農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

イワフジ工業＝川崎智資社長、岩手県奥州市水沢字桜屋敷西５―１＝は、10月から架線式グラップルと油圧集材機からなる「架線集材システム」の販売を開始した。ラジコン１台で、荷掛から搬送、荷降ろしまで安全な場所からの遠隔操作を実現。11月24から26日には高知県四万十市で見学会を行うなど、同システムを用いた安全作業実現へ提案をしていく。

　林野庁によると、日本の森林の42％が30度以上の傾斜地。森林資源が利用期を迎えて間伐から皆伐への転換が求められる中、急傾斜地における木材の搬出は大きな課題となっている。
　そこでイワフジ工業は架線式グラップルと油圧集材機からなる「架線集材システム」を発売。システムラジコン１台で両機を操作することで架線集材の安全確保と省力化を両立させるシステムを提案する。
　林野庁の令和２年度先進的な林業機械等の開発・改良事業などで開発した架線集材システムは、架線式グラップルの「ＢＬＧ―16Ｒ」と油圧集材機「ＹＲ―３０２Ｅ」で構成。それぞれの特長は次の通り。
【架線式グラップル／ＢＬＧ―16Ｒ】①無線グラップル操作でスムーズな荷掛、荷降ろしを実現②大容量リチウムイオン（ＳＣｉＢ）電池で駆動する③索動により回生充電する（特許出願中）④生分解性作動油を使用している。※ＹＲ―３０２Ｅとの組み合わせで稼働する。
《主な仕様》▽搬送能力：１６００㎏▽最大開き幅：１９００㎜▽最小つかみ径：直径１２０㎜▽旋回角度：３６０度▽重量：４９０㎏。
【油圧集材機／ＹＲ―３０２Ｅ】①３ドラム独立ＨＳＴシステムを採用②３架線インターロック同調と独立同時制御を実現③エンドレス最大索速度約４１７ｍ／min④リフチング巻き込み最大能力約2.8ｔ。
《主な仕様》▽定格出力：68・６㎾▽重量：２８８０㎏▽ドラム寸法（第１・第２ドラム）：直径３２０㎜、幅６３７㎜、フランジ直径６２３㎜▽エンドレスドラム：直径４４３㎜、幅１５８㎜。
　同システムはラジコンによる遠隔操作だが、ＡＩを搭載した自動集材も開発中。実現すれば従来３～４人の人員が必要だった作業を１人で行え、人が山に入らず安全な集材作業が可能になる。北海道苫小牧市で開催された森林・林業・環境機械展示実演会で模型を展示。実用化への期待を集めていた。