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労力軽減と環境対応 紙の土壌消毒用被覆シート アグロカネショウが製品発表

労力軽減と環境対応 紙の土壌消毒用被覆シート アグロカネショウが製品発表

アグロカネショウは、同社の主力製品であるバスアミド微粒剤、D―Dなど土壌消毒剤用の被覆シート「KSB148」を開発し、4月から販売開始する。シートは紙の素材で、土壌消毒後にすき込むことができ、被覆除去や廃棄作業を省力化できる。またガスバリア性があり、有効成分を土壌中に留めるという画期的なもの。環境に配慮した農業が求められる中、環境問題と労力軽減につながることが期待されている。同社は3月23日、ホテルニューオータニで記者発表会を開き、製品の特長や今後の展開について説明した。



冒頭挨拶した櫛引博敬社長は「8年前に技術担当から紙の被覆資材を作りたいと言われた時は想像できなかったが、今回それが形になった。「KSB148」の名称は、現場の人たちが考えて、K=紙でできた、S=すき込みができる、B=バリア性がある、に由来する。生産者様に更に一歩近づき、労力軽減や環境問題の解決につながる資材になるよう期待している」などと述べた。
 後藤純常務は、「2011年の東日本大震災で、主力であった福島工場を一瞬にして失い、それから社長、社員が一丸となって会社の立て直しに取り組んできた。当社の主力事業の土壌消毒剤は、農家様が安定した収量を確保するために貢献してきたと自負している。一方で、世界的な環境意識の高まりや国のみどりの食料システム戦略などの新たな動きもある。そのなかで、どうやって安全に土壌消毒剤を使ってもらうかを考え、社内に農薬安全推進室を設立、また安全キャンペーンを実施するなど、土壌消毒剤使用に関わる安全対策を強化してきた。その中の一つとして、薬剤を土壌中に留めて効率的な土壌消毒が行えるシートの開発にたどり着いた」と振り返った。
 続いて美野光哉営業技術普及本部技術普及部長が「KSB148」の開発経緯や製品の特長を紹介した。「KSB148」の特長は①環境に配慮した紙の被覆資材②すき込んで被覆除去・廃棄作業を省力化③バスアミド微粒剤などの土壌消毒剤有効成分を土壌中に留めるガスバリア性能。規格は、巾148㎝、巻長さ100m、重量は11㎏で少し重いが持ち運びができる。
 バスアミドやD―D剤などの土壌消毒剤について、今後は更に安全使用が求められることや、被覆の除去作業に多大な労力とプラスチックの廃棄コストがかかっていることが背景にあると説明。KSB148は、マルチャーで被覆しながら(手作業も可)2~3週間の消毒を行った後、ロータリーで破きながら土壌中に混和してすき込む。
 被覆効果(ガスバリア性)もバスアミド微粒剤やD―D剤、クロルピクリン剤で残存率を確認。一方、クロルピクリン剤については紙が破損した場合にガスが漏れ出す危険もあり、安全性を完全には保証できないとしている。
 また紙製のため、保管や取扱いの際は湿気の多い条件や水濡れに注意する。マルチャーで被覆する際は、土壌中の大きな石に引っかかるなどで破損する可能性もあるため慎重に行う。また伸縮性がないため展張する際は強く引っ張ることは避けるなどの注意が必要だ。また、農機メーカーと共に展張方法を協議しながら、特約店とも協力し、丁寧に生産者へ普及していくとしている。
 耐久性については湿気には弱いものの、シートが雨水を通すことはなく、2~3週間の消毒期間をカバーできる。
 KSB148の価格は、ガスバリア性のあるプラスチック製マルチフィルムと同等で、通常の農ポリの約3倍だが、被覆資材の除去作業が要らないため作業者の労力削減や廃棄コストがかからない点などを訴求していく。
 同社が農薬以外の製品を発表するのは初めて。みどり戦略において農薬は、リスク換算50%低減が目標とされている。後藤常務は、同社が目指すこれからの土壌消毒の方向性について「日本の狭い国土の中では、土壌消毒剤は農業生産上、なくてはならない資材だ。一方、みどり戦略が推進されるなかで、KSB148も一つの対策になるのではないかと思う。またSDS社の保有する生物農薬・資材を4月から普及販売する。その中には土壌微生物資材も含まれており、残渣分解、土壌消毒、微生物資材を一貫して提案できる。また今年1月、バイオロジカルソリューション(BS)室を研究開発本部に新設し、バイオスティミュラントや生物農薬、微生物などの一貫した応用研究ができる体制も整えており、これから更に伸ばしていきたい」と話した。

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