世界の食料見通し 穀物需要は鈍化傾向 生産性向上で生産量は増加
目次
穀物需要の伸びは鈍化
世界の穀物等の需要については、需要面では南アジア・アフリカ等の途上国の総人口の増加、新興国・途上国を中心とした相対的に高い所得水準の向上等に伴って食用・飼料用需要の増加が中期的に続くものの、先進国だけでなく、新興国・途上国においても今後の経済成長の弱含みを反映して、穀物等の需要の伸びは鈍化してコロナ禍前より緩やかとなる見通し。
供給面では、今後、全ての穀物の収穫面積がわずかに減る一方、穀物等の生産量は主に生産性の上昇によって増加する見通しとした。
穀物などの価格はやや低下傾向
また、穀物等の国際価格については、畜産物価格にも下押し圧力が強まる中で世界の穀物等の需要量と供給量の増加がほぼ拮抗するものの、穀物等の価格はやや低下傾向を強める見通し。ただし、ロシアによるウクライナ侵攻の不確実性や経済の減速懸念等のリスクを背景に、エネルギー・資源価格の高騰によるインフレ圧力やサプライチェーンの混乱等もあり、2023年以降短期的に穀物等価格が大きく上振れするリスクが残っている(ロシアによるウクライナ侵攻は世界の農産物需給・価格に影響を及ぼしつつあるが事態は未だに流動的であり、統計データ等の不足もあることからこの見通しには構造的に織り込まれていない)。
品目別でみると、トウモロコシは、世界の生産量および消費量は今後も増加し、畜産物需要の増加に伴ない飼料用消費量も増加する。ただし、多くの地域で伸び率は鈍化。今後も世界全体で飼料用消費量が総消費量の6割超を占める。一方、アフリカは食用消費量が7割弱を占め、人口の増加に伴ってその割合はやや上昇する。コメは生産量の9割弱、消費量の8割超をアジアが占め、アジア中心の品目として今後も拡大。途上国等の総人口の増加に伴って消費量の増加を押し上げる見込み。消費量は特に相対的に高い人口の伸びが見込まれるアフリカ(特にサブサハラ)及び中東で大きく増加するが、経済成長率の鈍化でアフリカ・中東の需要の伸びも鈍化する見込み、などとしている。