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労働災害の半減へ 作業安全推進ウェビナー

林業機械化協会(島田泰助会長)は9月29日、オンラインで「林業・木材産業作業安全推進ウェビナー」を開催した。同ウェビナーは令和4年度の林野庁補助事業「林業・木材産業全国作業安全運動促進事業」の一環として実施されたもの。当日は、全国から約300人が参加。林業・木材産業における作業中の事故防止に向け、情報を共有した。
 ウェビナーでははじめに島田会長が挨拶にたち「労働安全の確保は何より重要な課題。その実現に向けては一人ひとりの安全に取組む意識と経験の積み重ねが重要と言われている。経験を共有しみんなで話し合うことで意識を高めより良い安全対策に繋げていくことが必要だ。本ウェビナーを積極的に活用してほしい」と述べた。
 また、林野庁経営課林業労働・経営対策室の池田秀明室長も「昨年閣議決定した森林林業基本計画では、林業・木材産業の持続性を高めつつ成長産業とすることを掲げた。そのためには、現場作業を担っている従事者の育成が重要であり、就業条件の一層の改善に加え、労働災害の発生率の改善に取組むことが必要。このため、基本計画では、今後10年を目途に災害の発生率を半減させるという目標を掲げた。こうしたなか、昨年11月には、留意事項として長官通知を取りまとめ、留意事項を踏まえた対策の実施をお願いした。また今年には、林業労働力の確保の促進に関する法律に基づく基本方針の変更を行う予定であり、こちらにも安全対策の強化を盛り込む予定としている。災害撲滅に向けた一層の取組をお願いしたい」と挨拶した。
 その後、同・永野徹課長補佐が林業・木材産業の労働災害の現状について紹介。林業労働災害の現状については、平成13年には死傷災害約3000件、死亡災害50件超あったものが約20年で4割程度までに減少(令和3年は死傷災害1235件、死亡災害30件)しているもののここ5年はほぼ横ばい。なお今年8月末時点では、昨年同時期並みとなっている。死傷年千人率(労働者1000人あたりの発生件数)は令和3年で24・7で全産業の2・7と比較すると10倍近くの差があり、全産業の中でも最も高い数字。林業の労働災害の特徴をみてみると、約7割が伐木作業時に発生。かかり木作業時などが多い。被災年齢と経験年数別で分析すると、経験の少ない従事者に加え、ベテラン従事者の被災も多い。ベテランは能力が高いものの慣れなどで基本的作業方法が行われないなどが原因となっているとみられる。また、経営規模別でみると、9人以下の経営体での災害が半数を占めており、小規模の経営体では、対策を打てないなどの課題が要因とみている、などと説明した。
 また、NPO法人ジット・ネットワークサービスの石垣正喜理事長が「伐木造材作業の基礎」をテーマに講演(動画放映)。実際の現場での作業の様子を披露しながら、ポイントを紹介した。ポイントとして、チェンソーワークの服装で重要な点を紹介。また、現場の作業においては、「チェンソーワークにおいては、チェンソーを身体に密着させること、左足を上手に使うことが重要。本体を左足につけて使うことで事故を防ぐことができる」などとした。
 このほか、藤本労働安全コンサルタント事務所の藤本吟蔵・CSP労働安全コンサルタントが「ヒューマンエラーと指差呼称」、職業能力開発総合大学校の飯田隆一助教が「製材業における労働災害の事例と安全対策」をテーマに講演。最後に質疑応答が行われ盛況だった。

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