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精米の最新技術を見せる MILSTAの狙い 宗貞毅広報部長に聞く ~サタケ~

サタケ=松本和久社長、広島県東広島市=は新技術・新発想を導入したモデルプラント『MILSTA』を今年5月から公開している。コロナ禍の中ではあったが、すでに全国から多くの企業・団体が訪れ商談が進んでいるということだ。同社執行役員経営本部の宗貞毅広報部長は「MILSTAは、喫緊の諸課題に囲まれ厳しい環境下にある今の精米工場様が求める高品質な精米の省力化・自動化を実現したモデルプラントです」と。本紙では現地を訪ね、これを取材した。
 MILSTAに案内してもらうと、真っ暗な中に「夜景の工場プラント」を思わせるスタイリッシュな演出でサタケの精米機器群が浮かび上がった。紹介映像が始まった。フラッシュライトの点滅。続いてモニター上にサタケの歴史と今が映し出され、「未来のお米を考える次世代型精米プラント『MILSTA』。食を通じて人々の生活をより良くしたい。その実現に向けた最先端技術がここに結集しました!」とアナウンス。音楽とともにまるでオーケストラの楽団員が紹介されるかのように1つ1つのユニットがスポットライトを浴びて浮かび上がり、モニター上では、そのシステムが紹介された。
《全自動張り込みユニット》30㎏の米袋を1時間に500袋自動開封。張込み作業の無人化を実現した。自動認識のデパレタイザーがパレット上の米袋を移動コンベヤに自動積換えを行う。米袋がどんな積み方をされていても3次元認識センサが中心部を自動検知し、確実に積み換える。
《ロング・ライフ・ライス・プロセス》玄米に250℃前後の過熱スチームを当て、混入しているコクゾウムシなどの害虫やその卵を死滅させるのと同時に米の表面も殺菌処理。更に米の表面の脂肪を脂肪酸に変化させるリパーゼ(酵素)を死活化、これにより古米臭まで防ぎ、長期保存を可能にする。ひいては海外輸出にも大きく貢献する。
《精米ユニット(ミルコンボ4t/h×2基)》サタケの工場から階層ごとに組み立てて出荷するため現地での設置や稼働がスムーズだ。お米の白さを制御する白度自動制御装置は一定の白さになるよう精米機の自動運転を行い、これによりお米の品質の安定化を実現した。
《光選別機システム(スラッシュ)》従来比1.7倍の速度で開閉するサタケ独自のピエゾバルブを採用。不良品を除去する際に巻き添えとなっていた良品の10%削減を実現した。モニタリングシステムで、原料、良品、不良品の混入率の状態を解析し、選別データの蓄積管理を可能としている。
《計量包装ユニット》出荷前の異物混入の不安を解消。省力化フレキシブルコンテナ計量機を搭載し、従来2人以上で行っていた充填や計量作業をフォークマンを兼務しながら1人で行えるようになった。
《サタケiネットワークシステム》MILSTAでは、生産管理や工程管理を連携させた『サタケiネットワークシステム』を搭載。徹底的な自動化、省力化を実現し、人材確保が難しい時代に労働時間の短縮を可能にしながら、顧客に求められる高いクオリティに対応、品質の安定化や省力化につながる。
     ◇
 1階に降りてMILSTAの概要を宗貞部長が説明してくれた。正面には5×3mの後ろが透けて見えるシースルー型のLEDビジョン。「これは、様々なプレゼンテーションに使える。例えばこんな形で‥」と。画面をチェンジした。そこには「?ようこそ○○○○○様!?」の文字。来場者を感動的にもてなそうとする同社の温かな想いと遊び心がジンと伝わった。同時に「ブラインドの向こうに透けて見える機器を見てみたい」という思いにもさせられた。これは昔から〝御簾の奥には何か素晴らしいものがある〟という心理を利用したものだという。見事な演出だった。
 「クライアントはもちろんのこと、ここを訪れた一般消費者にも感動を与えられる最先端技術を見せるモデルプラントを作ろうと思った」と宗貞部長。また「その中では遊び心も大切にしたい。訪れた人に心を開いて聞く耳を持ってもらえる」とも。こうした一連の演出は同社の営業から、「どうしたら、お客様の心に響くモデルプラントができるだろうか」という相談を受け、広報が知恵を絞ったという。
     ◇
 今、精米工場では人材不足や労働時間の短縮による運営難、中食・外食の要求品質の高度化など、取り巻く環境が非常に厳しさを増しているという。サタケのMILSTAは、これらの課題に対応すべく①省力化と自動化②品質担保とリスク分散③顧客の利益貢献―の3項目をコンセプトに開発。『ジャストインタイム生産』『24時間365日フル稼働』『IoTの活用』『精米品質の向上と安定』『お米にやさしい工場』などの機能をいかんなく盛り込んでいる。

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