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ただ伐る林業脱却へ ICTでリアルタイム管理 日立建機日本

ただ伐る林業脱却へ ICTでリアルタイム管理 日立建機日本
日立建機日本=松村孝一代表取締役、埼玉県草加市弁天5―33―25=は、わかやま林業機械展でも遠隔操作など各種現場改善ソリューションを出展する。同社は早期から林業のデジタル化に力を入れてきたが、その先進的な導入事例として注目されるのが、山梨県認定林業事業体の天女山(小宮山信吾代表取締役)だ。同社は昨年、国内の事業体として初めてワラタ社製通信機能付きハーベスタを導入。同機を活用して現場革新を進める天女山の取り組みについて伺った。
 八ヶ岳南麓地域を拠点に森林経営と木材生産を展開する天女山が、ICT機器の導入へと舵を切ったのは、令和2年前後に直面した経営危機から。ウッドショック発生以前の丸太価格暴落の噂が広がる中、造林業務へと注力。その結果、機械稼働率が著しく低下し、企業の存亡に関わる危機に陥ったという。この反省から小宮山社長は「市況の変動に左右されない持続可能な経営体制には、山の在庫管理を正確に行うことが不可欠」と、ドローンやLiDARを導入。さらに、需給マッチングとトレーサビリティの確保を目指し、通信機能付きハーベスタの導入に踏み切った。現在は林野庁の「デジタル林業戦略拠点構築事業」のコンソーシアムに参画。主に杭材などの細径木を出荷しながら、製材・合板工場と連携して新たな商流の検証を進めている。
 通信機能付きハーベスタの導入により、伐採・造材された丸太の材積データや造材木位置情報がリアルタイムでスマートフォンに自動送信。さらに、1日1回会社宛てに前日の詳細な施業データが届くので、生産状況や山林の在庫状況を素早く把握・管理できるようになった。こうした機能で小宮山社長が描くのは、川中・川下産業との緊密な連携によるサプライチェーンの抜本的刷新だ。「常時連絡を取り、今最も必要とされている木材を直接納品することで、例えばカラマツ1㎥あたり約3000円のコスト削減が可能になる。これは材価が3000円上昇したのと同等の価値になる」と力説する。合板工場などが求める正確なデータを基に施業することで、〝先の見えない中で木を伐採する〟受動的な林業から脱却し、適正価格を維持する仕組みの確立を目指している。
 巨額の設備投資に対しては社内から危惧する声もあったが、丁寧に説明を重ね、スタッフとの対話を通じて理解を得たとのこと。こうした先進的な姿勢を知った林業に挑戦したい都市部からの移住希望者が自ら訪れるようになる好循環も生み出しているという。
 取得データを分析・活用できる人材の育成も重要課題だが、同社では小宮山社長自身がGISやドローン解析ソフトを独学で習得したほか、現場職として入社したスタッフの中にIT分野の経験者がいたことから、その知見を活かして独自の業務システムを構築し、作業効率化を推し進めている。「データを使いこなせる人材の確保と育成環境の整備こそが、これからの林業経営において重要な鍵となる」と小宮山社長は語り、「今後は機械化によって生産性を高め、由来が明確で安心できる木材を安定供給することが求められる。目指すのは、一般企業と同様に営業利益ベースで毎年10%を確実に確保できる強い経営基盤の構築」と意気込みを語った。

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