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クボタ 水田からのメタン削減PJJ–クレジット制度 中干し期間延長で初登録

クボタ 水田からのメタン削減PJJ–クレジット制度 中干し期間延長で初登録
中干し期間中のほ場の様子 

クボタ=北尾裕一社長、大阪市浪速区=がJ―クレジット制度事務局に申請したプログラム型プロジェクトが「水稲栽培における中干し期間の延長」方法論を用いたプロジェクトとして初めて承認された。同プロジェクトでは、参画する農業生産者が中干し期間を延長することで削減できる温室効果ガスの量をクレジット化できる(関連記事2面)。

 クボタでは「営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」やほ場水管理システム「WATARAS(ワタラス)」を活用すれば、さらに同プロジェクトに参画するための農業生産者の負担を軽減でき、将来的に多くの農業生産者に参画してもらうことで、より多くの温室効果ガス削減に貢献できる」としている。
 ※Jクレジットとは、企業などが削減・吸収したCO2等の温室効果ガスの量を国がクレジットとして認証する制度。
 ※中干しとは、水稲の栽培期間中、出穂前に一度水田の水を抜いて田面を乾かすことで、過剰な分げつ(根元付近からの枝分かれ)を防止し、成長を制御する作業。
【プロジェクトの概要】▽プロジェクト名称=水稲栽培における中干し期間の延長によるメタン削減プロジェクト▽認証日=2023年6月28日▽方法論番号・名称=AG―005水稲栽培における中干し期間の延長▽プロジェクトの種類=プログラム型▽実施地域=全国▽内容=中干し期間を従来よりも延長することで、土壌からのメタン排出量を削減する。
【背景とねらい】クボタは、J―クレジット制度において、2022年10月からハウス栽培などの施設園芸におけるヒートポンプ空調導入による温室効果ガス削減量をクレジット化できるプログラム型プロジェクトに取り組んでいる。同社がJ―クレジット制度の申請手続きや審査対応等を一括して行うことにより、農業生産者がJ―クレジット制度に参画するコストや手間の負担を軽減し、日本農業における温室効果ガス削減に向けた取り組みの活性化をめざしている。
 メタンはCO2の25倍の温室効果をもつ温室効果ガスで、日本のメタン発生量の約4割は水田から発生している。水田から発生するメタンは、水田から水を抜く「中干し」期間を7日程度延長することで、発生を約3割削減できることから、農業分野における温室効果ガス削減の取り組みとして注目されている。
 今年3月にJ―クレジット制度において「水稲栽培における中干し期間の延長」が方法論として登録されたことを受け、クボタでは同方法論を用いたプロジェクトをJ―クレジット制度事務局に申請し、承認された。なお、同社のJ―クレジット制度への登録は2件目となる。
 同プロジェクトでは参画する農業生産者が中干し期間を延長することで削減した温室効果ガスの量をクレジット化できる。
 同方法論では、直近2年間の中干し期間がわかる記録などの様々な書類を提出する必要があるが、同社の営農支援システム「KSAS」やほ場水管理システム「WATARAS」で保存した記録も利用できることから、農業生産者は、より少ない負担でプロジェクトに参画できる。また「WATARAS」はあらかじめ給水停止あるいは排水のスケジュールを設定しておくことで、自動で中干し期間を延長できることから、水田における水管理の負担軽減も期待できる。
 クボタでは「事務局への申請手続きや審査対応等を一括して行うことに加えて、J―クレジットの当社のカーボンオフセットへの活用や収益化を図り、収益を農業生産者へ還元する仕組みを構築していく」としている。

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