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滋賀県指導農業士会・廣嶋会長に聞く 地産地消に取組み 6次産業化で加工品販売

 滋賀県指導農業士制度は、「優れた農業経営を行い、農業青年の育成に指導的役割を果たしている農業者の社会的評価を高め、農業青年の育成活動を強化する」ことを目的として、昭和51年度に発足。翌52年11月に同県指導農業士会が設立された。同県指導農業士会の会長で、米・大豆・野菜・果物等の生産・販売と、農産物を使った加工品の開発・製造・販売を行っている愛荘町のあいしょうアグリ代表の廣嶋久平氏(64歳)に話を聞いた。

 ――指導農業士会に ついて。
「令和3年4月1日現在の認定数は117名。本来なら、農業士会では各種研修や、農業振興に必要な問題についての研究協議、行政施策や関係農業団体への提言を行っている。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で、総会も2年連続で書面開催となった。様々な行事や活動を予定していたが、開催できたのは昨年のリーダー研修会のみ」
 ――滋賀県農業の現 状と課題。
「滋賀県は大方の農家の品目が水稲、麦、大豆。以前は兼業農家が大半だったが、最近は専業農家が増え、法人の経営面積は拡大している。集落営農も出てきており、個人経営は少なくなった。全国的なことだが、課題はやはり高齢化が進んで後継者が減ってきていること。指導農業士会の皆さんとは、どうしたら後継者が来てくれるのか話し合っている。そのなかでは、ICTなどのスマート農業を導入したらどうかという意見も出ている。また、滋賀県稲作経営者会議という組織があり、会員は100名近くいて、20代、30代の若い方も多い。こちらでは、新しい技術の研修など、活発に活動している」
 ――課題解決に必要 なこと。
「やはり、所得の向上なくして後継者を育てるのは難しい。肥料や燃料の価格が上がり、経費が増えているなかで、農産物の価格は下がる一方。ただ、各地で自然災害が発生するなか、農業・農村には多面的機能があると見直されてきている。また、ロシアのウクライナ侵攻で小麦粉の価格が上がっており、食料自給率の向上も含め、国産が見直されていくかもしれない。国の施策としても、農家所得の向上を図っていく必要があると思う」
 ――廣嶋会長ご自身 の経営。
「親も兼業農家だったが、私は40歳過ぎに農家一本になった。3年前に法人化。年によっても違うが、米は25‌haほど。麦14‌haの後に大豆16‌ha。また、麦の後にブロッコリー、キャベツといった野菜1ha。大豆は、滋賀県湖東地区在来種の〝みずくぐり〟を主に栽培。ハウスではイチゴを栽培している」
 ――今後の展望。
「米、麦、大豆をしっかり作りたい。これからは有機米などにも取組みたいと思っている」
 ――地産地消や6次 産業化につ いて。
「愛荘町には認定農業者の集まりがあり、米をそこで取りまとめて学校給食に提供している。また、6次産業化が叫ばれる前から、米粉のクッキーやうどんなどの加工品の販売を行っている。これからも地元の皆さんと協力して、地産地消の推進と、地元特産品の開発に取組んでいきたい」
 ――スマート農業へ の関心・取組は。
「個人的にはあまり関心はないが、若い人はドローンの免許を取り、麦の防除を行っている。また、昨年は直進アシスト機能付き田植機を導入した」
 ――発信したいこと。
「やはり、消費者の皆さんには国産の農産物を見直してほしい。値段は高いかもしれないが、高いなりの良さがある。食料自給率の向上も考えてもらわないと。特に、これから有事になった時、食料が海外から全く入ってこなくなったらどうするのか。農業を潰さないために、若い人が農業に入ってくるように、国にはいろんな支援をお願いしたい。また、農業が子供たちにとって人気の職業になるように、若い人達には頑張ってもらいたい」

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