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第77回クボタ機械グループディーラーミーティング 2024クボタ新春のつどい

第77回クボタ機械グループディーラーミーティング 2024クボタ新春のつどい

「想」を集め力に 命を支えるプラットフォーマー

 クボタは1月17日、京都市左京区の国立京都国際会館で『2024クボタ新春のつどい』『第77回クボタ機械グループディーラーミーティング』を開催した。目的は①前年度事業協力に対し謝意を表す②方針発表を通じてクボタグループの結束力を高める。会場に約700名、オンライン含め約1700名が参加した。今回は対象を農機国内事業にフォーカスし、よりリアルのコミュニケーションを重視した運営と、ペーパーレスなど地球環境に配慮した新しい取組みにもチャレンジした。 『2024クボタ新春のつどい』は、全員黙祷で始まった。北尾裕一社長が登壇し、能登半島地震の被災者に御見舞いの言葉「力になりたい」と話した。続いて、クボタトラクタが大地を力強く耕す映像に「新時代を力強く前進」「農業を支え続けるために」「SMART・GREEN・INNOVATION」「2023年を駆け抜け」「つないだ確かな軌跡」「一人ひとりの想いがミライをつくる」「想いをのせ、ミライへ」「Road to GMB2030」のメッセージを載せて発信。北尾社長は「皆様の存在と多大なるご努力あってのクボタグループであり、感謝の意をお伝えしつつ、ここで2023年の皆様の成果を讃えあいたい」と挨拶。表彰式に移った。
【特別優秀ディーラー】
関東甲信クボタ、新潟クボタ、北陸近畿クボタ。
【優秀ディーラー】南東北クボタ、東海近畿クボタ、福岡九州クボタ。
【機種別優秀ディーラー】
《機種別特別優秀ディーラー》関東甲信クボタ。
▽トラクタ=中四国クボタ▽コンバイン=新潟クボタ▽田植機=福岡九州クボタ▽MKT=南九州沖縄クボタ▽関連商品=北陸近畿クボタ▽部品=東海近畿クボタ。
【占拠率優秀ディーラー】
関東甲信クボタ、新潟クボタ、北陸近畿クボタ、中四国クボタ、福岡九州クボタ。
【サービス優秀ディーラー】東海近畿クボタ、福岡九州クボタ、中九州クボタ、南九州沖縄クボタ。
【製品開発貢献ディーラー】みちのくクボタ、新潟クボタ、中四国クボタ。
【社長特別表彰】北海道クボタ。
【最優秀販売店】▽ダイヤモンド部門=㈱石川商会▽プラチナ部門=㈱オオモリ▽ゴールド部門=
北原農機商会、㈲古賀鉄工システム。
【優秀販売店・優秀代理店・優秀代弁人】▽ダイヤモンド部門=㈱スズキアムテック、㈱柿崎商店、㈱石井農機、文平産業㈱、㈱小林農機、㈱山本産業
㈱ホソダ、㈲佐藤農機商会、㈲竹井農機商会、㈱トミタモータース、㈱谷澤商会。
 ▽プラチナ部門=福田農機㈱、㈲小木曽農機、
西尾農機㈲、白井農機㈱、
㈱ヤナギハラ、福田農機㈱、㈱コーポレーション森、㈱川又商会、㈱佐野農機、㈲峰浦商会、(資)三宮農機商会、㈱アグリメンテナンス、㈲佐渡農機商会、㈱久保機械店、㈲やしま商会。
 ▽ゴールド部門=㈱竹内農機商会、㈱大崎機械店、㈲伊藤農機具商会、㈱金子商店、志摩機械㈱、㈲ハヤカワ機械、㈱佐藤農機、㈲マスヤ、㈲タナベ農機センター、大久保農機、㈱三輪農機、㈲白石農機、㈱ナカエ、徳留農機。
 ▽東アジア優秀代弁人・代理店=國隆農機有限公司、益山㈱勝利農機械、珍島한우리(HANWOORI)営農組合法人、安東㈱安東KAMCO。
 その後、全国クボタ農機連合会表彰。優秀セールス24名、優秀サービス24名、機種別優秀セールス40名に感謝状が、クボタライセンスでは新人王16名。ゴールデンクラブ会員17名に認定証が吉田至夫会長から、手渡された。
 休憩をはさみ第2部。北尾社長、渡邉大副社長機械事業本部長、鶴田慎哉国内農機営業本部長がそれぞれ挨拶にたち、今年、2024年の方針、方向性をメッセージとして発信した。
 始めに北尾社長。「今回は、農機国内ディーラー、農機国内事業に携わる皆さん、ここにいる、そしてオンラインで参加いただいている皆さんとより深くつながれる、そんな場にしたい。はじめに、2023年度の業績は、過去最高の売上、利益を更新できる見込みだ。これもひとえに、農機国内販売グループの皆さんお一人おひとりが、『On Your Side』の精神を持って『One Kubota』で様々な課題を乗り越えてこられたからこそだ」とした後で、『想』(パーパス)について話し「パーパスは想いだ。誰かのためになっている事実がイノベーションの種ともなる、みんなの想いを集め『One KUBOTA』で取り組んでいこう!」と、結束を呼びかけた(別掲)。
 次に、渡邉副社長機械事業本部長が挨拶。昨年の好業績達成へ感謝の意を伝えた後、クボタの国内における活動、クボタの技術・製品の海外展開、マザー市場・日本の課題解決の方向性などを語った(別掲)。
 続いて鶴田国内営業本部長。始めに「今年から農機国内営業本部長を務めます」と挨拶。参加者に対し日頃の活動に謝意を表した後、これからの国内農機の取組みについて説明(別掲)。最後に、トータルソリューションカンパニーへ進化するためのキーワードとして『共創』を掲げ、『マイスター』3名、『技術向上委員』11名、今後のグループ全体の戦略企画を担う『戦略企画チーム』18名を紹介、力を合わせていきたいとした。
 最後に、クボタ農機連合会の吉田会長が、ディーラー代表の決意表明(別掲)。会場の士気を盛り上げた。
     ◇
 その後、特別講演。講師は、アーティスティックスイミングコーチの井村雅代氏。テーマは「あなたが変わるまで、わたしはあきらめない」。
 井村雅代氏は、10年間のシンクロナイズドスイミングの選手を経て、1978年から日本代表コーチを務め、1985年に井村シンクロクラブを設立。シンクロナイズドスイミングがオリンピック種目になってから、8大会連続メダル獲得を成し遂げ、多くのオリンピック選手を指導。2008年の北京オリンピック、2012年のロンドンオリンピックでは中国代表コーチも務め、中国代表初のメダル獲得に寄与するなど、海外でも注目される中、2014年、
日本代表のヘッドコーチに復帰。昨年開催された世界選手権では、日本代表のソロコーチとして乾友紀子選手を指導し、2022年から2大会連続で2種目連覇という快挙をサポートした人。会場に気力を注入した。

北尾社長 「パーパス」とは「想」 イノベーションの種

 

私の好きな漢字を紹介します。この『想』です。最近よく「パーパス経営」や「企業の存在意義」という言葉が聞かれます。私は「パーパス」とは『想い』だと思っています。『想い』が、その人、組織の存在意義、存在価値を創ります。『想い』は「相手の心」と書きます。これを英訳したのが「On Your Side」、常に相手、お客様の心に寄り添うこと、私がこの漢字を好きな理由です。クボタの始まりも創業者である久保田権四郎の「伝染病から人々を救いたい」という強い想いから生まれています。戦後の食糧生産や農業における重労働からの解放を支えたのも「より良い社会をつくりたい」「今、目の前にいる人の役に立ちたい」という想い、地域やそこに住む人々、「相手の心」に寄り添う姿がありました。
 皆さんには、どんな「想い」があるでしょうか?もちろん私にも「想い」があります。社会課題に向き合い持続可能な日々の暮らしを守るために「命を支えるプラットフォーマー」となること、それを皆さんと実現することです。これを私達の果たすべき役割とグループ全体で取り組む指針、羅針盤として欲しいと思います。2021年に発表した、この長期ビジョン『GMB2030』の実現には、日本での取り組み、とりわけ農機ディーラーの皆さんの取り組みがとても大切です。理由は3つあります。
 1つめは、日本が課題先進国であるということ。
諸外国に先んじて人口減少、少子高齢化、それに伴う生産年齢人口の減少が進行しています。将来自分たちも直面する高齢化に伴う諸課題に日本がどう対応するのか、各国が注目しています。
 2つめは、クボタは日本で生まれグローバルに成長した企業であること。
今も、日本で培われた技術、知識、教育、文化などがその中核にある、日本はまさに「マザー市場」であり、それは今後も変わりません。クボタグループは、今や5万人もの社員、仲間が、世界各地で社会課題の解決に取り組み、3兆円にのぼる売上を創出しています。
 最後3つめは、農家の皆さん、農業経営者の皆さんと、クボタが直接の接点をもって日々、活動をしていること。特にこの点は重要です。
 クボタ農機国内販売グループには、7000名の社員、700の拠点、1300の販売店、数多くのパートナーがいます。これは貴重な財産です。最前線で顧客の変化、世の中の潮流を的確に掴みながら、時代を、クボタをこれからもリードし続けて欲しい。日本での皆さんの日々の成果、実績がGMB2030への大きなチカラになります。
 農業は、食は農村地域を支え、何より日本の文化の根源でもあります。長年、業界のトップで、日本の農業生産現場を支えてきた皆さんの存在意義は、それほど大きいのです。一方で、食料安全保障もさけばれるように、当たり前にあった「日本の食」がなくなる日が来てもおかしくない状況になりつつあります。この大きな課題に対し、私達がなすべきこととは何でしょうか?ここに、日本の農業を、私達の事業を更に進化、次のステージに進めるためのチャンスが存在しています。
 農家人口が大きく減少する中、更なる省人化・省力化が必要です。従来の経験や勘だけではなくデータで見える化し、分析し、改善を重ね、次世代へと繋いでいく経営が必要です。そのカギとなるのが「スマート農業」です。「クボタがスマート農業で世界をリードする」という想いで、行動を起こしていく必要があります。
 すでに世の中にも、クボタの中にも、新しいカタチが生まれつつあります。例えば、今はトラクタにインプルメントが付いているのが当たり前ですが、インプルメント自体が自然エネルギーで動き、作業する姿が、現実のものになりつつあります。トラクタの動力も、ディーゼルエンジンが当たり前でしたが、今や電動化、水素、代替燃料などの新しい流れが生まれています。先日アメリカで行われた、世界最大のテクノロジー見本市、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)のクボタブースでは、運転席のキャビンが無く、カメラやセンサーで周囲の状況を自動で判断する自動運転と電動化を組み合わせたクボタ初のトラクタなど、カーボンニュートラル実現に向けたクボタのテクノロジーを世界に向けて発信しました。社内にも『将来、トラクタは今の形が残っているかわからない』と伝えています。
 トラクタやディーゼルありきではない、農作物や作業にとって、地域や地球環境にとってより良い形は何か?発想を自由にもって考えることが大切です。あらゆる変化は人が起こしています。
 これまでも、これからも日本農業を支え続ける。私はそのためにスマート農業を軸に、オープンなアグリプラットフォームの構築、フードバリューチェーン全体にソリューションを提供することに、皆さんと共に取組みます。
 「想い」を英訳した〝On Your Side〟とは、一人ひとりがビジネスの原点に立ち返り、お客さまに寄り添い、お客様が抱える課題を発見し、お客様にビジネスの成功と喜びをお届けするという強い想いのことです。お客さまの課題解決には、まずはお客様を知ること、そしてお客さまの目線にたって考えること。その解決のためにあらゆる努力を惜しまない、一流の職業人として成長することです。
 会社は、自分の想いや自己成長を実現できる場です。一人ひとりが想いを持って仕事に取り組み、それが会社の想いと繋がり、組織も個人も発展、進化していく会社、グループ。売上だけでなく、お客さまからの信頼、満足を最も多く獲得し、それによって最も多くの社会貢献をなしうるブランド。それが、「GMB」なのです。
 「イノベーションなくして成長なし」。イノベーションは、何も革新的な技術ばかりを指すものではありません。どんな小さなことでも、誰かのためになっていることその事実がイノベーション、あるいはその種です。皆さんもぜひ、ご自身の「想い」を考えてみてください。そして今年1年、それを仲間とも想いをぶつけあってみてください。私の想い、皆さんの想い、仲間の想い、それを重ねあわせてみましょう。
 もちろん、想いは一つではないでしょう。むしろ多様性、多様な想いが集まることでイノベーションが生まれ、それがクボタグループの大きな強みとなります。人々の暮らしに欠かせない食料・水・環境、その社会課題に向き合い、持続可能な日々の暮らしを守るために「命を支えるプラットフォーマー」となる。その実現に向けてグローバルループの重なり、広がりを加速させていく。それが「One Kubota」です。農機国内に携わる皆さんがいる、その誇りと気概をもち、2024年、共に取り組んで参りましょう。

吉田会長 時代の変化の先頭に立つ

 

いま、日本農業は大きな変革期を迎えています。私達はこうした変化の先頭に立ち、持続可能な農業の実現に向け、力を合わせていく必要があります。それはすなわち、農業の新時代を創造し、日本、ひいては世界の市場をリードしていくということです。そのために、次の3つの決意を共有し、共に力強く取り組んでいきましょう。
 一つ目は、効率的かつ持続可能な農業の実現に貢献すること。クボタグループにはスマート農業に適した機械や自動化装置など、効率的な農業生産をサポートする製品、地球環境に配慮した製品が数多く揃っています。こうした製品・サービスに関する知識やスキルを身に付けお客様へ提供することで日本農業を支えていきましょう。
 二つ目は、お客様にとって「一番の相談相手」になることです。クボタグループがお客様にとって「一番の相談相手」であり続けるためには、フードバリューチェーンの重要性を認識し、農業生産だけでなく、消費や加工・販売などの各段階をトータルでサポートすることが重要です。我々の最大の強みは「お客様との強固な信頼関係」にあります。お客様の悩みが高度化・複雑化している今の時代だからこそ、お客様へトータルソリューションを提供することで、より強固な信頼関係を築けると考えます。
 三つ目は、チームワークと感謝の気持ちです。農業の新時代を切りひらくためには、クボタグループはもちろんのこと、関連メーカー、お取引先様を始めとする業界関係者の皆様とのパートナーシップが重要です。農業を支えるすべての人々に感謝の気持ちを抱き、共に成長し、共に新時代を創り上げていく。それこそが、時代の変化の先頭を走る、我々が歩むべき道である、そう確信しております。
 最後に全国の販売店、販売会社、クボタの皆様が存分に力を発揮されますことを誓い合い、決意表明としたいと思います。農業の新時代を創造し、日本、世界の市場をリードしていきましょう。

渡邉副社長 スマート農業の推進 高付加価値のビジネスへ

 

皆様、こんにちは。本日は、クボタ機械グループディーラー、お取引先の皆様を一堂にお招きし、第77回クボタ機械グループディーラーミーティングを開催できますことを、主催者として心より御礼申し上げます。
 長期ビジョンGMB2030の実現に向け、2025年までを土台づくりの期間と位置づけて定めた中期経営計画2025。その折り返しの年となった2023年を、好業績で締めくくることができました。グループ一丸で「One Kubota」として臨み、お客様に寄り添う「On Your Side」の精神で取り組んだ結果であります。関係の皆様に心からの感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 クボタグループの使命は、「食料・水・環境」の社会課題の解決を通じて、持続可能な社会の発展に貢献し、人々の豊かな暮らしを支え続けることです。食料の分野においては、各国の農業の事情に合わせた製品・技術・サービスを通じて、農作業の効率化や生産性の向上に貢献し、農業を支えてきました。
 こと日本においては、ここにお集まりの販売会社・販売店の皆様が、「On Your Side」の精神でお客様に寄り添い、お客様が抱える課題を見いだし、解決することで、農業を支える人たちを支えてきました。現在、日本で使用されているトラクタ・田植機・コンバインの2台に1台は、クボタ製品です。これは一朝一夕で成し遂げられるものではありません。
 製品・販売・サービス、それぞれの分野に関わる人たちが連携し、お客様の課題を解決してきた歴史であり、信頼を積みかさねてきた証であります。
課題解決を通じて培った日本の製品や技術は、海外事業にも良い影響を与えてきました。アジア農業の機械化・近代化への貢献、そしてクボタブランドの醸成です。クボタグループでは、1980年代後半以降、パートナー企業と連携するかたちで中古農機を海外へ輸出してきました。その多くは稲作栽培を中心とするアジア諸国が占め、過去10年では推計20万台ほどのクボタ中古機が海を渡っています。
 動力源を人力・畜力からエンジンへ、農業スタイルを歩行から乗用へと進化させることで、アジア各地の農業近代化に貢献してきました。
 また、その過程の中で、クボタ製品の機能性や耐久性、日本で培ったアフターサービスが高く評価され、アジア諸国でのクボタブランドが醸成されました。日本がマザーと呼ばれる所以です。
 現在、世界の農業は、さまざまな課題に直面しています。過剰な農薬や肥料の使用、焼畑農業、森林伐採などによる土壌の劣化。異常気象や温暖化の影響による気候変動。世界人口と食料需要の増加。農家の高齢化と人手不足の進行。現在、日本は、課題先進国として、このような変化の先頭を走っています。日本農業が、どのようにして、複雑で高度な課題を解決し、持続可能な農業を実現するのか。新しいソリューション、新しいビジネスモデルを創造するのか。アジアが、世界が、マザーである日本の農業に注目しています。
 課題解決の方向性は次の二つに集約されると考えます。
 一つ目は、トータルソリューションの提供です。
農業を生産だけでなく、加工や消費などの各段階においてトータルでサポートすることで、農業をより付加価値の高いビジネスへと進化させていくこと。このことが、持続可能な農業を実現するうえで極めて重要です。使いやすく投資効率の高い機械を提供することはもちろん、農家の負担軽減、農産物の高品質・高収量化、販路の拡大など、お客様の困りごとに寄り添いながら、農業の入口から出口までのトータルソリューションを提供していきましょう。
 もう一つが、スマート農業の推進です。
 環境負荷を低減しながら、農家の高齢化や人手不足へ対応するためには、「農機自動化による超省力化」と「データ活用による精密化」を農業一貫体系の中で実現していく必要あります。そうやって確立したスマート農業技術が、日本、ひいては世界の農業スタイルを変えていくのです。かつて日本の機械化技術がアジアの農業発展に貢献したように、課題先進国の日本が、スマート農業を通じて高齢化や人手不足を克服し、持続可能な農業を実現する。新しい農業の姿を世界に示していく。一朝一夕では成し遂げられない、大きなチャレンジではありますが、ここにお集まりの皆さんと一緒に取り組めば、必ず実現できる。私は、そう信じています。

鶴田国内営業本部長 鍵は「共創」にある トータルソリューションカンパニーへの進化

 

 農機国内グループの共通の「想い」とは、豊かな食を支えることはもちろん、四季折々の恵みに満ちた美しい国土との共存、長年育んできた文化や地域コミュニティの源である農業の力を大切に思い、その発展に貢献していくことと考えています。
 今新たな課題が迫っています。課題解決の新たな挑戦が求められ、クボタグループにも大きな期待が寄せられています。生産性向上と持続性の両立。データ駆動型農業で生まれる新しい価値で、新しい市場を作る。マザー市場の日本で、クボタが新しいビジネスモデルを創造していく。そのことが、私たちのビジョン「日本農業を支える人を支え続けること」と信じて、皆さんと共に進んでいきたいと考えます。
 これからの国内農機の取り組みについてお話しします。「農業を支える人を支える」「お客さんが困ったときの一番の相談相手になる」このことを、変わらない私達の使命と位置付けて、長期ビジョンGMB2030で掲げた「トータルソリューションカンパニー」 への進化を目指します。中期経営計画2025で定めた、土台作りとして3つのテーマを推進していきます。
 一つ目は、スマート農業促進の土台作りです。
新製品、プラットフォーム、通信環境を整え「誰でも、スマート農機が利用できる」を目指します。スマート農機については、高性能な自動運転、無人運転だけでなく、お持ちの機械に後付けできる、自動操舵や通信ユニットも含めて、スマート農機のすそ野を広げます。また、播種、施肥、管理、ポストハーベスト商品との連携を進めスマート農機の活用の領域を広げます。施設園芸や畑作分野においても様々なアライアンスを進めスマート農機投入を加速させます。
 そして、スマート農業を支えるプラットフォームKSASの進化です。営農、栽培、経営、機械の管理等の従来機能の充実はもちろん、他企業が提供するサービスと連携して、ユーザーごとにカスタマイズできるKSAS Marketplaceにより顧客ニーズに対応していきます。
 スマート農機の高精度な作業に欠かせない通信環境については、RTK基地局をクボタグループで設置していく構想です。現在、クボタグループでのカバー率は本州で20%程度と推測しますが、今後拡大して、誰でも、スマート農機が利用できる環境も、整えていきます。
 二つ目は、アフターマーケット事業の土台作りです。サービスセンター、サポート体制、人材育成体系を整え、いつでも機械が順調稼働することを目指します。サポート体制についてはマシンごとの稼働データに基づいて、タイムリーな点検を提案することでトラブルの未然防止を目指します。
人材育成については、必要なスキルや資格の習得機会を促進するクボタユニバーシティを構想し、計画的な人材育成にも注力していきます。
 三つ目は、顧客提供価値の最大化の為の土台づくりです。多様な接点、顧客毎のマイページ、顧客満足の把握を整え、どこでもお客様と繋がっていることを目指します。多様な顧客接点については、お客様のデジタル活用が進んでおり、それにも対応した接点、SNS、WEBセミナー、見積もり依頼、ECサイト等、またオンラインイベントGROUNDBREAKERSを通じて交流の機会も作り、多様な接点強化を推進します。顧客満足の把握については、現在も行っている顧客満足度調査のサイクルや対象を拡大し、クボタグループ共通の、より重要な指標としていきます。クボタブランドに対する総合的な愛着や信頼を示す顧客推奨度NPSもその指標になると考えています。
 お客様の困りごとは複雑化・多様化しています。製品販売、アフターサービスでお応えしていくことはもちろんのこと、一番の相談相手になっていくために、新しいビジネスモデルも整え、フードバリューチェーンの川上から川下までトータルソリューションを提供していく必要があります。
 例えば、日本産米の輸出を通じた販路拡大です。私たちはこの10年間で5万t以上を輸出してきました。昨年も推定値ですが、日本米輸出の20%以上を占めています。香港、シンガポールに続き、本年、ハワイに新会社を設立し、日本産米の更なる需要拡大にも注力していきます。
 また、農機シェアリングサービスも進めています。今後、農機シェアリング拠点の拡大、農作業のアウトソーシングも構想しています。今年から、トラクタの残価設定リースプランを準備しWEB上で契約申込できる新サービス「ラクタ」を展開します。お客様の多様なニーズへの対応、利便性の向上を目指すものです。
営農型太陽光発電の研究も進めています。
 J―クレジット支援サービスも展開しています。
 J―クレジット制度の中で「水稲の中干し期間の延長」プロジェクトのオーナーとなり、生産者の認証手続きを支援し、創出したJ―クレジットはクボタが全量買取るしくみです。稲作のメタンガス削減への貢献にも繋がるカーボンニュートラルソリューションです。わたしは、トータルソリューションカンパニーへ進化する為のキーワードは、「KYO―SO」だと考えています。競い合う「競争」だけでなく、共に創り上げていく「共創」だと考えています。
 ここにお集りの販売店、販売会社の皆さんを始め、クボタグループはもちろん、行政、業界団体の方々、関連メーカー、くるみ会の皆様、お客様も含めて、より強く、連携を深め、共に創り上げていくことで「トータルソリューションカンパニー」 への進化が実現できると考えています。

社内向け生成AI等 業務改善に向けて開発

 

ディーラーミーティングの休憩所では、昨年夏からクボタグループ内の業務改善に役立たせるために開発したスマート技術についての説明も行われた。
 1つは生成AI(ChatGPT)を活用したクボタ社内向けチャットボットサービス「クーボット」。クボタのクラウド環境内に構築されており安心安全に利用ができ、対話を通じて情報収集や文書要約・構成、アイデア出しなどに活用できるというもの。会場では顧客からの技術や商品への質問に対しての説明に活用する上手な方法などを解説した。
 もう一つは「Tobii Glass(トビーグラス)。メガネのように装着した人の視線をデータ化、可視化でき、これを用いてクボタと新潟クボタと共同で点検整備作業の効率化実現の向けた研究を進めている。このデバイスを用いてベテラン整備士と新人との作業の違いを分析し、5日かかっていたコンバインの点検整備を3.5日に短縮することを目的に行っていることなどを説明した。

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