農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 米の需要拡大 伸びしろを探せ 【3月19日号社説】

米の需要拡大 伸びしろを探せ 【3月19日号社説】

高温の影響で地域によっては厳しい状況に置かれた令和5年産米。今年はどうなるか。作付面積は増加する可能性がある。
 農水省が3月8日に明らかにした水田の作付意向(令和6年産第1回中間的取組状況(1月末時点))によると、主食用米については、前年より増加傾向にあるとしたのは5県で前年同時期0県から5県の増加となった。このほか、前年並みが30県(対前年同期比5県減)、減少傾向が11県(同1県減)。減少傾向とした県が減り増加傾向とした県が増えた。増加傾向を経年でみると、調査が始まった平成30年は6県だったが、翌令和元年には1県に、それ以降0県で推移しており、増加傾向の県が出るのは5年ぶりのこととなる。もちろんこれが全体の面積にどう影響するかは見えないが、新たな動きの兆候かもしれない。
 これについて、3月8日の定例会見で、坂本農相は、「国が策定する米の需給見通し(基本指針)においては、令和6年産の主食用米について、需給均衡を図るためには『令和5年産の生産量の見通しと同水準の生産量(669万t)が必要』との見通しを示しているところ」だとしたうえで、「現段階の作付意向は、農水省が実施している全国会議や産地ごとの意見交換会を通じて、各産地が需給見通しや在庫状況等を踏まえて、『需要に応じた生産・販売』を考えた結果」だとの見方を示した。もちろんこれは、まだ1月末と早い段階であり、どのように変化するか注視が必要なところではある。
 いずれにせよ重要なのは、生産拡大と需要拡大がセットで進むことだ。生産拡大のみ進めば再び値崩れを起こし、農業経営に大きな影響を与えかねない。
      ◇
 人口減少下にあるわが国でいかに需要を伸ばしていくのか。需要として大きく期待されている分野の一つが輸出だ。米(援助米を除く)は昨年1年間の合計で、対前年比27%増の94億円と大幅に伸びた。数量でも同29%増の3万7186tと着実に伸びている。
 これに対し昨年改定された輸出戦略では、コメ加工品等も含めた数値だが、2025年125億円を目指すとしている。もっと意欲的な目標とその実現に向けたより手厚い支援が必要ではないだろうか。
 全く異なる分野ではあるが、先日取材した自給飼料コンクール(関連記事12面)で農林水産大臣賞を受賞した広島県酪農業協同組合の温泉川組合長は、「人口がどんどん減ってくる今の日本の状態でもまだ必死になって探せばいくらでも伸びるところはあると思う。その努力をする必要があるんじゃないかな」と語っていた。米も同様にどこかに需要のタネが埋まっているはずだ。