新たな時代の農業に向けて スマート化・グリーン化技術の開発進む
今年はわが国農業の方向性がガラリと変わる転換点の年となるだろう。
今年の通常国会では、農政の重要法案の提出が予定されている。25年ぶりに改正される「食料・農業・農村基本法」だ。すでに大きな方向性は示されている(関連記事3面)が、基本的には「国民一人一人の食料安全保障の確立」「環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換」「食料の安定供給を担う生産性の高い農業経営の育成・確保」「農村への移住・関係人口の増加、地域コミュニティの維持、農業インフラの機能確保」を柱として構成される見込みだ。特に食料安全保障の確立に向けては生産拡大が打ち出される。
一方、生産拡大に向けては厳しさも増している。昨年は各地で高温少雨となりコメを中心に大きく影響を受けた。改めて気候変動への対応の重要性を強く印象付けた。また、担い手についても、農水省は今後20年で4分の1まで減少するとみており、生産拡大に向けては少人数で効率的、省力的に作業ができる栽培体系へと転換していくことが求められる。
こうしたことから、土づくりや品種の育成といった高温対策技術の導入、担い手不足に対応するスマート農業技術を中心とした、各種機械・技術・資材の導入が今後更に重要性を増していく。
加えて、気候変動の要因ともなっている環境負荷の低減、すなわちみどりの食料システム戦略の実現も依然として重要なことであり、これを実現するための技術開発も進んでいる。
いずれの課題に対しても、解決のベースとなるのは、各種の技術、機械、資材だ。これらは食料安全保障を守る要となるものだ。「我々が日本の食を守っている」。その誇りを胸に業界一丸となって新たな時代の農業に向かって進んでいきたい。
(以下の写真について)
上:クボタの無人自動コンバイン、中:子実用とうもろこし対応のヤンマーのコンバイン、下:井関農機の電動モア、一番下:三菱マヒンドラ農機のペースト施肥田植機。