省と課題』と銘打ち、昨年の岩見沢地域の結果を数値で紹介した後、乾田直播のエキスパートが作業上のテクニックを説明。


 岩見沢地域の結果はJAいわみざわ水稲直播研究会会長の濱本壮男氏と空知農業改良センター専門普及指導員の図師(ずし)拓也氏の2人が地域の状況を紹介。JAいわみざわ管内の水稲面積5908‌haに対し17・5%を直播栽培が占めるまでとなり、研究会の会員も令和5年4月までに188戸となり、「ここ2年で70戸増え、面積も1.5倍となった」と濱本氏。行政やJA、普及員が手を取り合って進めたことで地域内の輪が広がり、定着したことを述べた。エキスパートたちのテクニック説明では、委員会役員がとっておきの技を紹介。新田委員長はガイダンスで蓄積したデータで便利なことができるとQGISというフリーソフトを使ってほ場の高低差を確認する方法を説明。他の役員も実践中の手法を紹介。参加者は動画などで記録していた。


 隣でメモを取っていた旭川市から初めて参加した生産者は「乾田直播を今年からはじめるので勉強にと参加した。午前に基礎を学べ、午後にはベテランから実践的な話が聞けて学ぶことが多かった」と感想を述べた。終了間際には道外からの参加者を壇上で紹介。福岡からの参加者は、「移植でやっていたが、苗を作るスペースを借地で返して作れなくなったので直播をやるつもり」、宮城の生産者も「去年の結果で作業性だけでなく品質面でもリスクがないことから今年から全て乾田直播に切り替える」など、〝乾直人〟となる決意を表明。拍手が送られていた。
 雪国直播サミットは来年も同時期に行う予定。まだまだ進化の途上の技術であり、次にどのような発表や話題提供があるか楽しみだ。

 

 

オススメ資材を紹介 23の協賛メーカーが出展

 

 会場には23社の協賛メーカーが出展。

除草剤が多く展示されていた中、バイオスティミュラント資材やスマート機器の展示が印象に残った。各メーカーが推奨した製品は次の通り。(順不動)。

 スガノ農機は12インチのプラウ用ボトムを展示。浅耕プラウではボトム後ろが長くなりヒネリが加わった改良点を披露。グループ会社のSIRはスガノ製品なら何でも買い取ることをPRし、同じくスガノ創新はプラウとレベラーを使ったほ場整備「反転均平工法」を説明した。
 シンジェンタジャパンはバイオスティミュラント資材「アビオスリー」をPR。ジャエイカムアグリは被覆窒素肥料「Jコート」、ファイトクロームは「ネバルくん」、OATアグリオはドローン散布できる粒剤肥料「エアイーネ」シリーズ、北海道肥料は来春発売予定のドローン散布用肥料「空散(くうさん)sik」、コルテバ・ジャパンはバイオスティミュラント資材「ユートリシャN」のサンプルモニターを会場で募集。住商アグリビジネスは硝酸化抑制剤入り緩効性肥料「米アミドろんぐ25」とスマート農業部門よりドローンを、日の丸産業はバイオスティミュラント資材を紹介した。
 水稲用初・中期一発処理除草剤ではバイエルクロップサイエンスは「ストレングス」、三井化学クロップ&ライフソリューションは「ウルティモZ」、住友化学は「ゼータプラス」をアピール。丸和バイオケミカルは麦用除草剤「ムギレンジャー」、日本農薬は水稲用除草剤「ロイヤント乳剤」などを紹介し、日産化学は少水量散布を実現したラウンドアップ用ノズルの北海道ブームモデルを中心に展示した。

 スマート機器では、ニコン・トリンブルが新型GNSSガイダンス・自動操舵システム用ディスプレイをPRし、トプコンも自動操舵システムのエントリーモデルを紹介。アグコントロールシステムは少しの投資でGPSレベラーにアップグレード可能な「簡易GPSデータコンバータ」、コハタは最新ドローンや自動操舵システムを展示した。栗山興産は施工性に優れた新タイプの吸水管「クリドレーンダブル管」を展示した。

 

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