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井関農機 2024年度上期新商品発表会

井関農機 2024年度上期新商品発表会

右から冨安社長、縄田常務、谷取締役海外営業本部長、渡部開発製造本部長

 

 環境負荷低減と食 農業の生産性・快適性向上

 井関農機(冨安司郎社長)は14日、同社つくばみらい事業所で『2024年度上期新商品発表会』を開催し『環境負荷低減と「食」への貢献、農業の生産性・快適性向上』をコンセプトに9品目34型式を発表した。また、メタンガス削減に向けての同社のカーボンクレジットの取組みを発表、クレジット生成をサポートする㈱フェイガーとの連携協定締結式を行った。

 発表会の席には冨安社長、縄田・深見・神野常務、谷取締役海外営業本部長、渡部開発製造本部長などの役員が出席した。
始めに、冨安社長が開会挨拶。その中で、同社のビジョン、基本理念、その基本理念の達成のための長期ビジョン(ありたい2030年の姿:〝食と農と大地のソリューションカンパニー〟)を説明。同ビジョンにおける今回の新商品の位置付けを説明した(別掲)。
【冨安社長挨拶】井関グループが解決すべき社会課題の1つに環境問題がある。日本の温室効果ガス排出量に占める農林水産分野の割合は約4%、そのうち稲作によるメタン排出量は24%を占めていると言われる。このような環境負荷低減に向けて環境保全型農業の普及拡大が求められている。また私共が海外で力を入れている欧州は実り豊かな公園や美しい街並みなど世界の中でも環境意識が高いエリアだ。持続可能な街づくりに向けて環境への取組みの高度化、カーボンニュートラルの実現に貢献する商品・サービスが一層求められている。
 次に食に関する社会課題については、昨年、世界人口が80億人に到達し、2050年には100億人に達すると言われるが現在も8億人が飢餓人口であり、2050年までに1.5倍の食料増産、これが私共の大きな役割だ。さて、米食の評価が高まっているという嬉しい話題がある。これをチャンスと捉えコメの消費拡大に繋げるためにはお米の新しい価値の提供や高付加価値化が鍵になると考えている。こうした現状や課題解決に向け、本日の新商品発表会においてはコンセプトを『環境負荷低減と「食」への貢献、農業の生産性・快適性向上』とし、紹介する。
 次にJ―クレジットの取組みについて夢ある農業ソリューション推進部が説明。「メタンガスは酸素が少ない状態で土壌微生物が働き発生する。水田土壌は水を張ることで酸素が少ない状態となりメタンガスが発生する。この対策として中干の延長がある。中干は通常1週間~10日行うが、1週間程度延長することで約3割メタンガスが減ることが証明されている。しかし中干の延長はタイミングを間違えると収量が落ちるリスクもある。水稲生育にとって中干のタイミングは非常に重要だ。早すぎると茎数不足になり減収する。一方遅くなってしまっても幼穂形成期に被って籾数が不足し減収の要因となってしまう。中干延長では正確なタイミングを把握することが重要になってくる。そこで井関が推奨するのはAmoniの水稲生育予測だ。中干延長の開始時期の目安がわかる。実証を行いこの有効性を確認した。しかし、井関にはJ―クレジットを申請するノウハウはない。そこでフェイガー社と連携することにした」。

                     締結式


 その後、井関農機とフェイガー社の事業提携締結式を行った。今後、井関農機はフェイガー社が展開するJ―クレジット代行申請サービスを通じて農業分野における温室効果ガスの削減に向け、両者で連携して取り組んでいく。井関グループの販売網を通じて本サービスを農業生産者に紹介すると共に認証のサポート行うことで農業生産者が円滑にJ―クレジットに取組めるようサービスを展開していく。
 冨安社長は「井関農機は環境保全への取組みを強化している。機械の自動化、可変施肥化、有機農業化で機械だけでなく様々な開発をしてきた。今回、フェイガー社様との提携で、脱炭素のカードを1枚増やすことができた」と述べた。

 

9品目34型式を発表

 その後、新商品の発表。
【コイン精米機CP420/CPH420シリーズ】


 
 タイワ精機と共同開発。同社の石仙営業部長が説明した。お米のうまみ層(亜糊粉層を残す精米方式でお米の美味しさを引き出す〝うまみ精米〟機能を搭載した新型コイン精米機。試食会も行い記者たちからは「香り・甘みがある」との感想。
 タイワ精機での調査(3カ月間、利用回数3700回)では23%が〝うまみ精米〟を利用し、それも増加傾向にある。1年後には30%の利用率になりそうだ。これは無洗米利用の8%をはるかに上回っている。お客様の感想としては「滑らかでのど越しが良かった」「うまみ・甘みを感じた」「香りが強くなった」という声を頂いた。亜糊粉層にうまみ成分が多く残っているためと思われる。数値的にも標準ボタンで精米した時よりも食味鑑定値が高くなることがわかっている。

 

【ヰセキ欧州・オセアニア向け乗用モーアSXG3シリーズ及びトラクタTMシリーズ】





 欧州営業部が説明。始めに動画でヰセキの欧州景観整備事業を紹介。その後、HVO燃料対応で環境負荷低減に貢献する2機種を紹介した。欧州では軽油と混合されたバイオディーゼルから、より環境負荷低減効果の高いHVO燃料(水素化植物油)への転換が進みつつある。今回発表した2機種はHVO燃料に対応したエンジンと燃料ホースを搭載することでCO2排出量削減などに貢献している。2025年を目途に欧州向け全モデルに搭載していく。モーア(デッキ)の屋外の実演では、軽快に落ち葉を集め、コレクタのダンプ高さが2000㎜にアップしトラックへの排出も楽になった様子が披露された。


     
 ここからは別会場に移り、実機を前に新商品を紹介した。

 

【コンバインFMシリーズ(4条刈/5条刈)】

居住性・操作性・メンテナンス性を追求した『フロンティアマスターFMシリーズ』。長時間作業でも快適な居住性、作業にゆとりを生む操作性、トータル作業効率を向上させるメンテナンス性を兼ね備えた。グレンタンクワイド点検口、刈取部キャスタレスオープンなども説明した。

 

【タイショー・マップ連動施肥対応ソワーGRANDY GRT=AGIシリーズ/同―300―AGI―S/同—同—同―L】



 参考出品として紹介された。ザルビオフィールドマネージャー対応機の第2弾として、田植機PRJ8に次ぎ、トラクタBFのマップ連動機能を使用して、可変施肥作業を実現する専用作業機がタイショーから新発売される。井関農機では今年6月に、トラクタBF(Z型式のみ)と専用作業機を使用して、BASFデジタルファーミング社・BASFジャパンとJA全農が提供する栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」等に連携し、マップ連動可変施肥作業を行えることを発表していた。同様の機能は、海外製の大型ブロードキャスター等ではあったが、45~60馬力クラスのトラクタが制御する機能としては、BFトラクタが業界初。小規模な圃場でもセンシングマップデータを活用した可変施肥作業を実現した。

 

【乗用型ジャガイモ植付機】



 ①マルチうねでも座ってラクに植え付けできる乗り降り簡単なイージーライダー(フロア・シート)を搭載。また、旋回時にはフロアは自動でリフトするので、歩行型じゃがいも植付機と同じ操作で旋回できる②種イモシューターで投入をアシスト③ぬかるんだほ場でも高い走破性などが大きな特長。種芋の植付時期は降雨が多いことに配慮した乗用型。

【歩行型かんしょ移植機】

加工用のかんしょの需要が増えている。それに対応した新型歩行型かんしょ移植機。

【トラクタBIG―T 5S(105馬力~)/6S/7S/8S(~305馬力まで)シリーズ】

大規模畑作、畜産市場向けに排出ガス規制欧州ステージⅤ対応エンジンを搭載して作業性を高め、さらに居住性・操作性を向上させた新型トラクタ。


 閉会の挨拶は縄田常務。
新商品の概要を振り返り「私たちはこれからも食と農のソリューションカンパニーを目指して参ります。よろしくお願いします」と締め括った。
 ※本紙では次号から回を分け詳細を紹介する。

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