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生産者の環境負荷低減を支援 土壌診断や局所施肥 9月に国の基本方針決定

生産者の環境負荷低減を支援 土壌診断や局所施肥 9月に国の基本方針決定
9日までが期限となっているみどりの食料システム法に基づく国の基本方針案(環境負荷低減事業活動の促進及びその基盤の確立に関する基本的な方針)へのパブリックコメントが終了した。今後、9月を目処に正式決定を行いその後、地方自治体の基本計画作成がスタート。基本計画策定後生産者の認定を始める。基本方針では認定に必要な環境負荷低減事業活動の内容について示されている。具体的な活動としては、土壌診断や局所施肥などが挙げられている。

 みどり戦略の実現に向け、今年7月に施行された「みどりの食料システム法」では国が策定する基本方針に合わせ都道府県が市町村と共同で基本計画を策定。それに沿って環境負荷低減を図る取組に関する計画を策定し取り組む生産者等に対して、必要な設備等への資金繰り支援や行政手続きのワンストップ化など様々な支援を行うこととしている。
 計画認定に必要な環境負荷低減を図る取組については、先ごろまでパブリックコメントにかけられていた基本方針案で具体的に示されている。大きく分けて①堆肥その他の有機質資材の施用により土壌の性質を改善させ、かつ、化学的に合成された肥料及び農薬の施用及び使用を減少させる技術を用いて行われる生産方式による事業②温室効果ガスの排出の量の削減に資する事業活動③別途農林水産大臣が定める事業活動―の3つ。
 ①は土づくりと化学肥料及び化学農薬の使用量の削減に資する生産技術を活用する取組を一体的に行う事業活動が該当し、有機農業についてもこれに該当する。具体的には、定期的に土壌診断を行ったうえで、家畜排せつ物等の有効利用により得られる堆肥等の施用を通じて土壌の性質の改善を行うとともに、局所施肥技術の導入や有機質肥料の施用等による化学肥料の施用の減少、病害虫の発生の予防を含む様々な防除方法を組み合わせた総合防除の実践等を通じた化学農薬の使用の減少など。
 ②は、具体的には、農林業機械の省エネルギー化・電動化、施設園芸におけるヒートポンプや木質バイオマス加温機等の導入、水田作における秋耕の実施や中干し期間の延長、強制発酵等の温室効果ガスの発生量が少ない家畜排せつ物の管理方法への転換、アミノ酸バランス改善飼料への切替え等の取組のほか、農林業の事業活動における再生可能エネルギーの活用等が含まれる。
 ③は水耕栽培における化学肥料・化学農薬の使用削減、環境中への窒素・リン等の流出を抑制する飼料の投与等、バイオ炭の農地への施用、プラスチック資材の排出または流出の抑制―など。
 これらの取組について、農業者が計画を策定し、基本計画を策定している都道府県・市町村に申請することで様々な支援を受けることができる。
 その一つがみどり投資促進税制だ。計画の認定を受け、一定の設備を取得した場合、機械・装置、器具・備品については、取得価額の32%の法人税・所得税の特別償却を適用できるほか、建物及びその付属設備並びに構築物(対象機械と一体的に整備したものに限る)についても、取得価額の16%の特別償却を適用できる。
 対象となる機械・装置、器具・備品は取得価額の合計が100万円以上かつ、基盤確立事業の認定を受け農水省のHPに掲載されたもの。詳細については今後示される予定だが具体的な機種としては、可変施肥田植機や農薬ピンポイント散布ドローン、水田用除草機、色彩選別機などが想定されている。