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水管理の徹底等重要 高温耐性品種15・9万haで

水管理の徹底等重要 高温耐性品種15・9万haで

温暖化レポート

 今年の夏は異常な暑さとなり、水稲の品質(関連記事別掲)をはじめ、様々な農産物に影響を与えた。こうした温暖化の影響は年々脅威を増している。
 農作物に対し、地球温暖化がどのような影響を与えているのか。農水省はこのほど令和4年の地球温暖化影響調査レポートをまとめた。
 同レポートは都道府県の協力を得て、地球温暖化の影響と考えられる高温障害等の影響、その適応策について報告のあった内容を取りまとめたもの。
 令和4年の気象は、年平均気温は全国的に高く、特に北日本ではかなり高かった。また、前年12月~2月は東・西日本では低温となり、日本海側を中心に大雪となった。8月は北・東日本で不順な天候となった。
 作物ごとの影響と適応策の実施状況をみてみると、水稲では、出穂期以降の高温により、白未熟粒の発生による影響が全国で2割程度、特に西日本では4割程度見られた。適応策としては、白未熟粒の発生抑制に向けた水管理の徹底や適期移植・収穫が行われたほか、高温耐性品種の導入(作付面積は全国で対前年比1165ha減の15万万9587ha)などが行われた。高温耐性品種で特に作付けが多かったのはきぬむすめ、こしいぶき、つや姫、ふさこがねなど。
 また、果樹では、ぶどうが果実肥大期以降の高温により、着色不良・着色遅延の発生による影響が全国で2割程度、西日本に限ると4割程度でみられた。りんごについては、日焼け果の発生による影響が東日本で約3割、温州みかんでは、日焼け果の発生による影響が西日本で約3割みられた。
 着色不良・着色遅延対策として、着色優良品種や着色を気にしなくて良い黄緑系品種の導入が、日焼け果対策として、遮光資材の活用、カルシウム剤の散布、樹冠表層摘果の実施などが行われている。
 一方で、野菜では、トマトの着花・着果不良が全国の約2割でみられた。いちごは花芽分化の遅れの発生が全国で1割程度みられた。着花・着果不良対策として、遮光資材の活用や細霧冷房・循環扇の導入。花芽分化安定・促進対策として、新品種導入、クラウン部冷却の実施、遮光資材の活用などが取組まれている。
 今後も温暖化の進行とともに、夏の酷暑が一層進展するとみられる。レポートを参考とし、適切な温暖化対策が取り組まれるよう期待される。