農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

金子農機（金子常雄社長）はこのほど、穀物乾燥機の選別ツール「草の実トレンダー」ＳＧＮシリーズを開発、今年６月から販売開始した。「草の実トレンダー」は、収穫した穀物に混入した異物を乾燥機の循環中に取り除く選別ツール。特に、無農薬、減農薬、自然栽培、特別栽培等での穀物調製作業の省力化に効果的に役立つと期待される乾燥機オプションだ。

　圃場で除草しきれなかった雑草の種子（ホタルイなどの草の実）が収穫した穀物に混入するとその後の選別工数が増え、また籾の場合は乾燥調製後の籾殻に雑草の種子が混ざったまま再び圃場に戻すと翌年また発芽してしまうという悪循環を繰り返す。
　これを防ぐため、少しでも省力化したいという乾燥機ユーザーの声に基づき開発されたのが、金子農機＝埼玉県羽生市小松台１―５１６―10＝がこのほど発売した「草の実トレンダー」だ。
　その仕組みは、穀物を乾燥機に張り込むと循環運転中に、昇降機側面に取り付けた「草の実トレンダー」の多孔板（スリット）から、穀物に混入した草の実などの異物が自然に機外へ排出される。
　１つのスリットは穀物１粒よりも細長い形状で、スリットを通り抜けた草の実などを排出し、落下方向に置いた受け箱に集めることができる。
　運転中は乾燥機の送風機が機内の空気を吸引しているので、「草の実トレンダー」のスリットからは草の実などのみが排出される。風で周辺にゴミやホコリが散らばるなどによる手間の掛かる後片づけは必要ない。
　また、「草の実トレンダー」は電源を必要としないだけでなく、草の実などが除去された分、無駄な乾燥が減ることで燃費が抑えられ、籾摺り、色選等の後工程や、籾殻を圃場へ戻す場合は、その後の雑草の発芽が減るなど、作業の負荷が様々な面で楽になる。特に、無農薬、減農薬、自然栽培、特別栽培など、除草に手間や時間をかける農法を取り入れた営農ユーザーにおススメ。
　ラインナップは金子乾燥機４・６・８インチ昇降機対応の５機種（ＳＧＮ―４Ｗ、ＳＧＮ―６ＷＡ、ＳＧＮ―６Ｗ、ＳＧＮ―８Ｗ、ＳＧＮ―８ＷＭ）を用意している。
　モニターとして使用したユーザーからは「草の実トレンダーを設置したところ、１回の乾燥で紙袋１袋と受け箱１杯分の草の実が取れました。無駄な乾燥が減って、選別も楽になりとても助かっています。草の実が取り除かれれば、籾殻を直接圃場に播いた時に、雑草の発芽が減り、草取り作業も減らせてとても良いと思います」との高評価を得ているという（２０２３年特許出願中）。
【ＳＧＮ―４Ｗの主要諸元】▽適用昇降機＝４インチ▽適応乾燥機（金子）＝遠赤：ＲＴＡ・ＲＴＢ、熱風：ＮＳＡ５Ｗ・ＣＳＴ５Ｗ・ＳＴＡ・ＣＴＡ▽材質＝ステンレス（スリット板）▽寸法（幅×長さ×高さ）＝１５８×１３０×４２０各㎜▽重量＝1.8㎏▽付属品＝受け箱。
　※側面ホッパー使用時は取付けできない。
　※草の実は完全に残粒なく取り切ることはできない。
　メーカー希望小売価格（税込み）は３万８００円～３万１９００円。