農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

スガノ農機＝渡邊信夫社長、茨城県稲敷郡美浦村大字間野字天神台３００＝は、「国際農業機械展in帯広」で多彩な製品を展示。その目玉が生産者の要望で作ったセミオーダー品だ。北海道中富良野町の天心農場のプラウもその一つ。２００馬力超級の大型ダブルタイヤに対応する丘引きリバーシブルプラウで、園主の北川和也さん（52歳）を訪ねて話を伺った。

　北川さんが継いだ時は15‌haだった面積も今では55‌haまで拡大。今は20‌haの面積で玉ねぎのほか、麦20‌ha、コメ1.8‌ha、かぼちゃ５ha、ニンジン２haに、ホワイトアスパラ、アスパラ、長いも、ゴボウ、山わさびなど豊富な品目を栽培している。10年程前に「土を考える会」の活動に参加。その交流を通じて知り合った先輩からのアイデアやアドバイスを自らのほ場にフィードバックして今の作業体系を作り上げた。「基本的に畑に入るトラクタ回数を減らしたいと考えている。なぜ？時間とお金の節約。特に時間の方かな」と北川さん。春にサブソイラなどをかけると水が澱む状態になることもあることから、〝秋に確実に土を起こせる道具が欲しい〟と要望を伝え、作ってもらったのが北川スペシャル機だ。
　同機は２００馬力超級の大型ダブルタイヤに対応する丘曳きモデル。ポイントは15インチのボトム７連に１連拡張したプラスワン仕様で、ダブルタイヤのトラクタでも残耕のないワイドなオフセット量、移動タイヤも兼ねるゲージホイル、１連目を除く２連目から８連目にコールタの装備など、「いろいろと我儘を聞いてもらった」と笑う。
　北川さんに自慢の機械を見せてもらうとトラクタだけで約15台で、その内１００馬力超えが６台。道具と呼んでいた作業機は「あまり数は分かってない」と苦笑する。肥料を撒き終わらないうちに玉ねぎの植え付けが始まったりすることから、〝道具にトラクタが付いている状態〟とのこと。その道具もほぼ一揃えした感があるそうだ。
　それでも15インチのプラウはずっと欲しかったといい、それだけにこのプラウは待望の機械だった。「秋に条件が悪くても起こして終わらせたいという時、プラウ耕が土を一番いじめない。そのため、トラクタの接地圧が半分になるダブルタイヤで使いたいとお願いした。ただ、ダブルタイヤだと片側70㎝ずつ出て車幅が1.3ｍになり、既存のプラウだと起こし残しができてしまう。それを残さないよう多めのオフセットにして…、良く作ってくれました」。
　スガノ農機では近年浅耕リバーシブルプラウを発売したが、この機械は浅耕もできれば25㎝の深さも起こせる。北川さんは18㎝で起こし、作業速度６㎞でかけているとのこと。「麦ワラもしっかり鋤き込め、これまで使っていた機械より作業効率も上がった」と、してやったりの様子だった。
　スガノ製品は30年前に買ったプラウを今も愛用しており、他にもサブソイラや、アルペゴのストローチョッパ―など「この倉庫に入れたらほぼスガノさんの製品」とのこと。プラウの性能は分かっていたといい、今回のセミオーダー機も、これまで要望に応えてきたノウハウがあったから実現した、と高く評価。
　「完成までに何度も担当者が打合せに来てくれた。菅野祥孝さんがずっと言っていた〝農家のところに行かないと良い機械は作れない〟という想いを今の渡邊社長がちゃんと繋いでくれたからだと思う。それは非常に有難いこと。それをまた次の社員に繋いでいってもらいたい」と述べた。
　　　　　♢
　スガノ農機では北川さんモデルを基に浅耕と深耕の間の作業を想定した製品の開発を検討中とのこと。今展示会で出品する製品は次の通り。
　▽丘曳きリバーシブルプラウ（勝部農場様モデル）ＣＲＱＡ２２５ＪＡＫ／22インチ×５連▽浅耕リバーシブルプラウＲ１３８ＡＶＡＰ／13インチ×８連▽折りたたみ式スタブルカルチＣ４４１４ＥＴＰ／14本爪・スパイクローラー▽リボーンローラーＲＢＮ３００Ｑ／作業幅３ｍ▽ロードメーカーＲＭ２２０Ｆ／作業幅2.2ｍ▽大型折りたたみスプリングハローＴ５０４８ＢＣＰ／作業幅5.1ｍ▽けん引式折りたたみケンブリッヂローラーＡ63ＡＢＲ／作業幅6.3ｍ。
　※小間番号はＢ35