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混合堆肥複合肥料1万㌧ 土づくり効果など確認 

混合堆肥複合肥料1万㌧ 土づくり効果など確認 
「土づくり推進フォーラム」が4日、都内で開催され、会場から85名、ウェブで140名が参加した。今回のテーマは「混合堆肥複合肥料」。土づくりには重要な堆肥施用だが、施肥管理や労力面で課題がある。一方、2012年の肥料取締法改正で、一定の品質を満たした堆肥は肥料原料として化成肥料と混合し製品化できるようになり、粒状の「混合堆肥複合肥料」が誕生し、現在約1万tが流通している。フォーラムでは、土づくりの効果や施肥設計アプリについて紹介された。

 同フォーラムは全国土壌改良資材審議会、土壌医の会全国協議会が後援し、毎年開催されている。冒頭、松本会長が挨拶に立ち「混合堆肥複合肥料は、大きな変革だ。これからの土づくりはどう変わっていくのか、議論して頂きたい」と述べた。以下、主な講演要旨。
【混合堆肥複合肥料の普及状況と今後の展開】朝日アグリア事業戦略部堆肥プロジェクト担当部長・木村享氏。
 耕種農家の多くは堆肥の重要性を理解し、利用したい意向があるものの、散布労力などを理由に、ほとんどの堆肥が十分に施用されていない。朝日アグリアは、堆肥活用に向けて肥料と混合・粒状化し、散布しやすく、運搬性に優れた付加価値の高い製品を開発している。
 混合堆肥複合肥料では、堆肥(豚ぷん、鶏ふんを主に配合)と化成肥料を混合・粒状化した「エコレット」を発売。2021年3月には、牛ふん堆肥を主体に、化成肥料、土壌改良資材を配合して粒状化した指定混合肥料を発売した(2020年12月肥料配合に関する規制の見直し)。
 2023年7月10日現在、混合堆肥複合肥料の登録数は、124件、生産業者数は21社で、メーカー数と登録数は共に少ない状況だ。
 エコレットは低コストメリットだけでなく、様々な土づくり効果が確認されている。自社試験では、春に堆肥施用して、以降は化成肥料を施用した区に比べ、エコレット区は総堆肥施用量が少なくても、土壌PHの変動が少ない、可給態窒素の蓄積量が高い、石灰・苦土が流亡しにくい、収量が安定化するなど、土づくり効果があることが確認できている。
 今後、地域から発生する堆肥を原料にし、その地域の土壌・作物に適した肥料を開発する。原料調達から作物生産に至るまで地域内で資源を循環流通できる取組みを拡大している(神奈川、長野、茨城、静岡)。
【混合堆肥複合肥料の肥効特性と施肥設計】(一財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所・畠中哲哉氏。
 混合堆肥複合肥料の窒素肥料効率は、原料堆肥に比べてかなり高く、リン酸とカリの肥効率はほとんど変わらなかった。また混合堆肥複合肥料の窒素肥効の優位性も認めれられた。
 また、混合堆肥複合肥料を利用するための施肥設計法と施肥設計アプリを開発し、レタスとピーマンで実証し、野菜の収量、成分吸収量は慣行と同等かそれ以上の成果が得られた。
【野菜栽培における有機物施用の現状と混合堆肥複合肥料の利用】神奈川県農業技術センター三浦半島地区事務所・竹本稔氏。
 1970年代、三浦半島地域では、野菜農家のほぼすべてに個人堆肥舎が設置され、堆肥施用が活発だった。しかし2000年代以降、宅地の造成や、生産者の高齢化、大型トラックの保有が減少したことなどにより、域外からの家畜ふん等の搬入量や自作堆肥の量が減少している。
 三浦農協によると病気の蔓延がひどく、堆肥投入の必要性を集中指導。だが堆肥施用は、施肥管理や労力面等で課題がある。施肥と土づくりを同時に省力的に行える資材や施肥管理法の開発が望まれている。
 神奈川県では朝日アグリアと共同で牛ふん堆肥を配合した混合堆肥複合肥料を開発し、2021年6月に販売開始した。コマツナのポット栽培で化学肥料と同等の窒素肥効を示した。チンゲンサイポット栽培では化学肥料(重焼リン、過リン酸石灰)と同等以上のリン酸肥効を示した。三浦市農協では、試験栽培などでの効果を確認しながら、利用を推奨していきたい、としている。

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