ピンポイント除草 NTTコミュニケーションズなど実証実験開始

目次
ドローンやセクションコントロールプレーヤーでピンポイントに防除
牛の飼料となる牧草の生産において、雑草は牧草の生育を阻害するだけでなく、乳牛が誤って口にすることにより搾乳量の低下につながることから、大きな課題となっている。この課題に対し、NTTコニュニケーションズはこれまでにもドローン空撮画像及びAI画像認識による雑草検知などに取り組み、高い精度で雑草を検知することに成功している。
一方で、検知した雑草への対策においては、広大な牧草地全体への農薬散布や人手によるピンポイント散布など対処方法が限られており、農薬のコストや散布する稼働の面から対策が難航している。このため、今回、検知した雑草に対し、セクションコントロールスプレーヤーや農薬散布ドローン、小型農薬散布ロボットといった最新機器を活用し、雑草が繁茂しているエリアにピンポイントで自動農薬散布を行う技術の確立に向け、6者が本実証実験に取り組む。
雑草にピンポイントで自動農薬散布が可能となることで、除草にかかる農薬コストや散布稼働の大幅な削減が期待できる。
※清和農場=北海道阿寒郡鶴居村字雪裡原野北二十一線72。
部分散布可能な作業機械を使って特定エリアを自動で農薬散布する除草実験
【実証実験の概要】ドローンの自動飛行による牧草地全体の自動撮影および撮影画像に対するAI画像認識の適用により1株単位での雑草検出と位置の特定を行い、ピンポイントでの農薬自動散布により牧草の収量・栄養価の低下を防ぐ部分的除草に取り組む。
具体的には、NTTコミュニケーションズが開発・提供するドローンの自動飛行・撮影機能、クラウド上でAIによる画像認識を行う画像認識技術を活用し、雑草の検知を行う。
検知した雑草に対し、セクションコントロールスプレーヤーや農薬散布ドローン、小型農薬散布ロボットといった最新機器を活用し、農薬のピンポイント自動散布に取り組む。これにより、これまで人手により感覚的に把握をしていた雑草繁茂状況を正確に把握するだけでなく自動で記録を行うことができ、全面的な農薬散布を行うことで対処を行っていた駆除を、必要な場所(雑草検出位置)だけに必要な量の農薬散布を行うことが可能となる。
本実証実験では2つのテーマについて取り組む。
①ドローン空撮画像およびAI画像認識技術を用いた牧草地の雑草検出および位置特定実験=ドローンを自動飛行させ、AI画像認識技術を用いて撮影から雑草株の検出までを自動で行い、雑草の位置(繁茂状況)を特定し可視化およびデータ化(雑草株毎の位置(緯度・経度))を行う。本実証実験により、これまで人が巡回し目視で確認し感覚的に把握していた雑草の量や位置について、その特定を自動で行うことを可能とし、定量的な把握・記録と作業時間の短縮が期待される。
②部分散布可能な作業機械を用いた特定エリアに対する自動農薬散布による除草実験=①により特定された雑草位置に対して、最新の自動および精密な制御により部分散布ができる散布機械であるセクションコントロールスプレーヤー、農薬散布ドローンおよび小型農薬散布ロボットを利用し、必要な部分にのみ必要な量の農薬散布を行うことで、散布作業時間の短縮や散布量の適正化による利用資材の削減が期待される。
NTTコミュニケーションズでは「本実証実験を通じて得られた知見をもとに、早期のサービス提供をめざしたい」としている。