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ウインチアシスト機 労災減らし効率性を向上 住友林業

住友林業=東京都千代田区大手町Ⅰ―3―2=は、6月30日に埼玉県秩父市にある日本キャタピラー秩父D―tech Centerにおいて、林野庁令和4年度戦略的技術開発・実証事業「日本版ウインチアシストシステムの実証等」現地見学体験会を、林業界関係者など約90人を集めて開催した。
 会の冒頭、挨拶に立った同社資源環境事業本部の寺澤健治山林部長は、日本ではチェンソーでの伐倒が多く、労働災害の比率が高い現状などに触れ、ウインチアシスト機械「テザー」によって、労働災害の比率を下げつつ、林業現場の効率性を上げていきたいなどと説明した。
 次に日本林業経営者協会の吉川重幹会長の挨拶に続き、同社資源環境事業本部山林部の大沼直樹マネージャーが、ウインチアシスト機械「テザー」の取り組み概要に関して解説。それによると、欧州やニュージーランドなどの林業では、労災防止と機械化を両立するため、斜面上の機械をワイヤーロープでけん引する「ウインチアシスト技術」を用いた機械が普及しており、同社ではこれに着目。
 ニュージーランドでの林業参入時に調査を実施したところ、30度を超える傾斜地でも機械伐倒を広く実施し、高い安全性の、傾斜地の機械自らワイヤーを繰り出す、ウインチアシスト機械「テザー」が広く使用されており、日本版ウインチアシストシステム「テザー」の開発を進めることになり、日本キャタピラーの協力により昨年1月に完成した。
 同社の「テザー」は、①けん引をする機械②日本の林業に適したサイズ③バケットで地面に固定④運びやすい―がコンセプト。けん引方法には2パターンがあり、今回開発したのは、「機械が斜面上でアンカーとなり、斜面で作業する機械をサポート」のパターンを採用。
 具体的には、日本の林業地に運び設置可能な重機サイズを選択(バケットサイズ0・45tベース)、外向きバケット(バケットシリンダーを内側)とし、バケットのツメで地面に固定するとともに、先端に案内滑車を設置。折りたたみタワーにより、可搬性(回送しやすさ)と乱巻き防止のフリート角度を両立し、上部からの押さえつけ力も発揮する。
 詳細な説明の後には、デモンストレーションが行われ、「テザー」による走行力のアシストの様子を見学し、参加者は作業の幅が広がる様子を実感していた。
【主な特長】①ワイヤーの巻上げ、送り出しのタイミングや強さを、設定に合わせて自動調整②2t、4t、6t、8tの4段階に設定可能で、センサによって油圧コントロールし、けん引力を調整③これまでの林内作業試験では2t~4tの設定で充分に安定④設置後のテザー内は無人で、下の機械からリモコンでワイヤーを操作できる⑤通常はリモコンで自動モードに設定しておくと、追加操作なく利用可能。