農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 井関農機2023年上期新商品 ② 全自動野菜移植機 歩行型かんしょ移植機

井関農機2023年上期新商品 ② 全自動野菜移植機 歩行型かんしょ移植機

井関農機2023年上期新商品 ② 全自動野菜移植機 歩行型かんしょ移植機
井関農機(冨安司郎社長)は昨年12月7日、同社つくばみらい事業所で2023年上期新商品発表会を開催し『脱炭素社会と循環型社会の実現~変革~』をテーマに開発された16品目21型式を発表した。本紙では、回を分けこれを紹介している。今回は、乗用全自動野菜移植機と歩行型の青果用かんしょ移植機。価格は全て消費税込み希望小売価格。

【乗用全自動野菜移植機】PVDR20―A、同RSA(後輪狭幅タイヤ仕様)。
《開発のねらい》PVDR20は大規模化するキャベツ等に適した乗用型の高能率野菜移植機。より使いやすい操作を可能にする速度固定機構や、メンテナンス性を向上させた苗取爪左右位相調節機構を今回追加したことで、より高能率で使いやすい野菜移植機となっている。
《主な特長》①高効率植付け作業=⑴乗用2条化による作業効率向上:歩行型全自動野菜移植機に比べ約2倍(2台分相当)の能率。圃場が広く、能率を重視する場合や人件費を削減したい場合に有効だ⑵12枚の予備苗台:苗トレイは苗のせ台に4枚。予備苗台に12枚搭載できる。本機への苗つぎ回数が少なく済み、効率よく作業が行える。
 ②らくらく操作=⑴速度固定機構:作業時にペダルを踏みこんで、設定した速度にレバー1つで固定できる。最適速度を維持できるため、作業時にペダルを踏み続ける必要がなく、作業が楽になり疲れを低減できる⑵楽々ペダル変速:ペダルを踏めば動き、離せば止まるため、安心快適作業ができる。また、ペダルの踏み加減で変速できるため、両手でハンドルを握り前方を向いたままの安心作業ができる。⑶速度設定機能:変速ペダルをいっぱいに踏み込んだときの最高速度の上限を3段階に設定できるため、状況に合った速度が選択できる⑷植付部昇降、植付クラッチのワンレバー化:植付昇降レバーで植付部の昇降・植付「入」「切」操作がワンレバーで行える⑸後輪タイヤ幅90㎜仕様(RS):マルチうねや、うね溝幅が狭い条件に適している。幅90㎜の狭幅タイヤでうねを崩しにくい特徴がある。
 ③メンテナンス性向上=⑴苗取爪左右の位相調節機構:苗取爪の位相の調節が簡単にでき、チェーンを交換する頻度が少なくなるので、修理時間の短縮やランニングコストが低減できる⑵アルミ製覆土ローラ:覆土ローラには土離れが良く、耐久性に優れた「アルミ製ローラ」を採用。
 発売時期は2022年12月。価格はPVDR20―A=305万9100円。同20―RSA=308万1100円。
【歩行型かんしょ移植機】「ナウエルナナ」PVH103―70PBXLD。
《開発のねらい》青果用かんしょの移植作業は手作業の地域も多く、軽労化と労働時間低減が求められていたが、苗の影響による植付精度のばらつきや調整の難しさがあるという課題があった。そのような中、2018年から農林水産研究推進事業「青果用かんしょの省力機械移植栽培体系の確立」のコンソーシアムがスタートし、井関農機はコンソーシアムに参画して共同開発を重ねてきた。今回、植付精度の向上、作業の効率化を織込んだかんしょ移植機を市場投入する。
《主な特長》①植付精度の向上=⑴苗連れ出し防止具の追加:植付爪が苗を植え付けた後、爪が戻る際に苗の持ち帰りを防ぐ苗連れ出し防止具を新たに装備した⑵うねガイドローラーのうね追従性向上:うねガイドローラーの角度を細かく調整できるようになった。これにより様々なうねに対応することが可能であり、移植機のうね追従性が向上する。
 ②苗適応性向上=苗挟持ブラシを現行機のやわらかいもの(黒色)から硬いもの(白色)に変更した。これにより、曲がり苗や太い苗がセットしやすくなる。また、長時間作業しても指が痛くならないよう、ブラシ形状を変更した。
 ③かん水装置標準装備=防錆性に優れた樹脂素材のシリンダに加え、新たに分解式のバルブを採用することでメンテナンス性を向上させた。ピストンの固定位置をスライドさせることで簡単にかん水量を無段階調節できる。また、20ℓの大容量タンクを搭載しているため、余裕のある作業が可能となっている。
 ④高能率=⑴前後輪同時上下機能:前モデルはほ場ごとに前輪高さを調節していたが、今回は前後輪が同時に上下するので、調節の手間が省ける。
 また、旋回時(機体最大リフト時)機体がリフトする際に一定位置から機体後方側が前方に比べて高くなるので、ハンドルを押し下げた際に前輪が高い位置に来て旋回しやすくなっている。これにより旋回時にうねを崩しにくくなる⑵作業効率アップ:苗適応性が向上し、曲がり苗にも対応可能。植付精度の向上により補植も削減され、作業効率がアップした。
 発売時期は2023年5月。希望小売価格はPVH103―70PBXLD=124万4100円。