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原体の生産体制強化 MMアグロケミカルが北上工場に新製造棟  

MMAG=谷口勝之社長、東京都中央区=は中国におけるカントリーリスク増大への対策の1つとして、水稲用殺菌剤オリゼメート原体(プロぺナゾール)と新規殺虫剤リディア・エミリア原体(フルピリミン)の生産体制強化を図り、同社の生産を担う子会社であるMMアグロケミカル=麓康紀社長、岩手県北上市北工業団地=の岩手工場約14万㎡の敷地内に40億円を投じて約2670㎡の鉄骨2階建ての製造棟を改修。9月2日には、竣工式と祝賀会を開催した。同工場の本格稼働は来月から。2原体を併せた生産能力は、年間最大約1000t。これはオリゼメートの国内需要量を全て賄える能力。フルピリミンについては、海外出荷分の生産も担う。
 竣工式には岩手県、北上市、全農、農協関係者、製剤会社、工場建設・設備会社などから約70名が参列した。MMアグロケミカルの麓社長は施主挨拶で「地域と社会への貢献を念頭に環境保全に十分配慮しながら、安全・安定な生産で高品質な製品を世に送りだし、日本の農業、ひいては世界の食と緑を守ることに貢献していきたい」と決意表明。来賓挨拶では髙橋敏彦・北上市長が「明治さんが長年にわたり医薬を作り続けてこられたこの地で、今度は農業になくてはならない薬品を国内で生産すると聞き嬉しい。また従来設備も一部生かしての操業という。SDGsにも配慮されている」と述べた。その後、関係者によるテープカット、祝賀会に移った。
 祝賀会では、MMAGの谷口社長がグループ会社を代表し挨拶。「MMAGグループは本年1月にMeijiSeikaファルマの農薬事業が三井化学アグロに事業譲渡され発足した農薬事業を中核とする会社である。弊社農薬事業は本日竣工した工場で今後製造するプロべナゾールを成分としたオリゼメートを事業の柱として1966年から約60年の歴史を歩んできた。オリゼメートは1975年の発売から47年という非常に息の長い農薬で、水稲のいもち病の予防効果を高く評価頂き長年全国の生産者に広くご使用頂いてきた。特にこの岩手県では発売当初から県内指導機関からご指導頂き各地で使用頂いた。弊社はこれまで20年以上、農薬原体は海外で生産してきたが、この岩手工場竣工で様々な生産リスクを回避し国内で安定的な生産ができる体制となった」と述べた。
 また岩手県の高橋孝政・商工労働観光部副部長は「岩手工場で生産される農薬の原体は効率的な農業生産の実現に欠かせないものであり、日本のみならず世界からも求められている。新製造棟建設を英断された関係者の皆様に感謝している」との知事挨拶を代読した。
続いて全農・冨田健司常務理事が乾杯の発声。「MMアグロ様が国内に原体工場を建設されたことは、世界情勢の混乱が続く中で日本の農家には意義深く有難いことだ。農家の皆さんに代わり感謝申し上げたい。50年以上使い続けている、いもち病の特効薬・オリゼメートを始め農業生産に役立つ薬剤を本工場で安定供給されることを大いに期待している。共に日本農業を元気にしていこう!」と挨拶。祝宴に移った。
 短時間ではあったが、歓談をはさみ、三井化学アグロ・小澤敏社長の発声による三本締めで閉会した。
【MMアグロケミカル】▽本社=東京都中央区日本橋1―19―1▽岩手工場=岩手県北上市北工業団地3―3▽代表者=麓康紀▽従業員数=29名(本年7月、2050年約50名の予定)▽株主=MMAG100%▽事業目的=農薬の製造。
《オリゼメート(プロベナゾール)》▽世界初の植物防御機構活性化剤▽植物の病害抵抗性を誘導して高い効果を示す、ユニークな作用性をもつ殺菌剤▽水稲のいもち病、白葉枯病、もみ枯細菌病、穂枯れに優れた効果を発揮する。またきゅうり、レタス、キャベツ、ブロッコリー、はくさい、ねぎ等の細菌性病害に有効。
《リディア・エミリア(フルピリミン)》▽害虫の神経伝達系に作用し、麻痺を引き起こして殺虫効果を発揮▽新規の殺虫剤で既存の殺虫剤とは作用が異なり、既存剤に抵抗性を持った害虫にも効果を発揮▽ミツバチのほかクモ、ヤゴなど多くの有用昆虫や天敵昆虫に対して影響は殆どない。

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