目指すは日本一のさくらんぼ農園 王将果樹園×ヤマハ発動機 来て楽しい農園に DIAPASONも一役
株式会社やまがたさくらんぼファーム=矢萩洋美社長、山形県天童市川原子1303=が運営する「王将果樹園」は、山形県最大級の観光果樹園である。さくらんぼシーズン最盛期の週末には1日約1000人が訪れる人気施設で、果物の収穫体験のほか「oh!show!cafe」のフルーツパフェや直営ショップでの買い物なども楽しめる。ヤマハ発動機(静岡県磐田市)は、同園で6月4日から7月12日まで、開発中の電動モビリティ「DIAPASON」の展示・試乗会を開催した。
今回のイベントは同社の電動モビリティに興味を持った地元金融機関の紹介がきっかけで実現した。「DIAPASON」(ダイアパソン)を観光客に身近な乗り物として体験してもらうとともに、果樹園の経営や観光農業の実態を調査、また、DIAPASONの農業法人への提案の方向性を探ることも目的としていた。期間中は、夫婦やカップルが遊園地のアトラクション感覚で試乗を楽しむ姿が見られた。
イベントを振り返り、ヤマハ発動機は「収穫体験を目的に来園されたお客様も、最も価値を感じられたこととして、『果物のおいしさ』を挙げられた。家族の思い出や非日常を期待して来られた方も同様で、どんな期待で来られたお客様も、最後は食の満足に行き着いていた。おいしさこそ観光農業の中核価値であり、収穫体験はその入口、家族と過ごす時間が再来園への架け橋になると学んだ。王将果樹園という素晴らしいフィールドをお借りし、山形から新しい農園の在り方を協力して発信していきたい」と述べた。
株式会社やまがたさくらんぼファーム矢萩社長は、自身の経営理念、また、今回のヤマハとのイベント(DIAPASONの展示試乗会)について次のように語った。
【矢萩社長談】山形県天童市の王将果樹園は『日本一の観光さくらんぼ農園』を目標に掲げ、単に果物を生産するだけではなく『来て楽しい農園づくり』を経営理念としている。今回のヤマハさんの電動モビリティ「DIAPASON」も、お客様に楽しんでもらう演出であると同時に、収穫物や資材の運搬、園地間の移動など農作業にも活用できると期待している。人手不足対策や若い世代へのアピールにもつながると考えている。
弊社では、新しい技術を積極的に取り入れることを重視しており、自動草刈機は地域でいち早く導入し、現在は約8台を運用している。草刈り作業の省力化だけでなく、来園したお客様の目も楽しませている。また、ドローンによる盗難防止の実証実験も開始。夜間に上空から園地を監視し、熱源検知や音声警告、ライトによる威嚇を行うことで、高価なサクランボの盗難防止を目指している。将来的には自治体単位での活用も提案している。観光農園としては、安全性には特に配慮している。樹は来園者が収穫しやすいように仕立て、高所の実は事前に収穫するなど、はしごの事故を防ぐ工夫を行っている。園内は自動草刈機などで常に美しく管理し、快適な環境づくりを心掛けている。経営面では年間売上高は約4億円。そのうち約6割を観光部門(さくらんぼ狩り、ショップ、カフェなど)が占める。年間来園者は3万~4万人で、さくらんぼ狩りだけでも約1万4000~1万5000人が訪れる。栽培面積は約13haで、そのうち約7haがさくらんぼ。ほかにモモ、リンゴ、ブドウ、ラ・フランスを栽培している。ブドウは地元ワイナリーと提携し、ワイン用ブドウも生産しているほか、福祉施設と連携した農福連携にも取り組んでいる。
販売面では、コロナ禍をきっかけに開発したオリジナル仕様の自動販売機や「闇ガチャ」を設置。営業時間外でも購入できる仕組みを整え、従業員のアイデアも積極的に採用している。また、JRの物流サービスを活用し、朝収穫したさくらんぼをその日のうちに首都圏の駅で販売する取り組みも行っている。「まずはやってみる。駄目ならやめればいい」という姿勢で、新しい農業のモデルとなることを目指している。






